見出し画像

【米国市況】今後の米国市場に要注意

米国の株式市場は直近では好調をみせているが、今後2ヵ月で危険な落とし穴が待っているかもしれない。

1.直近の株式市場の上昇惑わされたら危ない

7月の米国株式市場は好調だった上、7月26日から8月5日までのS&P 500指数は約6%上昇。

参考資料:S&P 500 指数

多くの企業の第2四半期決算発表が連日行われ、売上や利益を増加している企業も現れている。

ただ、これがどこまで継続できるかが大きな疑問である。

7月28日に第二四半期のGDPが発表された。速報値ではあったが、前期比で0.9%減の結果となった。

第1四半期GDPの確報値の1.6%減より改善されたが、2期連続でマイナスGDP成長になったため、定義的に「景気後退」となった。

参考資料(米国GDP 前期比):https://www.bea.gov/system/files/gdp2q22_adv-chart-01.png

しかし米国のバイデン大統領は決して景気後退を認めず、「景気後退とは思えない」と主張した。

その根拠は2つで、1つ目は雇用統計的に好調で失業率も記録的な3.6%であり、2つ目は多くの企業は工場新設などでアメリカに投資していると述べた。

Youtubeなどでバイデン大統領の発言をご覧になった方もいらっしゃったかもしれませんが、かなり慎重に事前に書かれたセリフを復唱していた印象でした。

今年11月の中間選挙に向けて不利な立場に置かれたバイデン大統領は必死に景気後退を認めない様子も感じた。

にしても、バイデン大統領の景気後退ではない発言は個人的に疑問視している。

7月の雇用者数予想は250,000人増に対して、倍以上の528,000人増が8月5日に発表された。失業率も3.6%の予想に対して、3.5%で若干減った。インフレに大きく貢献している平均賃金も前月比で0.5%増。予想は0.3%増だった。

経済的にいわゆるバイデン政権にとっては朗報だが、一番問題となっているインフレ高騰にとっては悲報である。

これによってまたFederal Reserveの利上げの心配が戻った。

2.今後なにに注目すべきなのか?

政策金利の利上げが懸念される中、次回のFOMCは9月20~21日に会合される。

ちなみにこのFOMCでGDPや失業率などの経済傾向を予測するSummary of Economic Projections(経済見通しサマリー)も発表されるので大注目のFOMCになる。

参考資料(FOMC日程):https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomccalendars.htm

私は9月FOMCの前に下記3つの発表に注目します。

何と言ってもCPIと雇用統計の結果がかなり重要です。

CPIはインフレ指標になるので、説明なくても重要性が分かるかと思います。

利上げしても雇用者数増加と失業率低下という結果になっている。雇用状況が落ち着かない限りFederal Reserveはもっと大幅な利上げを実行する可能性は十分にある。

もちろんPMI、消費者信頼感指数やJOLTSなどの経済的指標も大事ですが、Federal Reserveがインフレ低下を実現するには利上げをしないといけない考えである。そのためCPIと雇用統計はかなり重要視されます。

強いて言えば、逆イールド(長短金利の逆転)とVIX(恐怖指数)を見るのも大事だと思います。

10年国債利回りが2年国債利回りを下回る(マイナスになる)さいに「逆イールド」といい、景気後退の予兆と解釈されている。

ピンクで印付けている箇所は逆イールド発生時で基本的に6ヵ月~18ヵ月後(平均で12ヶ月後)に経済が景気後退に陥る傾向がある。(グレー色の時期は景気後退)

参考資料(逆イールド 1976~2022年):https://fred.stlouisfed.org/series/T10Y2Y

なぜこれが起きるというと、銀行の立場で考えるとお金を貸し出して、それに伴うローンの利息が利益となります。10年と2年では返済するリスクが変わってきます。10年間のうち、返済しなくなるリスクもあるので当然銀行としては利息を上げるべき。簡単に説明するとリスクが高いほど、リスクヘッジや自分たちを守るために得られる利息を高くします。

国債を買っている投資家の金利も同じ考えで、通常であれば10年国債の利回りは高いはずだが、2年国債の利回りが高ければそれだけ投資家たちは返済のリスクがあると予測しているからです。要はこの2年間で経済的に良くない状況がやって来る、景気後退がやってくるという懸念が発生してしまいます。

参考資料(米国国債利回り一覧):https://www.bloomberg.com/markets/rates-bonds/government-bonds/us

一方でVIXは6月中旬から37%も下がっている。

VIX指数が高い時は市場が不安定な状況で株価が激しく変動する。また、0~100までの数字で表されて、基本的に10~40の範囲で変動する。

10~20は安定した市場、30は市場に警戒(不安定)、そして40以上はかなり不安定な市場(パニック状態)。

参考資料:VIX(恐怖指数) 

株式市場の先行きに対する投資家の心理状態を表す指数なのですが、今は安定的な範囲に収まっているので少し心配です。

インフレは低下していないですし、ロシアのウクライナ侵略もまだ継続中、増え続けているコロナ感染者数も収束する気配もないままVIXが下がっているのが不思議です。

かなりネガティブな考えですが、VIXが40まで上がらないと本当の底入れにならないと思っています。

逆イールドやVIXにしても毎日追うことをおすすめしますが、まずは大きな注目ポイントとしては8月10日のCPI。これで7月のインフレ状況が分かります。ピークを過ぎたのか、まだまだインフレのトンネルが続くのか、8月10日は重要ターニングポイントになりそうです。

私が持っている株と仮想通貨はこの1週間で30%ほど上がったが、落ちる前提で心構えしときます。投資額も大事ですが、安価の時に株数を増やすことを意識するといいでしょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?