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【2022年中間選挙】上院の激戦州情勢 民主党は過半数を維持できるのか

 こんにちは。雪だるま@選挙です。この記事では、2022年中間選挙の上院情勢について分析します。
 選挙まで2か月を切り、大まかな情勢や、激戦州がどの州になるのかなどのことが明らかになってきました。

上院情勢の概観

上院選の仕組み

 上院の定数は100議席で、議員の任期は6年です。2年ごとに1/3ずつ改選され、2022年は35議席が改選を迎えます。
 改選される議席も、多くは共和党優位の「赤い州」、民主党優位の「青い州」から選出される議席であり、最終的に過半数を得る政党は激戦州をどちらが制するのかで決まります。

現時点での情勢

 現時点(9月16日)の上院情勢は、次のようになっています。

上院選挙の情勢(9月16日現在)

 非改選の議席を含めると、民主党は46議席、共和党は44議席を現時点で確実にしています。勝敗が不確定な激戦州は10議席ありますが、このうち3議席では民主党が、2議席では共和党が今のところリードしています。

激戦州の情勢(10議席)

民主党寄りの州(3議席)

 激戦州の中で、民主党が現時点でリードしているのはペンシルベニア州、アリゾナ州、ニューハンプシャー州の3議席です。

 ペンシルベニア州は、共和党の現職が引退するため新人同士の争いとなっています。共和党のオズ氏は、トランプ氏の支持を得て予備選で勝利しましたが、無党派層への浸透が十分でなく、またペンシルベニア州に居住していなかった問題が波及し、伸び悩んでいます。
 民主党のフェッターマン氏は、オズ氏を9.4ポイント上回っています(FiveThirtyEightの集計、以下同じ)。支持層の投票意欲が高くないことが懸念材料ですが、それを考慮してもフェッターマン氏がリードしていると思われます。

なお、この記事では世論調査の平均としてデータが豊富なFiveThirtyEightの集計を用いていますが、全体的にFiveThirtyEightの集計は民主党に偏る傾向があることには留意が必要です。

 アリゾナ州は、民主党の現職に共和党の新人が挑む構図です。アリゾナ州は、かつては赤い州で共和党が優勢でしたが、近年は民主党が勢力を伸ばしています。2020年の大統領選ではバイデン氏が勝利しました。
 民主党のケリー氏は、共和党のマスターズ氏を7.3ポイント上回っています。選挙が近づくにつれて共和党支持層を固めるだろうマスターズ氏が差を縮めることが予想されますが、無党派層でリードするケリー氏が勝利すると考えています。

 ニューハンプシャー州は、民主党の現職に共和党の新人が挑む構図です。世論調査の数が少なく、今後情勢が変化する余地はありますが、今のところ民主党のハッサン議員が勝利すると考えています。

共和党寄りの州(2議席)

 激戦州の中で、共和党が現時点でリードしているのはユタ州、フロリダ州の2議席です。

 ユタ州は、共和党優位の赤い州です。ユタ州で共和党が強い傾向が変わってきているわけではありませんが、今回の選挙では激戦州の1つになる可能性があります。
 ユタ州で現職のリー議員(共和党)への支持が低く、特に不支持率が高いことが激戦になっている要因です。また、今回民主党は候補を立てず、独立系のマクマリン候補を支援しています。赤い州での戦略としては、民主党の色を弱めた候補を立てることは賢明だといえます。
 マクマリン氏は、共和党に所属していましたが2016年の大統領選でトランプ氏が台頭したことを機に独立系に転じたため、今回の選挙は「保守分裂」の側面もあります。
 しかし、現時点ではリー氏がマクマリン氏を8.2ポイント上回っていて、リー氏が議席を守ると考えています。

 フロリダ州は、大統領選でも激戦州の1つですが、近年は共和党の勢いが強くなってきています。今回は、共和党現職のルビオ上院議員に民主党新人のデミングズ下院議員が挑む構図です。
 ルビオ氏はデミングズ氏を4.1ポイント上回っていますが、支持層が少し弱いのが特徴です。共和党の中で保守派ではあるものトランプ派ではなく、無党派層への浸透は想定できる一方で、共和党内からの支持に課題がある可能性があります(これを裏付けるデータはなく推測の範囲です)。
 デミングズ氏は、民主党の黒人女性議員で象徴的な存在です。2020年の大統領選では、大統領候補だったバイデン氏が副大統領候補に選定する可能性も指摘されていました。
 フロリダ州は保守化が進んでいるため、現時点ではルビオ氏の勝利を想定しています。

