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#YA小説
オオカミ神話を覆す物語
那須田淳 『ペーターという名のオオカミ』(小峰書店、2003年)
すごい本に出会ってしまった。随分前に出版されていたのに、今まで読まなかったのが悔やまれる。もう社会人になってしまった息子たちの若き日に、ぜひとも読んでもらいたかった。
『赤ずきんちゃん』はじめ「ピーターと狼」でも悪者のイメージが強い狼だが、これはペーター(ピーター=人間)とオオカミ(動物、自然)を本来あるべき位置に取り戻す物語だ
『風の陰陽師』シリーズに震えた
三田村信行『風の陰陽師』シリーズ(ポプラ文庫、2010~11年)
初版2007年刊行のこのシリーズは
マンガ化もされているため
ご存じの方が多いと思う
私は『ハリーポッター』でも
夢に出てきてしまうほど怖がりなので
この類いの物語は基本読まないのだが
同著者による『安寿姫草紙』で免疫ができて
今ごろになって初めて陰陽師シリーズに挑んだ
目の前にはっきり情景が浮かぶほどリアルで
もちろん恐ろし
私にとっての『セイギのミカタ』
佐藤まどか作・イシヤマアズサ絵 『セイギのミカタ』(フレーベル館、2020年)
「みんながほんのちょっとずつ勇気をもてば、なにかが変わるかもしれない」――そんな著者の思いが詰まった1冊
赤面症でトマトマンと呼ばれる主人公の前に現れる
セイギのミカタ
直球ストレートできたかと思ったら変化球で
最後まで目が離せない展開だ
小学4年の時
私は2度目の転校で
1年の時と同じ小学校に戻った
すでに知っ
病気の友だちと介助犬と『おいで、アラスカ』
てんかんの患者さんを支える介助犬が
飼い主と元飼い主の狭間でどんな選択をするのか
スリルある展開に心奪われつつ、一気に拝読
介助犬やてんかんの知識はもとより
SNSの怖さや
上手に使いこなした際の威力についても盛り込まれており
楽しみつつ学ぶことができる
が、それ以上に
病気や障がいを抱える友だちと
どう接したらよいか
深く考えさせてくれる本
また素敵な本に出会えた
芸術の秋にこの1冊『アドリブ』
イタリアの国立音楽院に通うユージは
進路に悩む15歳
10歳の夏にフィレンツェの大聖堂で
同音楽院の生徒たちの演奏を聴き
フルートの音色に魅せられて以来
フルートを学ぶことを決意したのだった
ユージにはきっと芸術的センスがあるのだろう
とりわけ音楽や美術の道には
生まれもった才能が不可欠だと信じる私は
主人公がとても遠い存在に思えた
ところが
音楽院の入学試験に
フルートすら持参せずに挑ん