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休業者に賃金の8割直接給付する場合の問題点や手続きについて

厚生労働省が休業者に賃金の8割を直接給付する方針であると発表がありました。

厚生労働省は13日、休業者に月額賃金の8割程度を直接給付する方針を固めた。上限額は月33万円程度で調整する。雇用調整助成金を申請していない中小企業の従業員を対象とする。企業が申請する手続きの煩雑な雇用調整助成金を通してよりも、休業者を迅速に支援できるようにする。

関連法案を今国会に提出し、成立次第、給付を始める。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた雇用保険の特例制度として設ける。
(日本経済新聞より引用)

✅休業手当について

会社の責めに帰すべき事由によって休業させた場合には使用者は労働者に対して平均賃金の6割を補償しなければなりません。これが休業手当です。新型コロナウィルスにより売上が激減して労働者を休ませる場合にはこの休業手当というのが必要になります。

休業手当を支給した会社に対してその一部を助成してくれるのが雇用調整助成金になります。

✅雇用調整助成金の問題点

ただこの雇用調整助成金が使えないと言われています。これは一番の問題点は休業手当を支払った後にしか助成金を申請できないことです。

今回の新型コロナウィルスにより影響を受けている会社は飲食業など消費者に直接商売をしているようなサービス業です。大企業みたいに余剰金などはなく、お客さんを相手にしながら売り上げを上げて経営を行っている会社がほとんどです。
そのため営業自粛により売上が激減するとお金が回らなくなり経営が苦しくなります。そこにいつ入るか分からない雇用調整助成金のために休業手当を支給しなければならないわけです。

そのような会社にとっては死活問題です。本心としてはスタッフに休業手当を支払ってあげたい気持ちはあるけど払えない会社は多いです。

✅休業手当を支払わない会社も中には出てきている。

スポーツジム最大大手のコナミスポーツではほとんど働いている人は非正規社員だそうです。この非正規社員についてコナミスポーツは休業手当を支給しない

休業手当というのは会社の命令により休ませた場合に支給しなければならないものです。しかしコナミスポーツは休業要請を理由に休業手当を支払わないという考えになりました。

休業要請でスポーツジムは対象となっていたため会社の命令で休業したわけではなく、都道府県知事の命令により休業させたのだから会社側としては休業手当の支払い義務はないという言い分です。

この休業要請について休業手当を支払う義務があるかないのかどうかは議論が分かれるところです。

✅休業手当を支払わない会社に対しての救済としての直接給付の制度の考え

休業手当を支払わない会社が出てきたことや休業要請によって休業手当を支払わなければならないのかという問題、そして二転三転する雇用調整助成金の問題により救えない休業者が増えてきました。

そのためその人たちを救うために救済するために休業者について直接8割給付する考え方が出てきました。制度の狭間に陥って苦しんでいる会社がいるためいいことだと思いますが、問題点があります。

✅直接給付をする場合の問題点

労働基準法は強行法規であり本来ならば支払い義務があります。その会社が休業手当を支払わずに直接給付をする可能性もあります。したがって法律を守らずに支払うことがありえるのかという問題点があります。

また直接給付が仮に全部の会社に使えるとしたら今まで苦しいながらも休業手当を支払っていた会社との整合性も取れなくなります。

✅直接給付するための手続きについて

手続き上の問題もあります。いったい休業補償としてどこの金額で8割補償をするのかということになります。みなし失業については離職票を発行するので過去6ヶ月間の給与を元にして給付が決まりますが、今回はまだ発表がないので何ともいえないです。

持続化給付金のように手続きが簡単になれば申請件数は増えそうですが、今回は労働者がひとりひとり申請することになるためにサーバーもパンクするおそれもあります。またネット環境が使えない年配の労働者についてはネット申請はできないのでその点もどうするのか気になります。

分かり次第また記事にしていきたいと思います。

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