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ハードボイルドの映画、小説が大好きな初老の男です。 最初に見た映画は、小学校5年生の時…

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ハードボイルドの映画、小説が大好きな初老の男です。 最初に見た映画は、小学校5年生の時に、父親に連れて行ってもらった「七人の侍」でした。あのラストの戦闘シーンが忘れられず、その後ずっとハードボイルドの物語の虜になりました。そんな思い出の物語を、書いて行きたいと思います。

最近の記事

男は女の告白に、「お幸せに…」とだけ告げた

ハードボイルド俳優が、メロドラマを演じたらどうなるか? 考えてみれば、ハードボイルド映画にパートナーはつきものである。だからそんな括りこそ、ナンセンスと言えるかも知れない。また、時代は更に進んで、ジェンダー平等があたりまえの社会だ。歳を重ねた者こそ、時代の変化に気づき、若い人達を応援したいと常に思う。 そんな時代の流れとは逆行して、古い「カサブランカ」のハンフリー・ボガートのように、彼女の幸せを願い、潔く身を引く男を描いたのが、この映画「プルーフ・オブ・ライフ」である。 夫を

    • 生き方を見直すと、人生のホントに大切なものが見えてくる

      ハードボイルド俳優がメロドラマを演じたらどうなるか? 第4段は、ラッセル・クロウの「プロバンスの贈り物」である。 私は、人生に憂いを感じたとき、必ずこの映画を見る。 地中海性気候の乾いた空気と、南フランスの慕情感あふれる古城の屋敷。ワインをめぐる、謎めいたストーリーが大好きだからだ。 ラッセル・クロウは、「グラディエーター」「ロビンフッド」「レ・ミゼラブル」などの史劇のハードボイルドスターと言ってもいい俳優である。 そのラッセル・クロウが、休暇を取り、南プロバンスに遊びに行

      • ゴミの中で、やり直すと誓った愛

        映画ゲッタウェイは、スティーブ・マックイーンの唯一のバイオレンス映画と言っていいだろう。 鬼才サム・ペキンパー監督がメガホンを撮り、ショックなシーンをスローモーションで撮るという、独特の手法をもちいている。 そして、主人公のスティーブ・マックイーンは、このスローモーション技法で、ショットガンをブッ放し、見事なガンさばきを、見せている。 一方。この映画は、強烈なバイオレンス映画にありがちな、アクション一辺倒な映画とは、一線を画し、ほのぼのとした夫婦愛を描いている映画でもある

        • 女は嵐の中を、彼の乗る列車を追いかけた

          ハードボイルドの俳優が、メロドラマを演じたらどうなるか? 第二弾は、名画「恋に落ちて」である。この時代、清楚で、品のある女性といえば、メリル・ストリープだったのだろう。一方、マーチン・スコセッシ監督と組んで、ハードボイルド一直線のロバート・デニーロの共演といえば、もう名画になるのは間違いないと、約束されたような映画である。 妻に二人の関係をはなし、思っ切り強烈なビンタをくらい、ショボくれた思いで赴任先に旅立つデニーロを、嵐の中車を飛ばし、追いかけるメリル・ストリープ。その

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          男は、ずぶ濡れになって、ずっと愛する女を見つめていた

          ハードボイルド俳優が、メロドラマを演じたらどうなるか…非常に興味深いテーマである。今週から4週に渡って、その4部作をお届けしたい。 まず、筆頭は「マディソン郡の橋」である。いわずと知れたダーティハリーのクリント・イーストウッドが生涯唯一のメロドラマを撮ったのがこの「マディソン郡の橋」だ。 私はこの映画を最初に見たとき、泣けて、泣けてしかたがなかった。普段はハードの役を演じるイーストウッドが、ほんとに優しいナショナルジオグラフィックのカメラマンを見事に演じている。 たった2日

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          サムライを世界に伝えた映画、「レッドサン」

          映画「レッドサン」この映画ほど適材適役にハマった映画も珍しいと思う。日本の侍といえば、もう三船敏郎おいて他にないほどハマり役だし、男の友情を描くとき、これほどピッタリくる人も珍しい、チャールズ・ブロンソン、そして、デビュー当初から二枚目だけど、悪役が似合うアラン・ドロンの三人が共演し、それぞれがハマり役を見事に演じている。 自分の与えられた使命に生き、それを達成するために全力を尽くす。そんな侍のひた向きさに、いつしか影響され、男の友情が芽生え、それを助け支える男がいる。ハー

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          あなたは、きっと大西洋に浮かぶ、この要塞が心から離れない

          「冒険者たち」こんなにも、見終わったあとの余韻が、ずっと続く映画もない。 何か人をあ!っと言わせるようなことをしたい。若者の誰もが持つ純粋な夢である。そんな夢物語だから、この映画は、あらすじはどうということはない。しかし、純粋だからこそ失った悲しみが、自分のことのように感じるのが、この映画の特徴である。 もし、あの時こうしていたら…まったく違った人生があったかもしれない。と思うてしまうのが人の常である。リノ・ヴァンチェラ演じるローランは、そんな思いを、代わりに演じてくれて

