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vol.12 池上彰 佐藤優「知的再武装」を読んでみた

リスキリング

池上彰 佐藤優「知的再武装60のヒント」
(文春新書)を読みました。


昨今、『リスキリング』が声高に叫ばれているので、関連するであろう本を読んでみることにしました。



リスキリングとは、2021年2月26日に
経済産業省の「第2回デジタル時代の人材制作に関する検討会」で行われたリクルートワークス研究所のプレゼンテーションの中で、下記のように発表されました。

「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、 必要なスキルを獲得する/させること」

この本では、経産省が取り上げるより前(2020年に発行)に、池上さんと佐藤さんが対談形式で「学び」について話したことをまとめたものになります。


45歳は重要な折り返し地点。
45歳までに自分は何をやったのか。そのリスト作りをする

これは、ヒント1に書かれているものですが、この本の最も言いたいことをまとめた言葉になると思います。

まだ動くことが出来ていない方にとっては、恐ろしい言葉になると思います。


45歳までに…

佐藤さんは次のようにも述べています。

45歳までに手掛けたこと以外は、たぶん次なる仕事には使えない

私の場合は、35歳に転職するのに合わせて、行政書士試験の勉強をし始めたのですが、学生のころと比べても覚えが悪くなっていることを嫌というほど実感しました。

今まで45歳という年齢が節目になる、という考えはなかったのですが、確かに、佐藤さんの仰っているように、45歳になってからでは相当難しいのではないかと思いました。

新卒入社し、ひとつの会社にいれば、「あと10年で満額の退職金」ということも視野に入り、新しいことを始める意欲も削がれてしまうということも考えられます。

子供の養育費、大学資金のことも考えなければならず、身動きが取れないというのが実情なのではないかと思います。

この本では60歳にもう一つの壁、分岐点がある、と書かれているのですが、これは60歳から新しいことにチャレンジしてみよう、という明るいものではありません。

良い老後の過ごし方・考え方について書かれているのであって、60歳まで動かなくて良いという救いのものではありません。

そのため、若いうちに動くべき、という結論自体は変わらないので、動けない人・動かなかった人にとっては、より絶望する内容と言えると思います。


まとめ


また、政府がリスキリングを主導していることに伴い、大企業を中心に各企業でも取り組みを進んでいるのですが、その目的は主に「DXの推進」なのだそうです。

この本では、「学問のすゝめ(福沢諭吉)岩波文庫」「論文の書き方(澤田昭夫)講談社学術文庫」「新しい高校物理の教科書・ブルーバックス」などが学びなおす教材としてはおススメされています。

「DXの推進」とは離れているように見えて、向かっていくところは同じなのかなと思います。


約250ページ。
読みやすい小説を読んだ後だと、専門用語や知らないことが書かれていることが多いので、読み飛ばさないと前に進めない本ではありますが、リスキリング考えるうえで、一つの指針を示してくれている一冊だと思います。



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