【2022年中間選挙】激戦州の最新情勢 上院過半数を巡り民主・共和が攻防
こんにちは。雪だるま@選挙です。この記事では、中間選挙の情勢について上院の激戦州に注目しながら分析していきます。激戦となっている州知事選についても最新の情勢をまとめます。
中間選挙 全体の情勢
中間選挙の全体情勢に関して、下院では共和党が過半数奪還の勢い、上院では民主党が優位に立っていますが過半数を巡る激しい攻防が続いていると分析しています。
上院情勢は、10月14日時点で次のような状況であると分析しています。
9月の情勢分析と区分は変わっておらず、特に「接戦州」と分類した5州以外では大きな変化はありませんでした。
ペンシルベニア州では、共和党候補の追い上げが目立つようになりましたが、共和党候補の好感度などに課題があることから、情勢は民主党寄りであると考えています。
この記事では、接戦州に分類している5州について集中的に見ていきます。この5州は候補間の差が僅かであり、今後1か月で情勢は十分に変わる余地があります。
その他の州の情勢や、上院議員選挙の仕組みについては、9月の記事で分析しているのであわせてご覧ください。
「接戦」5州の情勢
オハイオ州
オハイオ州は、共和党現職の引退に伴って民主党・共和党の新人が争っています。オハイオ州は激戦州でしたがこの10年ほどで保守化が著しく進み、2020年はトランプ氏が大差で勝利するなど、激戦州とは言えなくなってきていました。
しかし、共和党が予備選でトランプ氏が推薦したヴァンス候補を擁立すると、情勢は一変しました。ヴァンス氏は、その言動などから共和党の中でも支持しないという人が多く、無党派層からも十分な支持を集められていません。
さらに、民主党候補のライアン氏は献金額などの資金面でヴァンス氏を上回っていて、広告の量でもヴァンス氏は劣勢となっています。共和党全国委員会が資金を注入し、ヴァンス氏の底上げを図るという報道もありましたが、現時点でヴァンス氏の支持率が改善するなどの動きは見られません。
世論調査では激戦が続いています。シエナ大学の調査では、民主党のライアン氏が無党派層に浸透し、3ポイント上回っている情勢です。
オハイオ州は保守化が進み、全体でみると民主党支持層よりも共和党支持層のほうが大きいため、最終的には僅差でヴァンス氏が勝利すると考えています。
ウィスコンシン州
ウィスコンシン州では、共和党現職のジョンソン氏に民主党新人のバーンズ氏が挑む構図です。ジョンソン氏は2010年に初当選し、3期目を目指します。ウィスコンシン州は中西部・ラストベルトの一角であり、かつては民主党支持の地域でしたが、共和党が勢力を伸ばし激戦州となっています。
民主党のバーンズ氏は、ウィスコンシン州の副知事を務めました。バーンズ氏は民主党の急進左派(プログレッシブ)であり、環境問題に対するグリーン・ニューディールを支持しています。
ウィスコンシン州は大統領選でも激戦州であり、今回の選挙も接戦が予想されています。世論調査では9月後半からジョンソン氏が支持を伸ばし、バーンズ氏が支持を落とす傾向が見られています。
バーンズ氏が急進左派であり、環境問題に積極的であることは、炭鉱労働者が多く環境規制に反対する傾向が強いウィスコンシン州では不利に働いていると考えられ、知名度を上げるにつれて支持率を落とす状態となっています。
そのため、ウィスコンシン州では共和党現職・ジョンソン氏がリードを拡大し、勝利すると考えています。
ノースカロライナ州
ノースカロライナ州では、共和党現職の引退に伴い、民主党・共和党の新人による争いとなっています。
ノースカロライナ州は激戦州の1つですが、僅差で共和党が勝利し続けてきました。15年ほど前までは共和党優位の州でしたが、都市化に伴って民主党が勢力を伸ばしてきました。一方で、地方部では共和党が勢力をさらに強めたため均衡が保たれ、僅かに共和党がリードする状態が続いていました。
今回の選挙では、民主党のバーゼリー氏が共和党のバッド氏と対決します。世論調査では共和党のバッド氏が上回っていますが、投票意欲の高い層や、態度未定層が多い無党派層ではバーゼリー氏が上回っていることを考えると、今後バーゼリー氏が支持を伸ばしてくる可能性があります。
現時点では、今回改選の議席の中で最も接戦といってよい州であり、民主党候補の勝利を予測していますが、情勢は極めて流動的です。
ジョージア州
ジョージア州では、民主党現職のワーノック氏に共和党新人のウォーカー氏が挑む構図です。ジョージア州は共和党優勢の地域でしたが、2018年の知事選以降に民主党が支持を急速に伸ばし、2020年の大統領選や2021年1月の上院決選投票では民主党が勝利しました。
ジョージア州では、得票数が50%に達した候補がいなければ決選投票に進むことになります。今回、ジョージア州では第3党(リバタリアン党)の候補者が出馬しているため決選投票が行われる可能性は十分にあります。
共和党のウォーカー氏には、交際相手に中絶を強要した疑惑が報じられました。共和党は中絶に反対する姿勢であることや、ジョージア州では中絶禁止法の施行で中絶が争点となっていることから、ウォーカー氏に逆風となる可能性があります。
現時点では、12月6日の決選投票に進んだ後、民主党のワーノック氏が勝利すると考えています。
ネバダ州
ネバダ州では、民主党現職に共和党新人が挑む構図です。ネバダ州は民主党が勝利し続けていますが、その差は縮小傾向です。ネバダ州に多いヒスパニック労働者の票を民主党が失っていることが要因として指摘されていて、構造的に共和党が支持を増す傾向となっています。
ネバダ州では、9月の後半から共和党新人のラクサルト氏が支持を伸ばしています。民主党現職のマスト氏の支持率は伸び悩んでおり、投票意欲が高い層に限定するとこの傾向は強まっています。
近い将来、ネバダ州では共和党が勝利することになると思われますが、それが今年なのか2年後、あるいはその先になるのかはタイミングの問題といえます。ここ数週間の動きを見ると、現時点では共和党のラクサルト氏が勝利すると予測しています。
議席予測
10月14日時点で、上院の議席は次のようになると予測しています。
民主党51議席、共和党49議席で民主党が引き続き多数派を維持すると考えています。
注目は決選投票になる可能性が高いジョージア州です。仮にノースカロライナ州で共和党が勝利すれば、上院多数派の決着は12月6日に行われる決選投票に持ち越されることになります。
知事選の情勢
知事選の激戦州についても見ていきます。ただし、上院ほど世論調査が多いわけではないので、分析や予測の精度は必ずしも高くありません。
ウィスコンシン州とネバダ州では、それぞれ民主党現職が共和党新人の挑戦を受けます。ウィスコンシン州では現職が上回っていますが、ネバダ州では上院と同様に共和党新人が上回る展開となっています。
カンザス州では、民主党現職が共和党新人と激しく争っています。カンザス州は赤い州ですが、知事選では現職が強い傾向があり、接戦となっています。
オレゴン州では、民主党候補の分裂により共和党と三つ巴の争いが展開されています。オレゴン州は青い州ですが、民主党の候補が急進左派であることに反発した穏健派から別の候補が出馬し、分裂選挙となっています。世論調査では、共和党の新人候補がややリードしています。
中間選挙の争点、両党の戦略については次の記事をご覧ください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?