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新型コロナウイルス感染症対応休業支援金が支給されると大混乱になる可能性がある。

休業手当が支給されない会社に対して直接労働者に支給される「新型コロナウィルス感染症対応休業支援金」が国会で議論されています。

新型コロナウィルス感染症対応休業支援金

✅新型コロナウィルス感染症対応休業支援金の内容

新型コロナウィルス感染症対応休業支援金についてはこのような内容が国会で議論されています。

1.休業手当を受けることができない労働者に関する新たな給付制度
①新型コロナウイルス感染症等の影響により事業主が休業させ、休業期間中に休業手当を受けることができなかった被保険者に対し、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金を支給する事業を実施できる。
(注)中小企業の被保険者に対し休業前賃金の80%(月額上限33万円)を休業実績に応じて支給。
② 雇用保険の被保険者でない労働者についても、①に準じて給付金を支給する事業を実施できる。
③ ①及び②の給付金について、公租公課や差押え禁止及び調査、報告に関する規定の整備等の規定を整備する。

✅会社は休業手当を支払う義務がある

新型コロナウィルスにより会社が休業する場合には休業手当を支払わなければならいと労働基準法で規定されています。
労働基準法は強行法規であるため従わないと30万円以下の罰金になります。

労働基準法
第二十六条 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。

✅休業手当を支払った会社には雇用調整助成金がある

休業手当を支払った会社に対しては雇用保険から雇用調整助成金が支給されます。この雇用調整助成金については休業手当の支給率によって助成金額が変わっていきます。
申請書類については簡素化されたため申請はしやすくはなりました。

✅休業手当を支払うことができない会社の社員を救済する

売上が激減してしまい休業手当を支払えない会社が増えてきました。それは会社の問題だけでなくそこで働く社員についても給料がなくなるためその人たちを救う必要があります。

今回の国会により休業手当を支払うことができない会社に対して新型コロナウィルス感染症対応休業支援金ができました。

会社を救うという目的よりもそこで働く社員を救う

この目的の方が強いと思います。

しかしここで問題が生じます。

✅真面目に休業手当を支払っている会社がバカを見る

会社は上述のとおり会社の責任において休業させた場合には休業手当を支払わなければなりません。新型コロナウィルス感染症対応休業支援金を利用する会社に対しては休業手当を支払う義務が生じるにもかかわらず休業手当を支払わない状態が生まれるようになります。

真面目な会社ほどバカを見る

こんな状態になりかねません。
また休業手当を支払う義務を回避できるならそっちの方がいいという会社も出て現場が混乱するおそれもあります。

✅二重取りになる可能性が出てくる

これを労働者の立場から見てみると新型コロナウィルス感染症対応休業支援金をもらう場合は休業前賃金の8割をもらうことができます。しかし休業手当については会社の支給率決定により6割から10割まで幅広いです。
そのため休業手当の支給率が低くなると新型コロナウィルス感染症対応休業支援金を利用した方がもらえる補償額が高くなることになります。

新型コロナウィルス感染症対応休業支援金を受給した後に労働基準法の義務である休業手当を支払ってくださいということも起きかねません。
つまり二重取りをできる可能性が出てきます。

現場が混乱するのが目に見えています。
もっと細かい議論をして法制化した方がいいのですが、今にも倒産しそうな会社を救うためには見切り発車も仕方ないのかもしれません。

社会保険労務士としても余計な相談が増えて混乱しそうな感じがします。早く新型コロナウィルスの収束を願うばかりです。

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