マガジンのカバー画像

俳句手帖の季語

12
NHK附録俳句手帖の季語で詠んでみた。 月200句、年間2400句
運営しているクリエイター

記事一覧

俳句手帖にある季語で一句 4月

晩春(ばんしゅん)   晩春の水平線を右左 四月(しがつ)     二階よりレコード流る四月尽 弥生(やよい)     弥生の夜バカ殿様の白化粧 清明(せいめい)    清明の日風呂焚くたきぎ背において 春暁(しゅんぎょう)  春暁や通り急ぎし下駄の音 春昼(しゅんちゅう)  春昼や一瞬寝落ち巻き戻し 春の夕(はるのゆう)  五右衛門の炎見つめて春の夕 春の暮(はるのくれ)  春の暮おやじは何をお土産か 春の夜(はるのよ)   滲むインク温し春の夜寝落ちあと 麗か(うららか)

俳句手帖にある季語で一句 9月

秋(あき)           秋なのにこの花に来ぬおひの風 仲秋(ちゅうしゅう)     仲秋やテレビが洩れる夜の街 二百十日(にひゃくとおか)     災なきと二百十日の祈る朝 九月(くがつ)      コロナ漬け早く抜けたし九月かな 葉月(はづき)      我が庵廊下も乾く葉月かな 八朔(はっさく)      八朔や殿の城入り真似て入り 白露(はくろ)      手拭の居場所変わらず白露かな 秋分(しゅうぶん)     秋分の行事控えめ雨もなく 秋彼岸(あきひがん)

俳句手帖にある季語で一句 8月

初秋(しょしゅう)     初秋やずれる口笛隣りから 新秋(しんしゅう)     新秋や赤く色づく葉もありて 秋口(あきぐち)     朝ぼらけ開けて気がつき秋の口 八月(はちがつ)     八月やラヂオ体操慣れにけり 文月(ふみづき)     文月も書きたし多き返事待ち 七夕月(たなばたづき)     七夕月故郷訪ね洋服屋 立秋(りっしゅう)     立秋に軸替えもせず遊ぶ日々 今朝の秋(けさのあき)     芋の露消えて静かな今朝の秋 今日の秋(きょうのあき)     悪

俳句手帖にある季語で一句 7月

朱夏(しゅか)         おむつ替え持ち上げる初めての朱夏 晩夏(ばんか)         持ち替えるバットから鉛筆へ晩夏 水無月(みなづき)       堰越えて水無月流る水の音 梅雨明け(つゆあけ)      梅雨明けと遠く雷届きけり 冷夏(れいか)      冷夏でも手拭絞る機仕事 炎昼(えんちゅう)      炎昼や撒けども消えるバケツ水 夏の夕(なつのゆう)     アスファルト尻の暑さが夏の夕 夏の夜(なつのよる)      夏の夜兄はお化けを知りもせず 土

俳句手帖にある季語で一句 6月

夏の日(なつのひ)   歌謡曲空と海ある夏の日よ 六月(ろくがつ)    我誕生六月の雨降る日 皐月(さつき)     校舎よりブラス揃いし皐月かな 芒種(ぼうしゅ)    水盤へ芋を浸らす芒種かな 田植時(たうえどき)  田植時自慢話の植える技 入梅(にゅうばい)   入梅を知らせる如しどつと降り 梅雨寒(つゆさむ)   梅雨寒や箪笥の中を入れ替えて 夏至(げし)      着る着ない寒暖を知る夏至の朝 白夜(はくや)     築山へてふの舞来る白夜かな 半夏生(はんげしょ

俳句手帖にある季語で一句 5月

初夏(しょか)      中田島波とたわむる初夏の甲 夏はじめ(なつはじめ)  夏はじめ大きく開く窓で唄 夏(なつ)        句投稿靴下はかぬ夏が来た 五月(ごがつ)      葦が伸ぶ五月の光つぶつぶと 聖五月(せいごがつ)   聖五月婚衣の二人足揃え 卯月(うづき)      卯月なりかをりに満ちる煎餅屋 立夏(りっか)      立夏の港豪華客船接岸す 今朝の夏(けさのなつ)  着替えどもいやに汗ばむ今朝の夏 夏に入る(なつにいる)  白頭も狭くなり富士夏に入る

