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俳句手帖にある季語で一句 1月

一月(いちがつ)    一月や予定埋まらぬカレンダー
正月(しょうがつ)   正月や二人しずかに迎えけり
新年(しんねん)    新年の挨拶長し新社長
年明くる(としあくる) 行事終え年明くる朝迎えけり
年立つ(としたつ)   年立つやエンジン始動とびら音
初春(はつはる)    初春や開扉に祢宜がうなり声
新春(しんしゅん)   新春やウィーンの音届け物
明の春(あけのはる)  甘酒を参拝すみて明の春
今年(ことし)     鐘の音この一発は今年なり
去年(こぞ)      鐘の音去年の別れは消え終わる
去年今年(こぞことし) 最終回終えて新たな去年今年
初昔(はつむかし)   陽を拝み鐘の音忘る初昔
元日(がんじつ)    元日が松の痛みや新しき
鶏日(けいじつ)    鶏日や人日待たず句を作り
元旦(がんたん)    文句ある元旦だけは飲み込みて
元朝(がんちょう)   元朝の影を連ねて宮参り
大旦(おおあした)   蝋燭を灯し迎える大旦
二日(ふつか)     胃もたれる二日の夜は芋をする
三日(みっか)     行事なく小遣い握り三日かな
三が日(さんがにち)  酒くらい駅伝を観る三が日
寒の入り(かんのいり) 風凪げど凍る夜空も寒の入り
小寒(しょうかん)   小寒や父の形見は窮屈で
人日(じんじつ)    人日や未踏の道を探し行く
七日正月(なぬかしょうがつ) 七日正月遠い親戚訪ひて
松の内(まつのうち)  松の内残業せぬとパチンコへ
松過ぎ(まつすぎ)   松過ぎて仕事が動く電話とる
小正月(こしょうがつ) 小正月一臼餅を搗きにけり
女正月(めしょうがつ) 女正月姉の友達手を火鉢
大寒(だいかん)    大寒や芯まで冷たき顔洗う
寒の内(かんのうち)  寒の内豊作願ひ田をおこし
寒気(かんき)     傾きて柱に隙間入る寒気
冴ゆ(さゆ)      Uターン赤きランプが冴え続く
厳寒(げんかん)    厳寒を火鉢一つへ集う部屋
しばれる        故郷はしばれる言わぬ寒くなく
冬深し(ふゆふかし)  冬深し石臼回し豆を挽く
三寒四温(さんかんしおん)  陽の角度三寒四温と高くなり
日脚伸ぶ(ひあしのぶ) 風吹けど手袋いらぬ日脚伸ぶ
春待つ(はるまつ)   打ち明ける春待つ心ゆめごこち
春近し(はるちかし)  隣り部屋引っ越し準備春近し
冬尽く(ふゆつく)   待ちわびる障子が鳴らぬ冬尽く日
初茜(はつあかね)   今切れ橋伸び浮きし弧の伸び初茜
初東雲(はつしののめ) ははは前初東雲の髪の色
初明り(はつあかり)  初明り雨戸の節穴知らせけり
初日の出(はつひので) 初日の出手袋外しシャッター音
初空(はつぞら)    初空へ黄金色染むネールかな
初御空(はつみそら)  どこまでも青澄みわたる初御空
初霞(はつかすみ)   手も温い山の裾には初霞
初東風(はつごち)   ウィンドサーフィン初東風受けてすべりだす
初松籟(はつしょうらい) 中田島初松籟に葉が舞ひて
初凪(はつなぎ)    初凪や貝殻投げる浜名湖に
御降(おさがり)    御降やおうどが湿り下駄の跡
淑気(しゅくき)    淑気満つ墨の黒さを八つ切りへ
冬天(とうてん)    冬天へ八本あり飛行機雲
凍雲(いてぐも)    凍雲の影来るグランド
寒月(かんげつ)    寒月を真上に仰ぐ帰り道
寒の雨(かんのあめ)  止めば来る願いて帰る寒の雨
