スナーキー・パピーのマイケル・リーグが運営するグラウンドアップ・ミュージックの音楽が素晴らしくて、それに魅了されて、ずっと好きだった僕がグラウンドアップ・ミュージックの公式コンピレーション『GROUNDUP MUSIC × CORE PORT』を日本のレーベルのコアポートと共に作りました。
このコンピレーションをリリースするにあたって、何か記事でも作ろうかなと思った時に、普通の記事作ってもしょうがないので、なんかグラウンドアップ・ミュージックの面白さが伝わるやり方はないかなと考えていたら、中の人の話を聞くのはどうだろうとのアイデアが浮かびました。
そもそもグラウンドアップ・ミュージックはマイケル・リーグが上記のような理念を持って始めたすごく変わったレーベル。現在はレーベルのアーティストを中心に素晴らしいライブミュージシャンを集めたGroundUP Music Festivalを毎年、フロリダのマイアミで開催したりしています。
このレーベルの面白さや特殊さについて、もっと知りたいなと思い、コンピレーション・アルバムのリリースのプロモーションって言うていで、レーベルの中の人に取材のオファーをしてみました。もちろん(プロモーションなので)即OK。それでグラウンドアップが推薦してくれたのがエリック・レンズさん。
マイケル・リーグみたいな人が面白いことをやろうとしたときに、その後ろでどんな人が彼をサポートしていて、アイデアを実現させているのか、みたいなことを知るチャンスだなと思って、お時間をいただいて、話を聞かせてもらうことにしました。
メジャーのレコード会社を経て、大手の著作権管理団体を渡り歩いて、今は副業のひとつとして、グラウンドアップ・ミュージックの最高執行責任者をやっているということ。このあたりの働き方の環境もアメリカの音楽業界を知るきっかけになりそうです。
というわけで、クリエイティブなアーティストたちを支えるレーベルの裏側の一端をぜひ、読んでみてください。
取材・執筆・編集:柳樂光隆 通訳:染谷和美 協力:コアポート
■レコード会社法務部、著作権管理団体を経て、グラウンドアップ・ミュージックへ
――エリックさんはどういうきっかけでグラウンドアップ・ミュージックに関わることになったのでしょうか?
――そもそもマイケルと知り合ったきっかけは?
――あなたの後ろにギターがたくさん並んでますけど、つまりあなたはギタリストってことですね?
――それはアメリカっぽい話かもしれませんね。日本ではそんなに元ミュージシャンは多くないかも。
――でも、音楽家を目指していたからこそ、ミュージシャンたちをより理解できるのかもしれませんね。ところで、グラウンドアップ・ミュージックの前にはどういう仕事をしていたのかについて聞いてもいいですか?
■グラウンドアップ・ミュージックの理念
――アーティスト・ファーストみたいなことはレーベルだけじゃなくて、フェスの運営などでもマイケルもよく言っていることで、グラウンドアップ・ミュージックの理念みたいなものだと思います。では、具体的にはどのあたりが特徴なんでしょうか?
――たしかにアーティストにとってはいい話なんですけど、マルチでの契約をしないってことはレーベルの運営・経営って面から考えると望ましくない条件ですよね?
――なるほど。ちなみにその1作ごとの契約って部分以外でもアーティストに寄り添った条件があるのかなと想像しますが、話せる範囲で聞かせてもらうことはできますか?
ーーなるほど。
■デヴィッド・クロスビー、ベッカ・スティーヴンス、マイケル・リーグ
――さっき名前が出ましたが、デヴィッド・クロスビーとの契約についても聞かせてください。2016年の『Lighthouse』の1作だけでしたが、はっきり言って、グラウンドアップ・ミュージックにとっては桁違いの大物で、他のアーティストとは違うスケールですよね。この契約はどんな意味を持っていると思いますか?
――次はベッカ・スティーヴンスです。彼女は以前から実力もそれなりの知名度もあったけど、グラウンドアップ・ミュージックと契約してから一気に飛躍したと思いますし、すごく自由に活動していて、音楽的にも豊かになった。僕はずっと彼女の活動を追ってきたけど、グラウンドアップ・ミュージックが彼女の飛躍をサポートしたと言ってもいい。その結果がグラミー賞のノミネートだと思います。彼女についても聞かせてもらえますか?
――そのサポートがベッカの成功に貢献したんだと僕は思います。ベッカだけじゃなくて、マイケル・リーグに関しても、かなりチャレンジングなフェスをやったり、スペインに移住して、ヨーロッパの人たちと変わったことをやってみたり、彼のアイデアを形にするのも、レーベルとしてサポートするのも、すごく難しいですよね。
――信じているから覚悟を決めていると。グラウンドアップ・ミュージックの音楽はスナーキー・パピーのファン・ベースがあるからプロモーションはしやすい部分はあると思うんだけど、一方でまだまったく知名度のない若いアーティストをリスナーに届けるのは簡単ではないとも思います。それに最近、ベッカやマイケルがやっているような中東や北アフリカの要素が入った特殊な音楽は内容は素晴らしくても、北米のマーケットにそのままポンっと投げても届くかどうかはわからないとも思います。僕も評論の立場から、それらを日本にどう届けるべきか、すごく考えます。レーベルとして、その辺はどう考えていますか?
――例えば、マイケルがスペインに移住したものあり、彼の音楽もヨーロッパの環境にも繋がるものになってきていると思います。そして、ベッカもそういう音楽をリリースしたし、ミラーズというプロジェクトにもポルトガルのジゼーラ・ジョアンが入っていたりもする。そうやってグラウンドアップ・ミュージックは北米以外の地域の色もかなり強くなってきていると思います。それはグラウンドアップ・ミュージックのプロモーションやマーケティングにも関わってくる気がします。ヨーロッパ以外でもアジアにも目を向けていると思います。グローバルにプロモーションするためにどんなことを考えているのか聞かせてもらえますか?
――最後にエリックさんがグラウンドアップ・ミュージックのCOOとして、今、考えている目標ややりたいことがあったら、聞かせてください。
※記事が面白かったら投げ銭もしくはサポートをお願いします。
あなたの支援が原稿料や通訳費になります。
⇩ ⇩ ⇩ ⇩ ⇩