俳句手帖にある季語で一句 3月

春(はる)       朝日受け春のスカート回り見せ 陽春(ようしゅん)   陽春や肥え桶担ぐ夫婦棒 仲春(ちゅうしゅん)  仲春やスマホにはひる吾子の頬 春なかば(はるなかば) 啼く鳥やはぐれ雲行く春なかば 三月(さんがつ)    三月や机を整理新ノート 如月(きさらぎ)旧暦二月 如月の笠追ひ越して雪は舞ふ 啓蟄(けいちつ)    啓蟄は既に過ぎしか木々目覚め 春分(しゅんぶん)   春分を迎ふ観音テント建つ 彼岸(ひがん)     お彼岸の水掛不動あたる杓 春の日(はるの

俳句手帖にある季語で一句 2月

初春(しょしゅん)   我一人初春の海へ漕ぎださぬ 二月(にがつ)     二月には父は帰るか空いた席 二月早(にがつはや)  二月早旅に出る夢二度も見る 睦月(むつき)     寒さ溶け睦月に生まれこの名前 旧正月(きゅうしょうがつ) 旧正月着るものだけは出し揃え 節分(せつぶん)    節分や鬼女房の手へ豆を 寒明(かんあけ)    寒明を待ちて兎もひとまわり 寒終る(かんおわる)  寒終わる知らせなくとも出る畑 寒過ぎる(かんすぎる) 寒過ぎるいよいよ硬し霰餅 立春(り

俳句手帖にある季語で一句 1月

一月(いちがつ)    一月や予定埋まらぬカレンダー 正月(しょうがつ)   正月や二人しずかに迎えけり 新年(しんねん)    新年の挨拶長し新社長 年明くる(としあくる) 行事終え年明くる朝迎えけり 年立つ(としたつ)   年立つやエンジン始動とびら音 初春(はつはる)    初春や開扉に祢宜がうなり声 新春(しんしゅん)   新春やウィーンの音届け物 明の春(あけのはる)  甘酒を参拝すみて明の春 今年(ことし)     鐘の音この一発は今年なり 去年(こぞ)     

俳句手帖にある季語で一句 12月

冬ざれ(ふゆざれ)     冬ざれや欅箒が屋根の上 冬帝(とうてい)      冬帝の威厳に隠す陽の温み 厳冬(げんとう)     厳冬の朝スチームバルブ鳴りて来る 冬将軍(ふゆしょうぐん)     冬将軍今年も雪を引き連れし 玄冬(げんとう)      玄冬や一巡りくる木に花芽 暖冬(だんとう)      暖冬と云えども水は突き刺さり 仲冬(ちゅうとう)     仲冬の本屋の古きグルメ地図 十二月(じゅうにがつ)     白髪染め床屋忙し十二月 霜月(しもつき)     

俳句手帖にある季語で一句 11月

冬(ふゆ)       火鉢には冬と言うのに五徳だけ 立冬(りっとう)    立冬や影長並ぶ朝の道 冬に入る(ふゆにいる) 冬に入るポケットが好き僕の手ぞ 冬来る(ふゆきたる)  新品の手袋出番冬来る 今朝の冬(けさのふゆ) 息白し影に映るや今朝の冬 初冬(はつふゆ)    初冬やボイラーバルブ鳴りて来る 十一月(じゅういちがつ) 布団からあまりの寒さ十一月 神無月(かんなづき)  神無月裏の神様ひっそりと 神去り月(かみさりづき) 宝くじ誰を頼るか神去り月 神有月(かみあり

俳句手帖にある季語で一句 10月

白秋(はくしゅう)   静けさや白秋の夜聞く汽笛 錦秋(きんしゅう)   音もなく錦秋の苑葉ぞ光り 晩秋(ばんしゅう)   晩秋の一つ家集う筆自慢 十月(じゅうがつ)   十月や我が身に授く世の重き 長月(ながつき)    長月の半纏の裾ほつれけり 寒露(かんろ)     水鳥の潜りて食みし寒露の日 秋の暮れ(あきのくれ) 道ひかる草の実飛ばす秋の暮れ 秋の夜(あきのよる)  戸を閉めて一部屋集う秋の夜 身に入む(みにしむ)  父居ぬと夕餉身に入む席ひとつ 秋寒(あきさむ)