霧氷(むひょう)    陽を受けて満開霧氷舞い散りて
樹氷(じゅひょう)   スキーゆく大きなループ樹氷林
雨氷(うひょう)    手袋をものとせずに雨氷かな
風花(かざはな)    風花や舞えば雪だと大騒ぎ
吹雪(ふぶき)     落ちつけぬ外は吹雪と影動く
雪晴れ(ゆきばれ)   雪晴れや畝の目見えぬ棚田かな
雪しまき(ゆきしまく) 雪しまくドアーばたりと閉めりけり
雪時雨(ゆきしぐれ)  雪時雨かじかむ指でハンドルを
雪女郎(ゆきじょろう) かきわけてまみれ姿の雪女郎
雪女(ゆきおんな)   雪女けふはどこまで舞いゆきぬ
しづり雪(しづりゆき) しづり雪横切りわたる棚田かな
寒雷(かんらい)    寒雷や光吸われしとどく音
雪起こし(ゆきおこし) 黒雲や腹にこたえる雪起こし
寒茜(かんあかね)   道具箱担ぎてそとは寒茜
初景色(はつげしき)  新築増え見通し変わる初景色
初富士(はつふじ)   陽は横へ初富士拝む宮へ道
初筑波(はつつくば)  新築の影に隠れし初筑波
初比叡(はつひえい)  琵琶湖より今年も拝む初比叡
初浅間(はつあさま)  凍みる手を強く合わせて初浅間
若菜野(わかなの)   厚着して若菜野へ行く母を追い
寒の水(かんのみず)  井戸覗く釣瓶避けるか寒の水
氷(こおり)      チャンバラや氷の刀光散る
氷点下(ひょうてんか) 氷点下ニュース知らせる羽根蒲団
凍る(こおる)     歯磨きや凍る釣瓶の水しみる
氷柱(つらら)     水車小屋けふは休みと氷柱かな
冬滝(ふゆだき)    刻一刻明けの冬滝色かわり
滝凍る(たきこおる)  滝凍るニュース頼りに車繰る
凍滝(いてだき)    凍滝や命を繋ぐ水流る
氷壁(ひょうへき)   氷壁の強さに耐える綱ありや
氷江(ひょうこう)   氷江へ沈む夕日が揺らぎなく
氷湖(ひょうこ)    氷湖掃く我先コース滑り出す
御神渡(おみわたり)  御神渡り神官はゆく滑る足
氷海(ひょうかい)   氷海をかき分け進む巡視艇
波の花(なみのはな)  白くなし水の汚れか波の花(
春着(はるぎ)     ぽくぽくと八幡様へ春着かな
喰積(くいつみ)    喰積や紅白交互詰めにけり
草石蚕(ちょろぎ)   小さくも紅い草石蚕やここにいて
数の子(かずのこ)   高価なり数の子残る歯の間
結昆布(むすびこんぶ) 重箱へ結昆布を詰め〆る
ごまめ       一摘みごまめが香る台所
切山椒(きりざんしょう) 切山椒この味出来ぬ妻の腕
屠蘇(とそ)     父注ぐ鼻つく屠蘇を飲み干さぬ
年酒(ねんしゅ)   二軒目が年酒が味を遠のかせ
大服(おおぶく)   大服や今年の茶碗見事なり
福沸(ふくわかし)  肩すくめ水を運びて福沸
初炊ぎ(はつかしぎ) 俎へ一尾鯛あり初炊ぎ
年の餅(としのもち) 明後日と杵振り下ろす年の餅
雑煮(ぞうに)    水菜入れ彩りとりて雑煮炊く
雑煮餅(ぞうにもち) 中学生一つ増やして雑煮餅
俎始(まないたはじめ) 俎始一人だいどこ一礼す
太箸(ふとばし)   新妻の太箸ごとし指をして
門松(かどまつ)   門松へ済まして宮へマーキング
注連飾(しめかざり) 注連飾省きたいけど外せない
蓬莱飾(ほうらいかざり) 蓬莱や酒はまだかと眺めいる
鏡餅(かがみもち)  細き腕叩けど割れぬ鏡餅
松納(まつおさめ)  定め年あふれる袋松納
飾納(かざりおさめ) 風強し飾納が人の列
鳥総松(とぶそうまつ) 朝日待つ緑仄かに鳥総松
鏡開き(かがみびらき) 鏡開き気もそぞろなりこの年も
餅花(もちばな)   気を付けど揺れる餅花奥の間へ
