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メンター制度とは?― 人材育成手法「メンタリング」


メンター制度とは、先輩社員が新入社員などに対して行う支援活動のことです。指導する先輩社員をメンター、サポートを受ける新入社員などをメンティと言います。多くの企業において、入社3年以内の若手社員の離職率が課題となる中、メンター制度の重要性が高まっています。この記事では、メンター制度の目的やメリット、導入時の流れ、メンター制度教育の必要性などについてご紹介します。


<目次>

  • メンター制度の目的

  • メンター制度のメリット

    • ① 企業のメリット

    • ② メンターのメリット

    • ③ メンティのメリット

  • メンター制度導入の流れ

    • ① 目的と運用ルールの明確化

    • ② 対象者の決定と事前研修

    • ③ 社員への周知と実施

    • ④ 振り返りと改善

  • メンター制度導入のポイント

  • メンター制度教育の必要性

  • まとめ

  • 動画教材:メンター実践


メンター制度の目的

メンター制度の主な目的は、社員の定着率を向上させることです。
若手社員の早期離職の理由は「人間関係や仕事がうまくいかない」「職場環境が合わない」など様々ですが、このような不安や悩みを解消する方法として、メンター制度が注目されています。先輩社員であるメンターは、一般的に業務に関することだけでなく、キャリアや将来についてなど、個人的な悩みなどの相談にも乗ります。仕事やプライベートについて気軽に相談できる存在がいることで職場への安心感が生まれ、離職率低下に繋がると考えられています。

また、メンター、メンティ双方の育成やロールモデルを作ることも、目的のひとつです。
例えば、女性活躍推進のため、ロールモデルとなるような女性社員をメンターとして、キャリア形成や就業継続への不安などをサポートすることも考えられます。


メンター制度のメリット

メンター制度は、企業、メンター、メンティ、それぞれに様々なメリットがあります。


① 企業のメリット

まず、メンター制度の主な目的でもある定着率の向上です。特に、新入社員は職場という新しい環境に慣れていないため、1人で不安を抱えることも少なくありません。そのような不安が解消されないままでは、早期離職に繋がる可能性もあります。安心できるメンターの存在によって、新しい人間関係の構築や会社への理解を深めることが期待できます。また、人材育成の重要性を周知し、社内コミュニケーションが活性化することは、社員のモチベーション向上にも繋がります。


② メンターのメリット

メンティの話を聞き、共感したり、時にはアドバイスしながら相談に乗ることで、自身のコミュニケーション能力も向上します。また、メンターは若手社員が担当することも少なくないため、先輩としての自覚を改めて意識するきっかけとなり、責任感が高まります。さらに、メンターとしての経験は、管理職となり部下を指導する立場になった時にも役立つでしょう。


③ メンティのメリット

環境の変化は、大きなストレスとなってしまうこともあります。職場に悩みや不安を打ち明けられる相手がいることは、大変心強いものです。先輩社員から指導してもらうことで、会社や業務に対する理解も深まります。また、多様な考え方や新しい視点に気が付くことができるため、キャリア形成や働き方を考えるきっかけになります。


メンター・メンティ
メンター・メンティ


メンター制度導入の流れ

① 目的と運用ルールの明確化

「離職率を○%にする」「女性管理職比率を○%にする」など、メンター制度の目的と具体的な目標数値を設定します。その上で、実施期間や問題発生時の相談窓口の設置、運用マニュアルの作成など、ルールを明確にします。


② 対象者の決定と事前研修

対象となるメンター及びメンティを選定します。
選定方法には、指名・自薦・他薦があります。メンターとメンティの相性も重要です。ミスマッチを防ぐために、事前アンケートやヒアリングを行うことも有効です。また、対象者には事前研修を行い、守秘義務の遵守や制度の意義などについて確認しましょう。


③ 社員への周知と実施

メンター制度実施について、全社員に周知します。
人材育成への関心を高めるとともに、制度への理解を促します。また、先輩社員と新入社員などが対話し、支援を行うことを「メンタリング」と言います。事前に設定した実施期間や頻度をもとにメンタリングを実施し、定期的に報告会などを行うことで成功例や課題を共有しましょう。なお、メンターは話しやすさなどの観点から、在籍年数や年齢の近い、異なる部署の先輩社員が配置されることが多いです。そのため、特にメンタリング実施期間中は、メンターの負担軽減のために周囲の協力を仰ぐことも大切です。


④ 振り返りと改善

メンタリング期間終了後は、アンケートや意見交換会などを開催し、メンター制度について評価を行います。
この際、メンターとメンティ双方の意見を集めることが重要です。収集した意見から制度の課題と改善点を把握し、今後のメンタリングに活かします。また、これらの振り返りの結果を全社員に共有することも効果的です。


メンター制度導入のポイント

メンター制度導入のポイントは主に2つあります。

まず、メンターとメンティのミスマッチを防ぐことです。どれだけ事前にアンケートやヒアリングを行なっても、完全にミスマッチを防ぐことは難しいでしょう。実際にメンタリングを行なって相性が合わない場合は、組み合わせを変更することも考えます。また、メンタリングは1対1で行うことが多いですが、悩みに合わせて複数のメンターを選定する方法もあります。対象者や目的に合わせた柔軟な対応がポイントです。

次に、メンターとメンティに対するフォローを行うことです。特にメンターは通常業務を行いながらメンティのサポートをするため、負担がかかってしまうことが考えられます。また、相性が合わないなどの問題が発生した際に、メンターとしての責任を重く感じてしまう場合もあります。一方でメンティは、「こんな悩みを相談して良いのだろうか」「部署内での立場が悪くならないだろうか」といった不安が生じることもあります。モニタリングや面談を行うなど、定期的なフォローが重要です。


メンター制度教育の必要性

メンター制度は、働きやすい環境や個人・企業の成長に繋がります。メンター制度の意義やメンタリングに関する知識を共有することで、メンターとメンティ双方の意識を高めることができます。また、コミュニケーション能力や、相手の自発性を促すコーチング能力を身につけることは、有効なメンタリングを行う上で重要です。メンター制度の効果を最大限発揮するために、メンター制度教育を実施しましょう。


まとめ

働きやすい環境を整備することは、企業にとって重要な取り組みのひとつです。メンター制度による信頼関係の構築は、離職率の低下や社内の風通しを良くするだけでなく、社外での円滑なコミュニケーションにも役立ちます。また、メンター制度の成果は短期間で現れるものではありません。適切なフィードバックを行い、長期的に取り組みましょう。




動画教材:メンター実践


人材育成手法「メンタリング」

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