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あなたの原動力は何ですか?マリメッコの伝説的デザイナー マイヤ・イソラの物語から自分の源を探す旅

こんにちは、丹波フィンランド大使pieniです。
最近とても嬉しいことがあるんです。
家の近くに北欧食器を使ったメニューが楽しめるシネマカフェがあるのですが、そこでは北欧映画をたくさん上映してくれるんです。

アイスランドの映画「主婦の学校」、フィンランド映画の「魂のまなざし」、「AALTO」、「ガールピクチャー」、「マイヤ・イソラ 旅から生まれるデザイン」など。

数年前に上映された作品もありますが、地方ではなかなか見れなかった作品や、丹波フィンランド大使と名のるほど北欧やフィンランドが好きな私にとっては、とっても幸せなことなのです。

さて、私は映画を見るとしばらくその余韻に浸ったり、作品を自分の生き方と照らし合わせて深く考えることがあります。

今回は、マリメッコの伝説的デザイナーマイヤ・イソラの創作の源について描いた作品「マイヤ・イソラ 旅から生まれるデザイン」を見たときに「わたし自身の活動や取り組みの原動力ってなんだろう?」という問いが生まれたので、そこを見つめることにしました。


マイヤ・イソラの創作の源とは?

日本でも人気がある、フィンランドを代表するデザインブランド「マリメッコ」。

そのマリメッコの代表的なデザインである、ケシの花をモチーフとした「Unikko(ウニッコ)」をはじめ、数々のデザインを手がけた伝説的デザイナーが「マイヤ・イソラ」です。

マイヤはマリメッコの成長とともにデザイナーとしての才能を開花させ、活動期間の38年間でなんと500以上のデザインをマリメッコに提供しています。
大胆でカラフルなデザインは時を超えてもなお、暮らしを彩り愛され続けています。

そんなマイヤの創作の源はいったい何だったのか。
マイヤの娘クリスティーナや家族に送った手紙と本人の日記、クリスティーナへのインタビュー、当時の様子が分かるアーカイブ映像や写真をもとに、数々の作品が生まれた背景や、マイヤの創作の源に迫るアート・ドキュメンタリー映画です。

映画は、マイヤ・イソラの生い立ちから始まります。
13歳で一人暮らしを始め、厳しい戦時下(第二次世界大戦)を生き抜き、19歳の時に若くして結婚し、出産。しかしその後離婚。
そして娘を自分の母親に預けてヘルシンキの芸術大学に進学します。

初めての海外旅行先であるノルウェーで見た壺をデザインした作品を、大学のコンテストに出したことがきっかけで、マリメッコの創業者である「アルミ・ラティア」と出会います。そこからマイヤのデザイナーとしての人生が始まりました。

マイヤは創作のために、フィンランド国内にとどまらず、ヨーロッパの国々をはじめ世界中を旅します。
そこでの出会いや見たもの、感じたことを自分の中に落とし込み、エネルギーに変えて創作を続けていました。

旅先から、離れて暮らす娘のクリスティーナにあてた手紙や、日記に書かれた内容から、マイヤは何にも縛られることのない「自由」を愛し、それを実行することで生まれる「情熱」を作品へと昇華していたのだなと感じました。

「Unikko(ウニッコ)」が誕生した話は有名なのでご存じの方も多いかと思いますが、この作品もマイヤの自由を表現する情熱から始まっています。

1964年、マリメッコの創業者アルミは、花はそのままが一番美しいので、ファブリックのモチーフにすることは許可していませんでした。
しかしマイヤは花のデザイン(花シリーズ)を描きアルミに見せます。
そのデザイン達はアルミの心を動かし、中でも「Unikko(ウニッコ)」はマリメッコの代表的なデザインになりました。
ここにはマイヤの自由な創作や、決められた中にはとどまらない!というパッションを感じます。

Unikko(ウニッコ)のテキスタイル。この映画を見てマイヤの生きざまが見えるデザインが好きになりました。

「愛」から生まれるエネルギーもマイヤの源

マイヤは3回の結婚と離婚を経験しています。作品の中でも恋に悩んでいる手紙を娘に送っているのですが、私も娘を持つ親として「え!それを娘に言っちゃう?娘の心は大丈夫なの?」と勝手に心配になるほど恋多き人生でした。

