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[スマートコミュニティ]歩行者と自転車が優先の街づくり

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ロンドンは「混雑税」「エミッション税」を導入し、排ガス・渋滞対策に対応していたが、2018年には住みやすく、サステナブルな人中心の街づくり戦略を発表した。乗用車利用を大幅削減し、市内の移動の80%は徒歩、自転車、公共交通にすることを目指し、そのためのまちづくりが進んでいる。ロンドンで自転車にのり最新の都市計画状況を見学した。

ヨーロッパの環境政策
欧州連合は2019年にGreen Deal(環境政策)という脱炭素政策を発表し、その中で2050年までにカーボンニュートラルにすると明確な目標を作り化石燃料に頼らない社会経済作りのための行動計画、公的投資、規制づくりをすすめている。一方でイギリスでは2030年からガソリン、ディーゼル車の販売は禁止となり、カーボンニュートラル目標は欧州連合と並んで2050年となっている。

ヨーロッパ都市でのサステナブルへの道のり
ヨーロッパの都市では一様に排気ガス、CO2排出、交通渋滞の課題を持っているため、国より早くから解決策に取り組んできた。ロンドンはヨーロッパのどの都市よりも早く混雑税を導入した。さらに2019年から「エミッション税」が始まり、2006年以前のディーゼル・ガソリン車が課税対象になっている。同時に新規登録タクシーはゼロエミッション車の利用を義務化した。
2018年くらいから欧州の多くの都市部では「人が住みやすい街、サステナブルな街」重視の都市計画に政策を変え、排気ガス、CO2排出、渋滞解消とともに、車中心の社会から離脱し、乗用車を利用しなくても生活できるまち作り、人の憩いの場づくりに取り組んでいる。

ロンドンの人中心のサステナブルな街づくり
ロンドンは2018年に将来の交通戦略を出し、2041年までに80%の移動が徒歩、自転車、公共交通(バス、地下鉄、トラム)でできる街にすることに決めた。
この計画の実現に向けた動きがすでに始まっている。まずエミッション税の対象となるUltra Low Emission Zoneの範囲と混雑税の範囲を今年から大幅に拡大し、自動車の市内への乗り入れを本格的に削減しようとしている。

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コロナ以降、自転車徒歩での移動が奨励されたため、自転車利用者が急増した。

ロンドンにはアプリベースの貸し自転車が何種類もあり、台数も増えている。加えて電動キックスクータのトライヤルが行われているため、じきに導入されるだろう。
また車中心の道路からバス、自転車中心の道路へ作り替えも進んでいる。下の写真はロンドンシティーの公道だが、以前は車で渋滞していた道だった。今は一般車の乗り入れを禁止し、通行可能なのはバスと自転車だけとなった。入口にはベンチや植木が置かれ、車侵入禁止の道路標識が置かれている。

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次に、自転車専用レーンの拡大である。北ヨーロッパの他の都市では自転車専用レーンが整備されている。オランダ、ベルギー、デンマーク、ドイツなどの都市の自転車レーンに比べるとロンドンは遅れていて、今でも断片的にしかレーンがないため、基本自転車はバス、車と道を共有する。またバス停車場と自転車レーンが混在しているため、バスに挟まれそうになったり迂回しなければならなく危険だ。筆者が以前ロンドンで自転車通学・通勤していた時は、車やバスの間を縫いながら自転車に乗っていた。排気ガスを受けながら、車にぶつかりそうになりながら、であった。
今では下の写真のようにバス停が道路の中心側に移動し、自転車レーンが歩道側に作られている。その分車道が狭くなっている。明確に交通戦略が反映されている道路インフラの一例だ。

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