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          ワンショットにこだわった男は、たった一人の友に杯を捧げた

          名画には、名曲の映画音楽がつきものである。映画「ディアハンター」もその一つ、スタンリー・マイヤーズが奏でる「カヴァティーナ」を聞くと、映画のワンシーンが蘇ってくる。 1960年代。ペンシルバニアの製鋼所で働く男たちは、休みの日に鹿狩りをして楽しんでいた。中でもマイケルは、ワンショット。たった1発で鹿をしとめることにこだわりを持っていた。 やがてベトナムに出征した彼らは戦場で再会を果たすが、過激なベトコンに捕らわれてしまい、残酷なゲーム。ロシアンルーレットを強要される。そして

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          ムスタングマッハ1。すべてのカーチェイスシーンはここから始まった

          映画「ブリット」はストーリーとしては、並の映画ではある。しかし、スティーブ・マックイーンが主役を演じると、これが、超ハードボイルド映画として、燦然と輝を放ち続ける映画になっている。 シーンは、坂道が名所のサンフランシスコを舞台に、犯人とおぼしき男に、車で尾行されていると、ブリットが覚るところから始まる。唸りをあげるムスタングマッハ1。ブリットが、いつのまにか犯人の背後に回り、逆に犯人を追い詰めて行く、坂道を跳び、豪快にコーナーを回り、手に汗を握る名シーンは、スティーブ・マッ

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          ドイルは、シャルニエと呼び、怒りの弾丸をぶち込んだ。

          人気の映画には、続編がつきものだ。しかし、たいがいパート2、パート3と重ねるごとに、悲しいことにつまらなくなる。しかし、例外がこの映画「フレンチコネクション」である。この作品は1話がウィリアム・フリードキン監督がメガホンを撮り、パート2はあの大列車作戦で有名なジョン・フランケンハイマー監督がこの物語を仕上げた。ハードボイルド刑事。ポパイドイルの物語である。 1 話では、フレンチコネクションの大ボス、シャルニエを寸前のところで取り逃がしてしまう。そして、そのシャルニエを追って

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          「燃えよ剣」は滅びゆく男の美学書

          ハードボイルドに生きた。ラスト侍は誰か?と問われれば、私は、間違えなく、土方歳三である。と答える。ストイシズムの根本は何か?と問われれば、天から与えられた使命を、全力で生き抜くこと、ということではないだろか。 土方歳三は、まさにストイシズムの象徴のような男である。 すべてを失い。あるのは、名刀和泉守兼定のみ、「新選組副長土方歳三推参!」と最後の意地を貫き通して、切り込むさまは涙なくしては読めない。一方、新選組の多忙を極める京洛の警備の中にあって、小料理屋の女将。お雪さんと

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          「イェ〜」と紫煙をはきながら、友は去って行った

          ハードボイルドの映画には、粋なラストシーンがつきものである。このフランス映画の「さらば友よ」はまさにそんな映画の一つに数えられるだろう。クリスマスの夜にひょんなことから、二人は美人の姉妹から頼まれて、金庫破りをする。しかし、犯行が発覚し、ブロンソンが一人、単独犯なら6年、共犯なら12年は喰らう。だから俺一人でやったことにしろ!とドロンを諭す。そして別れのとき、ドロンはブロンソンがくわえたタバコに、マッチで火をつける。交差する二人の手、ブロンソンが紫煙を吐き「イェ〜」と低い声で

          「イェ〜」と紫煙をはきながら、友は去って行った

          もう!勘弁ならねぇ〜と思ったとき、その男は橋の欄干に立っていた。

          クリント・イーストウッドを知ったのは、中学生のときだった。友達に誘われて、ガントレットというバスの室内に鉄板を張り詰めて、銃弾の中を突っ走る映画だった。その後、深夜のテレビで同じクリント・イーストウッド主演の「ダーティハリー」を見た。ホットドッグを食べながら、マグナム44をぶっ放すシーンに度肝を抜かれた。しかし、ハリーの強引な捜査に、バッチも銃も取り上げられてしまう。そのスキをつき、犯人は幼稚園のバスまでハイジャックするやりたい放題を見て、中学生ながら、もう!勘弁ならねぇ!と

          もう!勘弁ならねぇ〜と思ったとき、その男は橋の欄干に立っていた。

          ハードボイルドに生きてゆけ!

          小学校5年生のある日、いつも帰りの遅い親父が、その日は前例がないほど早く帰ってきた。開口一番「おい!今日は映画を見に行くぞ!」と言い出した。もちろん、子供向けの映画でないことはわかっていた。「なんていう映画?」と聞くと「七人の侍」黒澤明監督の…と親父がポツリと言ったあと、「お前には見ておいて欲しい映画だから…」と言った。映画は白黒映画だったけど、すぐに引き込まれた。馬の嘶き、土砂降りの雨の中、はだかに鎧をつけた三船敏郎が、もり土に何本も刀を刺して挑む、野武士集団の戦闘シーンは

          ハードボイルドに生きてゆけ!