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2016年慶應義塾大(文)自己推薦_和文英訳解答例

慶應義塾大文学部自己推薦2016年【はじめに】
・英訳は教員歴10年以上の著者とアメリカ人教員と協力して作りました。公式に模範解答が公表されていない以上、あくまで解答例として受験生の学習の手助けになればと思っています。
・例年の受験生のWritingと合否を考えて受験生でも書けるラインを意識しています。難しすぎる表現を使い、立派すぎる解答を見ても受験生は自分の力に落とし込むことはできません。比較的平易な表現を使って、この解答なら真似できるというレベル感で合格ラインを超える解答例を意識しています。
・一方で、慶應の文学部ならここまではかけて欲しい表現や、繰り返し出題される表現もあります。過去問演習を通じて自分の英語力向上に努めましょう。
・また一度の添削で学習者が吸収できるのも10個と踏んで、あまり多くをポイントとしてあげていません。個別で受験生の添削や質疑応答を受けている時の指導ポイントに絞りこみました。記述問題では満点をとることは難しく、模範解答と自分の解答を見比べながら、吸収できるものを一つずつ積み上げていきましょう。粘り強く取り組めば必ず力が着くのがWritingです。

【課題文】
(a)私たちの周囲を見渡して見てほしい。千年前から受け継いできたものを見つけることなど容易ではない。今回の調査を通じて、地球の神社に関しては私たちが忘れてしまっている、知らないことがたくさんあるということを痛感した。
I want you to look around us. It is not easy to find something that has been handed down for a thousand years. Through this research, I realized that there are a lot of things related to shrines in the world, which we have forgotten or do not know.

※〜して欲しいwant 人to doを使う。Pleaseでもいいが、Pleaseは丁寧な命令文で「見てください」の意味。原文からニュアンスがずれると判断した。
※find「〜を見つける」の意味、find outは「(呼んだり聞いたりして)何かを知る」の意味だから不適当。
※somethingへの関係代名詞はthatが好ましい。
※1000年前はone-thousand yearsが一番よく使われるがハイフンの使用は高校生には難しいのでa thousand yearsにした。なおyearsと複数形にすること。また1,000 yearsとしてもよい。その際、3桁の箇所にカンマを打つこと。
原則数字は1〜9はスペルアウトして10以上はアラビア数字を使うが、英作文ということも考えて今回はスペルアウトした。ちなみに10をスペルアウトするのはイギリス英語
※完了形を使うならfromやagoはセットで使えず、since~「~から継続してずっと」かfor~「~もの間継続してずっと」。今回は千年なのでforを使う。
※「〜と痛感した」はrealizedを使った。
※神社はshrine(神道)でお寺はtemple(仏教)を間違えないこと。また単数複数は複数形を原則で書くと良い。英作文でミスを減らすには複数形で書く癖をつけましょう。単数形にして三単現sを間違えるミスを減らる。また不可算名詞や文脈上単数の時のみ単数形を使うように心がけましょう。
※「地球の」はin the worldでよく、機械翻訳の様に直訳調にearth’sとするのは間違い。
※, whichのカンマは先行詞が離れていることのマーカー。非制限用法ではない。
※「忘れてしまっている」は現在完了を使うと良い。
※orを使ったが日本語の意味は「忘れてしまっているか、知らない」のどちらか一方なのでorとした。「忘れてしまっていて、知らない」の両方の意味ならandが適当。

(b)こうみると、各地域集団が成し遂げた歴史的偉業は、その地域の人々にしかできないことなのではなく、むしろホモ・サピエンス種として私たちが共有している潜在力を示すものであることが、わかってくる。どの地域文化にも、ホモ・サピエンスの文化としての共通要素と、独自の要素の両方が認められる。
In this way, you come to understand that the outstanding historical achievements by every local group do not show what only local people can do but also show our common potential as a species of Homo sapiens. In every local culture, you can see both common features in the culture of Homo sapiens and unique features.

※「わかってくる」の意味としてcome to understand thatとした。thatは通例省略するが、この文章SVの入り組みが多く難しいのでthatを入れて分かりやすくした。
※「歴史的偉業」はoutstanding historical achievements、地域集団がそれぞれ様々なことを成し遂げたので複数形にするのがよい。the great achievements in historyも可、形容詞を二つ並べる際の語順に注意が必要で地震がない場合は形容詞を複数個並べる書き方は避ける。今回もhistorical outstandingではなく、outstanding historicalの語順が正しい。
※「〜ではなく・・・」を表しているは無生物主語構文でshowを動詞として使用。not A but (also)Bがよい。
※関係代名詞のwhatを使ってwhat only local people can doはsomething that only local people can doでも可だが、一文が非常に長いのでよりSVが少なくシンプルな表現にした。どのSとどのVが対応しているかをわかりやすくすることが読み手への配慮になる。
※only local people can doはlocal people can only doにすると「地元の人々は~するだけ」になるので不適当。
※「共有している潜在力」はcommon potentialとした。potentialは原則、不可算名詞なのでsはつけていない。
※別解としてEvery local culture consists of both common~と無生物主語で書くこともできる。その場合consist of, include, haveなどの動詞を使う。consist ofが一番望ましいが難しければ中学英語のhaveで書く。
主語をヒトにするのかモノにするのかによって動詞の選択や態が決まる。ヒトならI, we, youを考える。モノなら無生物主語、その他it, there is/are構文など。
※「各地域の」every localでもeach localでも可、どちらも単数扱いになるので動詞には三単現sが付く。
※「共通要素」はcommonを使い、要素は特徴を表すfeaturesを使った(複数形)。features, aspects, elementsなどが適当。要素と直訳せず、文化の特徴,側面と考える方が日本語の意味に沿うと判断。factorは因果関係がイメージされるので意味がズレる。
※「独自の」はuniqueにした。indigenousなどもあるが、シンプルにわかりやすく中学英語で書くを基本に!

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