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顧客体験マネジメント(CXM)に役立つ書籍5選

こんにちは!Emotion Techのマーケティング部の大月です。
みなさんいかがお過ごしてしょうか。
今年もあっという間で、気づいたらもう12月です。

年末のお休みはなかなか外出も難しくおうちで過ごすことも多くなるのではないでしょうか?

そこで今回は、CX改善に携わるみなさまに向けて、
Emotion Techのマーケティング部で選んだ
顧客体験の改善に役立ちそうな書籍5選をご紹介します!

1.『「ついやってしまう」体験の作り方』玉樹慎一郎

まず初めに紹介するのは任天堂の元開発者の方が執筆したこちらの本です。

メインはゲームの話ですが、企業が提供するサービスやプロダクトに置き換えて考えることで、「ユーザーがのめり込む仕組み」を考える参考になります。

ここでは、スーパーマリオやドラゴンクエストなど、多くの人が一度は遊んだことがあるであろうゲームを具体例に上げながら、なぜ熱中してしまうのか、その仕組みを解説しています。

本書ではゲームのデザインを「直感のデザイン」、「驚きのデザイン」、「物語のデザイン」の3つに分けて紹介していて、それぞれユーザーを夢中にさせるエッセンスを紹介しています。

私もポケモン、マリオ、ドラクエを始め任天堂には個人的に大変お世話になっています(笑)なので、デザイナーの意図が理解できてとても面白かったです。何気なく遊んでいたゲームでしたが、こんなにもユーザーのことを考え抜いて作っていたのかと感動しました。

2.『異文化理解力』エリン・メイヤー

弊社のブログでもよく引用しているのがこちらの本です。
多国籍企業で海外の方とコミュニケーションやアンケート調査を行う必要のある方にお勧めです。文化によるコミュニケーションスタイルの違いについて書かれていますので、何が本音なのかを知るための参考になるかと思います。

本書では、文化間のコミュニケーションスタイルの違いを「ネガティブなフィードバックの伝え方」や「コンテクスト依存度合い」「リーダーシップのあり方」、「信頼関係の構築方法」の観点から解説しています。

弊社でも日本ではNPS®︎のスコアが低く出てしまう傾向にあるのではないかと相談を受けることがありますが、この本で紹介されている内容を読めば、ある程度日本人のコミュニケーションスタイルの特徴で回答の傾向を説明することができます。

3.『影響力の武器』ロバート・チャルディーニ

3冊目はこちら。心理学者ロバート・チャルディーニ氏の著書です。この本では、人が判断を下す際の性質を理解することが出来るので、あらゆるサービスづくりに役立つと思います。

この本では、人間の認知バイアスを「返報性」「コミットメントと一貫性」「社会的証明」「好意」「権威」「希少性」の6つの観点から紹介しています。

認知バイアスとは、偏った先入観や思い込みにより非合理的な選択をしてしまう心理現象のこと。
これを上手く使えば人の判断に大なり小なり影響を与えることができます。

本書では、著者が実際にセールスマンや募金の勧誘活動など誘導のプロの世界に潜入して見たテクニックを学術論文に基づいて防衛方法と一緒に解説しています。
400ページもある分厚い本なのですが、個人的な実体験にてらして納得できる内容が多かったからなのか、すぐに読み切ってしまいました。

4.『課題解決! マーケティング・リサーチ入門』田中洋

4冊目は、顧客理解を深めるための調査を検討しているけど今まで経験がなくやり方がわからないという方にはもってこいの本です。
著者はマーケティングやブランディングの領域で多くの書籍を執筆している中央大学ビジネススクールの田中洋先生です。

この本では既存商品のマネジメントや新商品の開発など目的ごとに調査方法を具体的な事例をもとに紹介してくれているため、調査のステップごとにやるべきことがわかります。

5.『実践的CXM』今西良光/須藤勇人

最後に手前味噌で大変恐縮ですが、昨年弊社の今西とマーケティング部長の須藤とで出版した『実践的CXM』を紹介します。日頃NPSやCS調査を行っていたりこれから始めようか悩んでいる方には参考にしていただけると思います。

