見出し画像

【空想日記176日目みゆき16歳】晴れでも雨でもない日に走れるように

11月25日
例えば晴れの日に思いっきり深呼吸をする。
胸がいっぱいになって思わず泣きそうになる。
雨が降ったら目をつむって雨の音を聞く。
傘を強く握りしめると何だか一人きりでいるような、寂しい気持ちになる。

晴れでも雨でもない、
ただ雲が空に覆いかぶさっていて、
表情がわからない。今日はそんな感じ。

昨日、教室の前で別れたあの人は
そのまま走って学校を飛び出したらしい。
それなのに、バイトはしっかり行ったみたい。

「今までで1番早く走れた気がする」
そう言って笑ってた。
この人の表情はいつもわからない。
この人の表情と言葉は嘘をついている。

深呼吸したらいいのに。

あたしに何かすごい力があったら、迷わず晴れにしてあけるよ。
テスト満点に使いたいのを我慢して、晴れにするよ。
それで一緒に深呼吸して一緒に泣こうよ。

あたしは目をつむる。
今日の天気予報はくもりだった。
たぶん晴れることなんてない。
もしかしたら、この人はずっとくもりの中を歩き続けるのかもしれない。

あたしには何の力もない。
だけど、何かの力になりたい。

「学校サボって走ろう。早く走ろう。遠くまで」

あたしたちは学校から離れた
遠いどこかに向かって走り出した。

頑張ります!一生懸命頑張ります!!