郵便ポスト#9 <小説> 全12回(予定)
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1977年
季節は春。ポカポカ。立っていても、どういうわけか眠くなるそんな陽気。
新しくなった駅舎を中心に駅前広場、ロータリーが街に馴染み、落ち着きが出てきた。目に見える範囲では確認できないが、どこからともなく春の風に乗って桜の花びらが舞い込んできた。ワシは、朝から西口の彼女が気になっていた。あからさまに見ることは、できん。テレちゃうから。横目でチラチラっと。空を舞う桜の花びらを、目で追いながら、その後ろの視界に映り込む西口の一周り細い赤いあの