Flog_kerokero

#環境課CC シナリオライター

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マガジン

  • 【アントシアンの礎石】

    環境課中編SS 椛重工と環境課の関係の始まりのストーリー。 #環境課CC

  • 【カーボンコピー】

    ブロック連各地で発生する、個々人の目的や機序にそれぞれ関係性のない類似の連続殺傷事件“カーボンコピー” 新簗を皮切りに環境課員は真相を追い奔走する。 総監督:イドクロイ ライター:詠羅 監修:-1CH1、四次元

  • 【Answer Your Justice】

    #環境課CC 創作 長編6

  • 【Memento Mori】

    #環境課CC 創作 【フローロ・ケローロ】キャラクターエピソード

  • 【子祖回胎】

    #環境課CC 創作 長編5

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目次

最終更新日 2020/10/10 【Transistor Cult / Re:Play】Cp.1 【Player】  :2020/04/01 Cp.2 【Look to Audio】  :2020/04/01 Cp.3 【Prayer】  :2020/04/03 Cp.4 【Pr*y for P*ay】  :2020/04/05 Cp.5 【Transistor Cult】  :2020/04/05 Cp.6 【Akashic Records】  :2020/04

    • 【静寂の周波数】

      高速道路を環境課の公用車が走る。 窓の外を流れていく景色に飽きを感じ始めた夜八はサービスエリアで買っていたサンドイッチの封を切った。 「このフルーツサンド当たりかも!」 新鮮な果物を使用しているという宣伝看板は虚偽ではなく、表情を見るに割高だった分の価値はありそうだ。 「次のインターで降ります。そこから15分程で現地に到着予定です」 ウアス・ウェルニッケの呼びかけにネロニカと、少し遅れて夜八が頷いた。 ********************************

      • 【白日の表裏】

        D案件—―ド取による環境課襲撃から暫く経った頃。 破壊された建造物の撤去や修繕など、おおよそインフラ復旧に関する業務の進捗は一通りの落ち着きを見せていた。 課員の出勤スケジュールに【休み】の文字が書かれるようになったことがそれを証明している。 環境課庁舎は毎日開かれているが課員の人数は心なしか少なく、世間一般でいうところの休日である今日は利用者の数もまばらだ。 来訪者をブラインド越しに眺めていた祇園寺ローレルは、応接室の扉をノックする音で振り返る。 「失礼します。お客様をご

        • 【鳴らない首輪】

          「いい天気だねぇ」 「そうッスねぇ」 穏やかな陽光を浴びながらR1-N地区の巡回業務をこなす二人の環境課員。 山形とラパウィラの腕にネオンイエローの腕章が無ければ、漂う雰囲気は散歩の様にも見える。 ほんのわずかな緊張感とさりげない目配せは自然体を感じさせて、警戒心を抱かせない技術の様でもある。 準備中の屋台を通り過ぎて、信号を渡った先の路地の陰。 大きなダストボックスの前でしゃがみこんでいる子供たちに声をかけた。 「何してんだガキどもー」 間延びした呼びかけに振り返っ

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        マガジン

        • 【アントシアンの礎石】
          2本
        • 【カーボンコピー】
          7本
        • 【Answer Your Justice】
          3本
        • 【Memento Mori】
          7本
        • 【子祖回胎】
          7本
        • 【Six-B'ts】
          9本

        記事

          【頂に飾る】

          『全項目のチェックが完了いたしました。お疲れ様でした』 電子音声の呼びかけに瞼を開き、青い瞳には平常通りに蜃気楼の格子が映し出されている。 そのまま数秒が過ぎても様子は変わらず、フローロは一度瞼を閉じた。 検査台から立ち上がり、脱いでいた衣類に袖を通す。 ポケットからコンタクトレンズを取り出して、青から赤へ、視界がすっきりと移り変わる。 『検査結果を送信しますので、電脳通信の許可をお願いします』 二件のポップアップ、一つは圧縮されたデータファイル、もう一つは短時間のみ有

          【頂に飾る】

          【頂に触れる】

          「失礼します――」 会議室に入った風炉はフローロの姿を見つけて、そして他に誰もいない事に気がついた。 「お疲れ様です、風炉さん」 「……お疲れ様です」 報告レポートの進みが思ったより早く、スケジュール帳に記載された開始時間にはまだ十分以上の余裕がある。 そんな自分より早く来ている課員がいるとは思ってもいなかったので返事がわずかに遅れた。 「私もついさっき来たばかりですから」 「そうでしたか……。いえ、かなり早く来たつもりだったので」 「ふふ」 柔和な声、穏やか

          【頂に触れる】

          【頂に開く】

          「おなか……くるし……」 唐揚げ定食を食べて、ポテトフライも追加して、締めにバニラアイスのメープルシロップがけをチョイス。 「食べ過ぎですって」 夜八は割とこういうところがある、とフローロは思う。 良く食べて、美味しそうに食べて、ついつい止めずにいると大体苦しくなっている。 微笑ましいだけなので注意などはせず、水の入ったコップを両手で持ってゆっくり飲み干す姿を眺めるだけだ。 しばらくして落ち着いたので、食事中にあった通信履歴を確認し始めた。 「とりあえず出ましょうか」

          【頂に開く】

          【頂に閃る】

          喫煙者の肩身が狭い昨今。 庁舎内には喫煙所が備え付けられているがその場所はどこか辺鄙だ。 エレベーターで上層階に向かい、屋上へと続くバルコニーの片隅は課員のみが利用可能になっている。 フローロは喫煙者ではないが、時折そこに足を運ぶことがあった。 ――この場所の自販機でしか買えない飲み物がある。 ある種のルーティーンに近く、新商品を最速で買いに行く程ではない。 扉を開けると、少しだけ吹き込んだ風に前髪がはためいた。 「おや」 簡易なベンチの傍、深海の様な瞳をした女性課員が立