しかし、その恋愛によって作風が変化するほど、相手への情熱や、怒り・孤独といった感情の起伏さえも彼女の創作の原動力になっていると強く感じました。

作中ではあまり語られてはいないのですが、恋愛とは違う、家族への「愛」も彼女の原動力になっていたのではないでしょうか。

それは世界中を旅するマイヤなので、どうしても娘のクリスティーナとは離れて暮らすことになります。
クリスティーナが子どものころ寂しかったり、マイヤへどんな気持ちを持っていたかは作中には描かれていませんが、大人になったときに母と同じマリメッコのデザイナーになっていることから、マイヤのデザインにかける情熱に共感したり、理解していた部分が多くあったのではないでしょうか。

それは、旅先から送られた数々の手紙の内容からも分かります。
一見、娘をほっておいて自由すぎると感じてしまうようなマイヤの手紙ですが、自身が感じることそのままをクリスティーナへ送り続け、見た世界を手紙を通じて共有することに、娘への深い愛があったように感じます。
クリスティーナの夏休みの課題だった植物採集を手伝う中でも「自然シリーズ」というデザインが生まれているのですが、娘への愛をずっと持ち続けることも、創作の源になっていたのだと思います。

マイヤのデザイン。時を超えても愛されている。

わたしの原動力はどこにある?

マイヤの原動力は、旅をしてそこで感じた物事を自分の中で自由に表現する喜びや、恋愛や家族への愛情から生まれる情熱だったと感じました。

この映画を見て、それぞれ人にはなにかしら人生を動かす原動力があるのだと強く感じたとき、マイヤのように大きな何かを成し遂げようとしているわけではありませんが、自分自身の原動力っていったい何なのだろう?ということを考えるようになりました。

例えば私の場合、フィンランドが好きで、フィンランドの雑貨やお菓子を販売していたり、イベントを開催したりしています。これの原動力は?と考えたとき「共有して一緒に喜んでもらいたい」この想いが私を動かしている事に気が付きました。

自分が好きだと思ったり、いいと思ったものや事柄に対し、ワクワクしたり、ときめいた気持ちをそのまま表現したい。そしてそれに共感してもらい、一緒に楽しんだり、心の中が彩られたり、幸せな気持ちになってほしい。よもや「人生変わったわ!」ぐらいまで感じてもらえるようなことがあれば最高に幸せです。

ある意味究極のエゴのような気もしますが…。でも私はそれを望んでいるから動いているのだと思います。

フィンランドに関わる活動だけでなく、書く仕事も同じ気持ちで、記事を通じて追体験してもらい、そこから各々の心の中を楽しんでもらいたいんです。

「自分の好きを表現して、追体験や共感をしてもらって、一緒に楽しみ幸せになる」
私を突き動かすこの想いを大切に生きていきたいです。

マイヤ・イソラを描いた映画を通じ、彼女の創作の源に触れることで、自分自身の原動力に気が付きました。とっても嬉しい心のギフトをもらったような気分です。

今回、映画から感じた気持ちを見つめてみて「私たちがそれぞれの人生の中で今やっていることには何かしら意味があり、それをするための源がある」と強く感じました。

生きていると嫌なことや困ったこと、放棄してしまいたいと思うことも出てくるのですが、その時に自身の原動力を思い出すと、しぼんだ心が復活したり、または新たな道へと自分の足で進むきっかけになると信じています。

それではここで、最後に問いかけてみます。

「あなたの原動力は何ですか?」

いちど振り返って考えてみてもらえると嬉しいです。

おまけ:Elämäな時間をあなたに!

映画「マイヤ・イソラ 旅から生まれるデザイン」に関する書籍があります。
映画のパンフレットとして刊行された本なのですが、マイヤを愛するデザイナーやイラストレーター、エッセイスト、哲学家たちのコラムやメッセージからマイヤの世界観や、創作の原動力について知ることができます。
ちなみに初版特典付きを購入すると、「マイヤ・イソラ 旅から生まれるデザイン」をオンライン視聴することもできますよ。
ちょっと立ち止まって自分のことを見つめてみるElämä(エラマ)タイムを一緒に過ごす本としてpieniからおすすめいたします。

Text by  pieni(ピエニ)(丹波フィンランド大使)



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