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俺は息子に誇れるものは何もない…とダンは語った。

若い頃、参禅をしたことがある。
趙州和尚、「無字の公案」という
最初にして、最大の難関である。

この公案に取り組んでいたところ、師家は、「自己本来の面目を考えよ。」とだけ言われた。
いま、考えても、この公案は、人生を左右する大命題だと思う。
映画「3時10分、決断のとき」は、まさしく、この自己本来の面目を描いた映画である。
主人公のダン・エヴァンスは、南北戦争に参加し、南部の人間にもかかわらず、勝ち馬に乗ろうと北軍に着き、退却戦で仲間の流れ玉に合い、片足を失ってしまう。しかし、ろくに恩給ももらえず、家に帰ったものの、今度は、立ち退き騒動に巻き込まれ、馬小屋に火をかけられ、次は家を焼くぞと脅されている。そんなダメ親父が、天下の大悪党ベン・ウェイド(ラッセル・クロウ)を連行し、ユマ行きの列車に乗せる。そんな危険な役目を、たった200ドルで仰せつかる。その200ドルでなんとか借金を返済し、家族と家を守ろうとするが、途中、ベン・ウェイドに1000ドルをお前にやるから、見逃せと迫る。しかし、主人公の親父。ダン・エヴァンスは、「俺は、息子に誇れるものは何もない!せめて、お前を列車に乗せたところを見せたい!」とベン・ウェイドに言い放つ。

親父とは、そういう生き物でなくてはならないと、俺も思う。

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