          【頂に閃る】

          【アントシアンの礎石】 Cp.2

          「お待たせしました」 椛重工の役員用会議室に最後の一人が到着した。 祇園寺ローレルを含めた五人が集まり、環境課から提供された情報と自社の調査によって得られた情報の二つを眺める。 そして渋い顔をした。 この騒動の発端―― 「結論から言えバ――まったくもって恥ずかしい身内の恥ダネ」 ハッカーをバックアップしていたのは椛重工の子会社だった。 数か月前のインフラ整備工事の際、仕事を回されなかった事が気に障ったのかどうか定かではないが。 「上を挿げ替えますか?」 「理由も無く

          【アントシアンの礎石】 Cp.2

          【アントシアンの礎石】 Cp.1

          皇純香。 胸元から下げているIDに刻まれている名前。 椛重工の応接室に招かれた彼女は、調印された書類を見比べている男性の言葉をじっと待つ。 時折向けられる視線を意に介さず、堂々と、胸を張って。 「確認いたしました」 自分とその隣に座る男性役員――初めて顔を合わせる相手。 それぞれ一枚ずつを受け取り、立会人が深々と頭を下げた。 「椛重工と環境課の双方にとって、この関係が良きものでありますよう」 組織間で結ばれた協力関係は文面を見る限り対等だ。 しかし、組織としての規模を

          【アントシアンの礎石】 Cp.1

          【頂に浮かぶ】

          「かわいいでしょ?」 軋ヶ谷は頭上に浮かぶ輪を指差しながら、どこかぼんやりと視線を彷徨わせているフローロに向けて言った。 「天使の輪みたいですよね」 これは比喩ではなく、天使病という電脳疾患によって生じる物体だ。 病名とは裏腹にその症状と関連する事象は目を覆いたくなるようなものではある。 だからというか、その上でというか、天使病に関する話題は意図的に避けている。 これまでに二人が交わした会話にその単語が含まれた事はないし、恐らくはこの後も、フローロから尋ねる事はしないだ

          【頂に浮かぶ】

          【カーボンコピー】 Cp.5

          新簗風炉が電脳化手術を受けた時、具体的に印象に残る事は特になかった。 大仰な手術台へ載せられることも、混濁した意識のまま頭を苦痛に苛まれることも起こらなかったからだ。 ――電脳とは何だろうか。 神経へナノマシンを結合させ、電気信号によって外部との情報通信を可能とした脳のことだ。 意識そのもので情報を知覚することが可能で、聞こえない声で会話し、見えないデスクで作業が出来る。 風炉は施術の前に、院で渡された端末で電脳の資料を確認した。 ナノマシンと聞いていたものは思いの外マシンの

          【カーボンコピー】 Cp.5

          【異信電信】

          『番号176番の方、ご注文の品がご用意出来ました』 電脳に届く電子音声にガメザは口の端を緩ませながら料理の乗ったトレイを手に取った。 「先食ってるぞ」 「待っててくださいよ~」 時間のかかるメニューを頼んだ瑠璃川の声を聞き流して空席を探す。 二人掛けのテーブルにトレイを降ろして、隣の席に座っていた課員の声が耳に入った。 「マップデータの更新だけど昼一で対応するからさ」 向かい合う二人は情報係の様だ。 恐らく業務の会話をしているのだろう―― 「つまり俺が言いたいの

          【異信電信】

          【頂に揺れる】

          「失礼します。発注していた防護服を受け取りに来たんですが」 「準備出来てますよ」 備品管理室を訪ねたフローロを出迎えたのは円城寺椛だった。 タチバナと和泉童子は倉庫にいるらしく、彼女と二人きりになったのは随分と久しぶりに感じられる。 「汚染区画の調査の進捗はどう?」 「悪くは無いと思います。錨の打ち込みで潜航調査が可能な範囲は広くなっていますから」 なるほどと頷いて、頭部で流体の様な何かが揺れた。 以前と変わりのない、彼女のまとう雰囲気や口調も同じく。 D案件中、庁

          【頂に揺れる】

          【カーボンコピー】 Cp.4

          『弊社が提供しているデータ漏洩対策の実績といたしましては――』 応接室に通した岩世の対応をするフォスフォロスは、尚も続けられる商品説明を録音しつつも、電脳内の処理シーケンス制御に神経を尖らせ続けていた。 皇と隠岐は管制室でその様子を確認しているが、三位のセールスマンが口にしている内容は実質的な意味がほとんどない。 彼が行っているのは時間稼ぎ――環境課のセキュリティホールを見つけるまでの、単なる介添えでしかない。 「あれの電脳を侵襲して情報を引き出したほうがいいわ」 会話

          【カーボンコピー】 Cp.4

          【頂を鳴らす】

          休憩室の窓際に座る二人の後ろ姿が見える。 まじまじと向けられる視線と実際に触られるむずがゆさを感じながら、フローロはマグカップのオレンジジュースに口をつけた。 「へーぇ……」 胸元に下げられたIDカードには市民生活係の文字が記されている。 金色のおさげを揺らしながら、ラパウィラはフローロの頭頂部に手を伸ばしていた。 「見た目より硬いッスね」 「外装はFRPらしいです」 「なんで他人事っぽい言い方?」 「義体の仕様は私が指定した訳ではありませんから」 施術後に送ら

          【頂を鳴らす】