ここ数年CX領域に大きく注目が集まっており、もはや古典とも言えるフレッド・ライクヘルド氏の『ネット・プロモーター経営―顧客ロイヤルティ指標 NPS で「利益ある成長」を実現する』をはじめ多くの書籍が発売されています。

その中でも、本書の特色は、弊社で実際にクライアントをご支援する中で得た実際の現場で使えるノウハウを惜しみなく共有している点と掲載している事例のリアルさと豊富さです。

この書籍では、NTTドコモ、バイク王&カンパニー、トヨタ自動車、リクルートキャリアなど日本を代表する大手企業で、どのように顧客と向き合いながら日々改善活動を行っているのか現場の担当者目線で事例を紹介しています。

★ 番外編

全くCXに関係ありませんが、個人的に読んで面白かった本を、最後に2冊ご紹介します。

番外編①『PIXAR <ピクサー> 世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話』

こちらは、ピクサーの元CFOであるローレンス・レピーが執筆しています。最近は、散歩時間や家事の最中などの隙間時間に、オーディオブックで聞いています。

PIXARといえばトイストーリーシリーズやモンスターズ・インク、ミスターインクレディブルなど多くのヒット作を抱えている世界トップのCGアニメーション制作会社です。トイストーリーは何度も繰り返し見たので、漠然と綺麗なサクセスストーリーを想定していたのですが、ディズニーという業界王者の下でもがき苦しむかなりハードな日常風景が描かれています

第一章は、当時アップルから追い出された落ち目のスティーブ・ジョブズから著者のレピー氏が転職の誘いを受けるところから始まります。社員とジョブズの対立や、毎月の給料を払うのに足りない分をジョブズが小切手を切って自腹で負担していて、ジョブズはもちろんそれを快く思っていないといった話があったり、それを知って転職を決断したレピー氏って本当にすごい人だな…と思いました。

もちろん多くの人が知る通り、Pixarは大ヒット作品を次々と生み出して大成功する訳ですが、そのような企業でも始まりは大変なんだと、勇気をもらえる本になっています。


番外編②『ホワイトワーキングクラス』

今年読んだ中で、トップクラスに面白かったのがこちら。
これを読めばなぜトランプ元大統領がアメリカで支持されたのかが理解できます。

本書では、2016年の大統領選でトランプ氏の支持母体となった"ホワイトワーキングクラス"と言われる年収4~5万ドル層の白人が、どのような人々なのかが、インタビューベースで語られています。

トランプ元大統領が、なぜあれだけ排他的なメッセージを発しているにも関わらず当選できたのかずっと不思議でしたが、この本を読むと支持者の状況を具体的にイメージすることができるため、非常に納得することができました。

通信技術の発展と資金調達方法の多様化・複雑化により、起業するにも高度な教育と情報にアクセスするためのネットワークが大事になってきています。
昔と比べるとシンプルなビジネスモデルで大きく儲けるということが難しく、階層移動の難易度が増していく中で、仕事を奪われる不安、住み慣れた地域を離れることへの抵抗、地元を離れるなという親や周囲からのプレッシャー(ただ、そうしなければ給料の高い仕事につくことができない)などがよく理解できました。

昔、アメリカ南部の綿農家が多い地域で高速道路の側面に"Education will pay"と大きく書かれているのを見て、なぜわざわざこんなことを啓蒙しているのか不思議でしたが、ようやく理解できた気がします。

逆に両親はホワイトワーキングクラスに属しながら、教育投資の甲斐あってアイビーリーグを卒業して両親や昔の友人と話が合わなくなってしまった人々の抱える孤独感についても、生々しく書かれています。

もうすぐトランプ大統領が任期を終えますが、振り返るにはもってこいの一冊だと思います。

それでは、良いお年を!


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