接戦の州(5議席)

 激戦州の中でも特に接戦で、現時点で民主・共和どちらの候補もリードしているといえないのがネバダ州、ジョージア州、ウィスコンシン州、オハイオ州、ノースカロライナ州の5議席です。

 ネバダ州では、民主党現職のマスト議員が共和党新人のラクサルト氏に2.9ポイント差をつけています。しかし、ネバダ州は2020年大統領選においてもバイデン氏が辛勝した州であり、最新の世論調査ではラクサルト氏優勢を示すものもあります。
 現時点で投票意欲はラクサルト氏の支持層のほうが高いとみられ、マスト氏は支持層を固めることが課題となっています。

 ジョージア州では、民主党現職のウォーカー氏が共和党新人のワーノック氏に2.6ポイント差をつけていますが、直近の調査に限れば共和党のワーノック氏が、民主党のウォーカー氏を逆転する結果となっています。
 ジョージア州は長く赤い州で共和党が優位でしたが、2018年以降に民主党が勢力を伸ばし、2020年にはバイデン氏が勝利しています。ジョージア州で勝利するには、都市部だけでなく共和党が強い地方部でもある程度集票する必要がありますが、現時点で民主党のウォーカー氏がそこまでのパフォーマンスを出せているかは判断できません。

 ウィスコンシン州では、民主党新人のバーンズ氏が共和党現職のジョンソン氏を1.8ポイント上回っています。民主党のバーンズ氏が上回る結果を示す世論調査も多いですが、理由としては「ジョンソン氏が嫌いだから」という回答が多く、投票意欲には課題もあります。
 最も接戦になる州の1つにはなると思われますが、現時点ではどちらが上回る状況にあるかを判断することは困難です。

 ノースカロライナ州では、共和党現職の引退により新人同士の対決となっています。民主党新人のバーセリー氏が共和党新人のバッド氏を0.4ポイント上回る情勢です。直近の調査では基本的に民主党のバーセリー氏がリードする調査が多く、現時点での情勢はバーセリー氏有利といってよいと思われます。
 しかし、ノースカロライナ州は都市部で民主党が優勢になる一方で、地方部で共和党がさらに勢力を伸ばしていることから、民主党は共和党に繰り返し惜敗してきました。
 今回も民主党のバーセリー氏が優位を維持できると判断するには時期が早いと考えています。

 オハイオ州は、共和党現職の引退により新人同士の対決となっています。民主党新人のライアン候補が、共和党新人のヴァンス候補を2.5ポイント上回っています。しかし、信頼度の高い調査に限るとヴァンス候補がわずかに上回っていると示されています。
 ヴァンス候補はトランプ氏の推薦を受けて予備選で勝利しました。その言動などから共和党員の中でも投票を躊躇する人がいて、接戦に持ち込まれています。一方のライアン候補は民主党内を既に固め、無党派層もある程度集票できていることから伸びしろが少ない状態です。
 オハイオ州は近年著しい保守化が進んでおり、共和党全国委員会が資金を注入して広告枠の購入を支援するなどの動きを見せているため、共和党優位に情勢が進展する可能性はあります。

上院議席予測

 民主党は49議席、共和党は46議席で優位に立っています。
 上院選挙では現職が強いことが知られていて、筆者の情勢判定でも現職が出馬しているかどうかを考慮しています。
 その上で考えると、5つの接戦州のうち、オハイオ州では共和党が勝利に近いといえます。残りの4州では、互角の戦いとなっています。

 議席予測は、接戦5州の幅を持たせると民主党が49議席~53議席、共和党が47議席~51議席に収まる可能性が高いです。
 民主党は50議席に乗せれば過半数を維持できるので、現時点では民主党が過半数を維持する勢いだと考えています。
 現時点では、民主党にとって50議席目となるのは、現職が接戦を繰り広げているネバダ州になると考えています。

 中間選挙の全体情勢やバイデン政権の支持率については、次の記事で詳しく分析しています。

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