doya.

1993年生まれの根無草。カレーにまつわる試行錯誤を記録します。好きなスパイスはフェヌ…

doya.

1993年生まれの根無草。カレーにまつわる試行錯誤を記録します。好きなスパイスはフェヌグリーク、好きなダールはマスールダル。

マガジン

  • 「カレーの考察」

    • 32本

    カレーやインド料理について基礎的な実験のレポートや考察をした記事をまとめていくマガジンです。

  • 2022-23 年越しインド旅

    2022年の年末から2023年の年始にかけてインドを旅した記録を順次置いていきます。ベンガル州とオリッサ州がメイン。旅先で習ったレシピも掲載(予定)。

  • 「カレーとは」を考える人たち(仮)

    「どこの」カレーが美味しいか,「どのように」作るのが良いか.そうしたお役立ち情報から一歩外れて,カレーのそもそも論や捉え方に言及した記事を集めます.

最近の記事

年越しインド#2_ベンガル語にまつわるエトセトラ

今回の旅の目的は、お邪魔する先々で料理を習うこと。そして、マーケットで種々の食材を仕入れること。少しでも市井の人々とのコミュニケーションを円滑にするためには言語を学ばねば!ということで、出発直前にKindle書籍を購入。 デリー滞在中は外食ばかりになりそうだったのでヒンディー語はカット。またオリッサの公用語オリヤーOriyaはリソースが乏しく早々に諦めた。ベンガル語Bengaliは音声付きの日本語の教本があり、ローカルとの交流が密だったのもベンガルで、必然ベンガル語の記憶が

    • 年越しインド#1_ デリーで南北両得

      ソニパットにあるJ宅滞在中は基本的に外食。車で(順調にいけば)2時間くらいのデリーにも足を伸ばした。さすが首都だけあってバラエティが豊富で、インド南北の料理が楽しめた。 クリスマスのHaveli車で移動していると道路沿いに大きな駐車場を備えたドライブイン、通称ダバdhabaをたくさん見かける。特に大きな幹線道路沿いのものは車を持っている中〜上流階級しか来られないせいか建物もホテルくらい大きく照明や装飾も煌びやかなものが多い。飛行機を模した店舗の中でCAさんのコスプレをした人

      • 年越しインド#0_旅の輪郭

        ひょんなことから2022-23の年末年始をインドで過ごすことになった。 旅の仲間は私と同僚のM、そしてMの旧知の友人でデリーの大学にて教鞭を執る70代のイギリス人J。若くもない30前後のアジア女二人と白人おじいちゃん一人、というちぐはぐな三人組。傍目には説明が付かなすぎる自分達をいつしか”Troupe(興行の一団)” と称して楽しんでいた。 インド国内での諸々のアレンジはJが全てやってくれて、行く先々でも彼の知人に案内を頼めることとなり、ほぼ計画にノータッチのふわふわした心

        • ビリヤニ愚考#1_ビリヤニ香探求

          数年前ならば,「ビリヤニとは」から話を始めたであろう.しかし今となってはその必要もないほどビリヤニはエスニック料理における一定の地位を築いたと思う.その一方,インネパ店のジャンキーな炒めビリヤニや都会を中心に栄える和の要素を取り入れたビリヤニなど,幅の広さゆえに「結局ビリヤニって何?」という疑問は深まる.総論や定説は一旦他に譲り,ここではぶち当たった疑問を深掘りする方式で問いのぐるりを巡ってみる. 【提起】ビリヤニは香りを食べるもの 世の中には,ビリヤニエッセンス,なるも

        年越しインド#2_ベンガル語にまつわるエトセトラ

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          3本
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          4本

        記事

          カシミールでお茶を#2_ピンクチャイ・イン・プラクティス

          先日リサーチと仮説を立てたピンク色のカシミールチャイ,試行錯誤を重ねたので忘備録として報告します.速報値的なものです.最適化ができたら追って更新します. 【用意するもの】材料 茶葉:ティースプーン 1 (約2 g) 水:400 mL  重曹:ティースプーンの柄 2杯 牛乳:30 mL程度,適宜 塩:軽めの1つまみ (水温が高い時期なら氷水:1 L程度用意) 道具 コンロ,小鍋,茶漉し,ティースプーン,ヘラやテーブルスプーン(鍋攪拌用) 【手順 / 色の変化】1) 小鍋に茶

          カシミールでお茶を#2_ピンクチャイ・イン・プラクティス

          スパイスと発酵のこと#2_野草でグンドゥルック

          【はじめに】季節感は無視,春の野草でグンドゥった話以前作ったネパールの発酵食品,グンドゥルック. 無塩発酵乾燥野菜というなんとも情報量の多い食材である. 現地ではアブラナ科の野菜で作ることが多いらしく,意識したわけではなかったけれどこの回で使ったカブとタァサイもアブラナ科.他にも繊維質な野菜が向いているらしい. そこで当時,日本中部地方に籠る2020年GW(当時)の私は考えた. 突拍子もないが,折しもコロナ自粛真っ只中の虚無連休,ささやかでも野に近づきたい衝動の発露であっ

