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WEEKLY CINTERTOTTING NOTES : 1/18/2020

2020年始まって早々、観たい映画公開しすぎじゃないですか?大丈夫?映画ファンのみんな、忙しいよね。私も、先週に続き今週観たやつはどれもすごく面白かったです。

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・1/13「フォード V フェラーリ」109シネマズ二子玉川  (2020年3本目)
ル・マンが24時間耐久レースということすら知らず、その過酷なルールを鑑賞中に初めて知り「え、なにそれ、めっちゃ大変じゃね…」となるぐらいカーレースについては知識が無かった私です。

すごく面白かった…たいへん胸が熱くなりましたし、観終わったあとに劇場を出て、開口いちばんに「フォード2世はせっかくのレッスンを受けたはずなのになんなんだあれは!バカなのか!」と烈火のごとく怒ったりもしました。(あのシーン、本当に本当にみているこちらとしても泣けてきちゃうほど言葉にならない感情が超押し寄せてきた最高のシーンなので余計に!)映画って楽しいですね。

俳優ひとりひとりが本当にそれぞれの立ち位置で素晴らしく、誰一人欠けてもこの物語は伝わりきらないなと感じました。特に主演の二人は(私の勝手な思い込みですが)現実のイメージと近いような気がしました。マット・デイモンのなんでもかんでもデキすぎちゃうのに調整役に走り回る姿の輝いていること…またクリスチャン・ベールのあの無鉄砲な感じと相手を煽るような言動もすごくイキイキとしていましたよね。謝りにきたシェルビーに対し、買い物袋を抱えた短パン姿でハァ?何しに来たんすかァ?と対応しているところがたまりませんでした。

まさか敵は敵だけではなく…というトンデモなんだけど世の中によくある構造に対し、大事なこととは、冒頭とラストにも繰り返される質問の答えなのでしょうね。 The only question it matters: WHO ARE YOU?

・1/15「TEEN SPIRIT」新宿ピカデリー (4)
新宿ピカデリー、入り口は広くて綺麗だし同じビルにMUJIカフェもあるし最高なのですがとにかくスクリーンに辿りつくまでに延々とエスカレーターをのぼらねばならないですね。

「TEEN SPIRIT」、監督のマックス・ミンゲラ、今作が監督デビュー作。「ラ・ラ・ランド」の音楽監督マリウス・デ・ヴリーズが音楽を手掛け、そして現代の「ミューズ」という概念の象徴ともいえるエル・ファニングが主演、なんといっても、歌います!という一本です。

チラシを見る限りでは観にいきたいとはあまり思えなかったのですがちょこちょこと目に入る面白かったよ報告に期待しました。結果、期待してよかったー、映画館で観てよかったー、大満足でした。チラシとの温度差がすごいオブザイヤーですよ。

イギリスの離島でお母さんと二人で暮らすポーランド系の女の子が、オーディション番組に挑戦するというとてもベタなシンデレラストーリー。とにかく冒頭の美しいショット連発にまず驚いてしまう。冷たい空気がこちらにも伝わってきそうなアイスブルーの空、フロレッセントピンクの書体でスクリーンに輝くキャストやスタッフの名前、透けてしまいそうなエル・ファニングのブロンドの髪と未来に思いを馳せる横顔。綺麗すぎる〜!一生みていられるような景色です。

エル・ファニングはいつものエル・ファニングで(それがいい)、無愛想で気の利いたことがなにひとつ言えず、裕福でないがゆえ学校以外は働きづめなのですがそんな生活でも歌を愛し、旧式ipodから流れる音楽を愛し、お世話をしている馬も本当に愛しているのが特に言葉なくスクリーンめいっぱいに非常に美しく語られます。

映画はとてもミニマムな作りで、そのシンプルさがこういったサクセスストーリーでは新鮮なほどです。しかし重ねていくオーディションのシーンたちは、その手があったのか!と膝をうちたくなるほど。荒削りだけど美しい、まさにダイヤモンドの原石!なエル・ファニングを余すことなく伝える演出が素晴らしいし、その期待に応えまくるエルの姿とその歌声!超必見です。

彼女が演じるヴァイオレット、彼女のような戦うイギリスのティーンは、こういう音楽が好きなのね〜となる選曲も良いです。とある曲を歌わされるシーンでは逆に死んだような目をしてるのも面白い。ていうか彼女の名前もめちゃくちゃよくないですか?ヴァイオレット。

・1/15「テッド・バンディ」渋谷HUMAX (5)
初めて行く映画館です。ディズニーストアと同じビルの4階が入り口なのですが、どこから入ればいいのかわからず、とても楽しげなディズニーストアの店内をけっこうな時間ウロウロしてしまいました… 

いざ館内に入ると、真ん中に大きなドームが。あれはなんなのでしょうか。次行ったときはスタッフに教えてもらおう…。そのドームのまわりに上映中の作品についての記事が大量にペタペタと貼られていたり、休憩スペースがいいかんじにゆったりしていたり、何の関係があるのかわからないのですがアーティストのオリジナルグッズを販売していたりと映画館としての活気を感じました。

「テッド・バンディ」、1970年代にアメリカで起こった連続殺人の犯人であるテッド・バンディを題材にし、そのシリアルキラーをザック・エフロンが演じます。シリアルキラーという言葉は、このテッド・バンディを表すために作られたのだそうです。

なんと当時、彼の裁判はテレビ中継がされました。いろいろあって自分の弁論は弁護士でなく主に自分で行ない、全くの無実であることを終始訴える彼には多くの熱狂的な支持者やファンがついたらしいです。劇中でも法廷で饒舌に語る彼の姿がありますが、その堂々とした振る舞いに魅了されてしまう人続出だったとのこと。どの時代や国にでも、こういった現象がおこるのだなということがわかりました。

映画の原題はExtremely Wicked, Shockingly Evil and Vile(裁判長が読み上げた文中にあった言葉とのこと)、その文字通り残虐性極まりないテッドの行ったことの数々を映画的に語ろうと思おうものならいくらでもその方向に振り切れるのですが、本作のアプローチはそういったものではありませんでした。テッドに「なぜか殺されなかった」恋人である女性が発表した回顧録を原作としており、その女性の視点から見た葛藤の物語でした。彼女をリリー・ムッチャ可愛い・コリンズが演じます。70sファッション似合いすぎる。

ザック・エフロンの古めかしいハンサム感が非常にいきていて、すれ違うだけで女性の心を掴んでしまうだけでなく全方位に放つひとたらしぶりがすごい。なんだけど、ちょっとずつ伝わってくる、彼の怖くなるほどの前向きさ、そして、なるほどこうやって…と感心してしまうほどの相手のコントロールさばきの恐ろしさ…

しかし、あのラスト、マジなのかしら…

監督はジョー・バリンジャー。テレビシリーズの「パラダイス・ロスト」はじめドキュメンタリーに長年携わってきており、テッド・バンディについてはこの映画の前にNetflixで「殺人鬼のとの対談:テッド・バンディの場合」を発表しています。

ところで犬はヤベーやつを見破れる、という演出はここ最近観た映画でも2回目でした。

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