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さようなら、小川郷駅。

JR磐越東線小川郷(おがわごう)駅。
いわき駅からふた駅目。ローカル線の小さな駅。
築百年以上経つという立派な木造駅舎が、老朽化のため、今月半ばには解体されると聞いた。
これまで何か縁があったわけではないが、なくなる前にぜひ見ておきたいと思い、足を運んだ。

ホームへは地下道をくぐって
いわき駅方面。
がっしりした骨組みの上屋や可愛らしい待合室は残されるのだろうか?
郡山駅方面
同上

ご多分に漏れず、この日の南東北も、気が遠くなるほどの暑さだった。
空は青く、駅舎の屋根も青く、「東北のハワイ・いわき」だからブルーハワイみたい?
真っ黒に日焼けした、チョイ柄の悪い男子高校生たちが、暑気の籠もった待合室に陣取って、
「次の列車まで一時間待つぜえ!」
「無人駅、舐めんなヨ!」
などと、互いに気合いを入れ合っている。何だかとてもおかしい。

鉄道と郷愁は相性がいい。
ローカル線なら、なおさら。
なぜだろう?
ひと世代もふた世代も、あるいはもっと昔に作られたものが、いまも大切に使い続けられているからだろうか。
この景色はまもなく見られなくなる。そのことを寂しいと思うか、仕方ないと考えるか、何も感じないか。その人次第。
それでも、駅舎の姿と想い出は大勢の人々の記憶に間違いなく残るし、そしていつしか消え去ってゆく。
人間って、その繰り返しだ。

僕は心のうちで小川郷駅に「サヨナラ」を言い、停めていた車のアクセルを踏んだ。

(訪問日:2023年8月7日)

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