          スパイスと発酵のこと#2_野草でグンドゥルック

          カシミールでお茶を#1_ピンクチャイ・リサーチ

          【カシミールのピンクチャイ】きっかけは忘れてしまったが,以前チャイについて調べていた時に "Pink chai" や "Kashmiri tea" または "Noon tea"と呼ばれるなんともキャッチーなお茶文化があることを知った.名前の通り,苺ミルクのようなピンク色.さらにピスタチオなどのナッツを砕いて載せるのも定番らしく愛らしさを増強している. カシミール,といえばインド・パキスタン・中国にまたがる複雑な地域を指すが,少なくともインドとパキスタンの双方でこの名称は通っ

          カシミールでお茶を#1_ピンクチャイ・リサーチ

          ダールのこと#0_「2020年のミソシール」

          2020年に最も多く作った料理. 私の場合それは,間違いなくダール・ミソシールだろう. 【ダール・ミソシールとは】 ダール(ひきわりの乾燥豆全般)と野菜を煮て,味噌とスパイスで味をつけたもの.出汁は用いない.日本の一般家庭で食べられている味噌汁とは似て非なるもの.カシミール,マイソール,などを彷彿とさせるインド的な響きを持つ名称はカレーのオープンチャットにて命名された.上記画像が一例で,写真映えの対極にある. ダール,野菜,スパイスの組み合わせはなんでも良いけれど,イメ

          ダールのこと#0_「2020年のミソシール」

          メタモルフォーゼ・カレー#1_固形カレー

          カレーの定義とは何か?というのは答えのない禅問答だと思う.しかし私は非常に物質的な人間なので,形而上学的な思考を苦手とする.そこで,手を動かして「形から壊す/疑う」というアプローチを取ってみることにした.「形から入る」という言葉があるが,ちょうどその逆のことをやってみるわけだ. どこまで形を変えてもカレーと言えるのか?どこまで行くと非カレーとなるのか? これを試行錯誤で探っていく.また,その過程で生まれるであろう形を変えてなおカレーたるカレー,メタモルフォーゼ・カレーを記録し

          メタモルフォーゼ・カレー#1_固形カレー

          最強のバターチキンカレー#1_レトルトカレーのデータ解析

          久しくまとめていませんでしたが,続いております【カレーのオープンチャット 考える部屋】.2週間毎にカレーにまつわるテーマを決めて実験/考察を重ねていくプロジェクト,先週からのテーマはバターチキンカレー.もっというと,「最強のバターチキンカレーとは」. レシピ発掘比較型,自作型,食べ歩き型,いろいろとアプローチはあるわけですが,自分で作るのは技術的に厳しいし食べ歩きできるほど近所にインドカレー屋はない.ということで,私はスーパーで買えるレトルトカレーの解析から最強のバタチキ理

          最強のバターチキンカレー#1_レトルトカレーのデータ解析

          フェヌグリークのこと#2_実践編

          【前回からのつづき】もっと!フェヌ君の魅力を引き出そう前回は,実はよく知らなかったフェヌグリークの諸々について実験を交えて深掘りした. 限られた内容ながら,得られた知見をまとめると以下の通り. ・香りの成分「ソトロン」は水溶性 ・フェヌグリークの香りはソトロンの濃度によって変化する ・油はソトロンの沸点184°Cを達成する温度上昇の役割 ・苦味の原因プロトジオスシンを低減するには焦がす勢いでの加熱が必要(?*)   *プロトジオスシンの熱安定性については入手可能な文献未確

          フェヌグリークのこと#2_実践編

          スパイスと発酵のこと#1_はじめてのグンドゥルックづくり

          【はじめに】ネパール料理の深淵を覗く時,あなたもまた...ネパールの保存食に「グンドゥルック」なるものがあることを知った. 時はCOVID-19緊急事態宣言発令下.来たるGWに予定していた海外旅行はもちろん中止,外出もできず晴天を睨むばかりなのは目に見えていた.せっかく家にいるのだから...と一時期ハマったベーグルを焼こうにも,世の中考えることは皆同じで小麦粉は品薄.ならば友人から話を聞いたチャナダル納豆でも醸すか...?と思ったらフェイク・サイエンス・ニュースのせいで元種と

          スパイスと発酵のこと#1_はじめてのグンドゥルックづくり

          フェヌグリークのこと#1_油とスパイスの関係を探る実験から

          【はじめに】集合知カレーのエレメントとしてここ2ヶ月ほど入り浸っているLINE上の「🍛カレーのオープンチャット🍛」から端を発した実験結果をまとめるべく,noteを開く.自己紹介などは追々. オープンチャットや「集合知カレー」作りを目指す一連の実験について,詳細はルーム運営主で(自称)カレーJKたるカレー哲学氏の文章に譲りたい. 「油とスパイスの関係を探る」という主題のもと参加者各々が行った実験も一部はnoteに記され,マガジンにまとめていただいている. 【構想】実はよく知

          フェヌグリークのこと#1_油とスパイスの関係を探る実験から