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記事一覧

#14  AI Hospital(14章全文掲載)

「緑が眩しい」  こんなことを思ったのは初めてだ。これまで感じたことのない透き通った気持…

#13  TEC-GYM(13章全文掲載)

 須長祐二の携帯が鳴った。画面を見なくても誰からのPINEメッセージかはわかる。彼女のアユミ…

#12  CON-TEC(12章全文掲載)

 萩中が両手で持つタブレットからは、攻撃シーンと守備シーンの動画がそれぞれ2つずつ流され…

#11  Wearable Technology(11章全文掲載)

 討論が深夜まで続いたにも拘らず、朝の目覚めはスッキリしていた。よほど頭が疲れていたのだ…

#10  Hyper Text Markup Language(10章全文掲載)

 梅村修平は、足裏の形通りに乗り、台から伸びるスティックを両手で握った。 「View Body」…

#9  Social Networking Service(9章全文掲載)

「西高ファイト!」  体育館にバレーボール部の甲高い声が響き渡る。ボールが弾む音との高低…

#8  Virtual Reality(8章全文掲載)

 周囲がざわめきだした。拓真はまさかと思ったが、帽子とサングラスを取るまでは確信できなかった。しかし、男の素顔が露になったとき、誰よりも先に驚嘆の声をあげた。  「レアンドレ!」  金丸の登場に心を奪われたが、このスペイン人に関しては特別だ。何しろ、拓真が幼い頃からずっと目標にしてきたプレイヤーなのだ。にわかに信じがたい光景に、少しの間、金丸が話し始めていることに気がつかなかった。  「人によってはかなり遠方からだな、ここに集まってくれてありがとう。動画で話したので、自

#7  Cloud Library(7章全文掲載)

 平沼は、手にした数冊の本をダンボール箱にしまった。以前は、自分の背丈よりも高いこの本棚…

#6 Video Hosting Service(6章全文掲載)

 今日の目覚めの一杯は、ブラジルのニブラだ。  酸味と苦みのバランスが程よく、まだ眠気の…

#5   Self-driving Car (5章全文掲載)

 飲みかけのインスタントコーヒーは、すっかり冷めきっていた。どれほどの時間が経過したのか…

#4 Bluetooth (4章全文掲載)

 萩中は、商店街を歩いていた。  この地に来たのは3年前のことだが、その時と比較しても、…

#3 GPS (3章全文掲載)

 「仮想空間にサッカーチームを作る」という触れ込みに、すぐさま多くの人から反応があった。…

#2 ドローン (2章全文掲載)

 飛行機と電車を乗り継いで、中岡はようやく目的地の改札機にICカードをタップした。 改札を…

#1 スマートフォン (1章全文掲載)

 「ボールは丸い」  投稿ボタンを押す直前に、金丸は言った。中岡は、その言葉の意味を理解し、柔らかい笑顔で金丸の目を見て声を発した。 「だからこそ、おもしろい」  金丸も笑顔で頷き、静かにボタンを押した。  「仮想空間にサッカーチームを作る」  わずか17文字の言葉がSNS上を駆け巡るのに、大して時間はかからなかった。中岡は改めて金丸の影響力の大きさに驚いた。  「さすがは元日本代表だな。拡散のスピードが違う」  「スター選手だったらもっと注目されたはずだよ」金丸は自