上辺だけじゃない、LGBTQ+コミュニティを真にサポートするプライドキャンペーン
6月はPride Month( プライド月間)とされ、アメリカを始めとする世界各地でLGBTQ+の権利や文化、コミュニティーへの支持を啓発する活動やイベントが実施されています。ロサンゼルスではコロナの影響で中止になっていたプライド・パレードが、2年ぶりに2週に渡って盛大に開催されました。
YouGovの調査によると、アメリカ人の4分の1は、LGBTQに友好的なブランドから買い物をする傾向があると答え、80%以上が、LGBTQコミュニティを積極的にサポートしているブランドの新製品を、そうでないブランドよりも試す傾向があると回答しています。そのような背景もあり、当事者団体のみならず企業や自治体も、毎年6月には独自の活動やキャンペーンを行って、LGBTQコミュニティを様々な形でサポートしています。今回は数ある取り組みの中から、我々が特に注目するプライド・キャンペーンをご紹介します。
LEGO The A-Z of Awesome
いまやブロック玩具の代名詞ともなったLEGOは、LGBTQIA+の声に焦点を当てたコミュニティを巻き込むソーシャルメディアプロジェクト:The A-Z of Awesomeをローンチ。このプロジェクトでは、同コミュニティを祝して去年初めて発売された「Everyone is Awesome」のLGBTQ+を象徴するカラフルなブロックが使用されている。LGBTQIAの頭文字または自分で選んだアルファベットを元に、自分たちのアイデンティティを表現したアートを作ろうというもの。そして、その自己表現が意味することや作品に込めた想いを、#AtoZofAwesomeというハッシュタグを付けてSNSで共有するよう呼びかけている。また、LEGOではプライド月間のみならず、3つ*のLGBTQIA+ NGOとパートナーシップを組んで多様でより包括的な職場環境作りにも尽力を尽くしている。
UGG – Feel Heard
アメリカのフットウェアブランドUGGは、プライド月間を祝して今年もプライドコレクションを発表。作家やメディア・パーソナリティとして活躍するALOKを始めとする6名のLGBTQIA+コミュニティを代表するアイコン達が、プライドコレクションのモデルを務めている。このキャンペーンは「Feel Heard」と名付けられ、「話を聞いてもらえた、受け止めてもらえたと感じる」瞬間やメンタルヘルスについて、個人的な体験を交えたインタビューも特設ページに掲載中。UGGでは今回のプライドキャンペーン発表を記念して、12万5千ドルをThe Trevor Projectに寄付。色鮮やかな当コレクションを販売する店舗やイベントを通じて、メンタルヘルスの重要性を啓蒙すると共に、ホットラインといったサービスに助けを求める際に直面する偏見を払拭できるよう、当団体の認知拡大を支援している。
Absolute – Out & Open
スウェーデンに本社を置くウォッカブランドのAbsoluteは、衰退しつつあるLGBTQバーの繁栄サポートを目的にOut & Openキャンペーンを実施。同コミュニティにとってLGBTQバーの存在がどんな意味を成すのか、10名のLGBTQ+コミュニティを代表する著名人がパーソナルな経験を交えながら語っている音声を公開中。これらの実話が1回再生される度に、AbsoluteはNGLCCが行っているLGBTQバーの保護活動を支援するために1ドルを寄付している。
紹介した3つのキャンペーンに共通しているのは、当事者の声に深く耳を傾け共感し、十人十色のストーリーやクリエイティビティを企業やブランドの既存コミュニティと共有しながらキャンペーンを推進している点です。毎年6月になると、企業やブランドが一斉にソーシャルメディアやアプリのアイコンを虹色にするのが恒例になっていますが、このように会社がLGBTQ+コミュニティをサポートしていると明示したり寄付をしたりするだけでは不十分なのかもしれません。日本は世界と比べると、まだまだセクシュアリティやジェンダー格差の観点からは後進国と言われています。だからこそ、「コミュニティが本当に必要としているものは何なのか」「社会的、経済的、政治的にどんなサポートが求められているのか」といった意図的で直接的な手助けがどのようにできるのかを、プライド月間のみならず年間を通じて真摯に取り組む必要があるでしょう。
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