繭玉(まゆだま)   風もない長押に揺れる繭玉よ
年木(としぎ)    風抜ける一人暮らしが年木積む
掃初(はきぞめ)   掃初や門から家へ掃き目かな
初暦(はつこよみ)  病院へ予定を埋める初暦
初風呂(はつぶろ)  炬燵だけ汚れを見せぬ初風呂よ
初灯(はつともし)  気をしめて向かう神棚初灯
初電話(はつでんわ) おれおれと九日にかかる初電話
笑初(わらいぞめ)  年近い叔母もまぜてと笑初
初髪(はつがみ)   初髪の新妻嬉々と里帰り
初夢(はつゆめ)   初夢は見るべし茄子と富士に鷹
宝船(たからぶね)  喜寿の夢極楽へ行く宝船
獏枕(ばくまくら)  新妻の障子震わす獏枕
初寝覚(はつねざめ) 初寝覚父とドライブ弟もいて
寝正月(ねしょうがつ) あれこれと諸事雑事あり寝正月
年賀(ねんが)    水かける吾子が奥津城年賀かな
賀状(がじょう)   賀状こぬ思うあれこれ友のこと
女礼者(おんなれいじゃ) 大戸開く女礼者は傘を持ち
年玉(としだま)   年玉や行儀よろしくもらうまで
初便り(はつだより) 初便りいいことばかり書けぬ我
書初(かきぞめ)   書初や貼る場所決める三学期
読初(よみぞめ)   読初め今や離せぬ句入門
初旅(はつたび)   初旅や現れ待てど富士かすか
乗初(のりぞめ)   乗り鉄の迎える朝が乗初よ
初日記(はつにっき) 初日記今年の目標書き記し 
ひめ始め(ひめはじめ) ひめ始め箪笥のとって鳴りにけり
初稽古(はつげいこ) 汗の湯気ライバル相手初稽古
舞初(まいぞめ)   舞初の舞台に上がる心地よく
謡初(うたいぞめ)  見台を掴みて声は謡初
初釜(はつがま)   初釜や使い慣れたる茶筅かな
新年会(しんねんかい) あらためて荒れることなき新年会
初句会(はつくかい) 俳句手帖買い替えのぞむ初句会
仕事始(しごとはじめ) 手帳出す仕事始の電話受く
縫初(ぬいぞめ)   絎台をたてて縫初冷える朝
初市(はついち)   初市へ向かう荷車白き旗
初荷(はつに)    連なりて初荷の車出陣す
買初(かいぞめ)   買初やマウスを繰りてシャットダウン
歌留多(かるた)   丸暗記吾子とたたかう歌留多とり
双六(すごろく)   双六や行きつ戻りつ人模様
福笑ひ(ふくわらい) 目を隠すくるりと廻し福笑ひ
羽子板(はごいた)  羽子板のリズム続かぬ子らの声
手毬(てまり)    かじかむ手こすりこすりて手毬巻く
破魔弓(はまゆみ)  破魔弓や突然ぽんとはじく音
福引(ふくびき)   福引を当てんと子らは抽選所
獅子舞(ししまい)  獅子舞を見下ろす丈となりにけり
寒餅(かんもち)   寒餅や甘い醤油を浴びにけり
水餅(みずもち)   水餅や澄たる甕の深き底
氷餅作る(こおりもちつくる) 氷餅作る太陽透けて見え
寒晒(かんざらし)  風揺らす手延べそうめん寒晒
寒造(かんづくり)  豆つぶす杵の重さや寒造
凍豆腐(しみどうふ) 編む如し藁で縛りて凍豆腐
寒卵(かんたまご)  寒卵風吹き抜ける抜け羽舞う
寒天造る(かんてんつくる) 突っ突きて寒天造る冷える足
寒厨(かんくりや)  白々と背の紐縛る寒厨
葛晒(くずさらし)  三度目の水が澄めるや葛晒
砕氷船(さいひょうせん) 砕氷船けふはどこまで進むやら
寒紅(かんべに)   寒紅をさして鏡を閉じにけり
寒見舞(かんみまい) ネーブルを一箱かかえ寒見舞
雪見(ゆきみ)    雪見へと四駆を用意山へ行く
探梅(たんばい)   探梅や上る汗かきらしからず
寒釣(かんづり)   寒釣や静かな流れ櫓がきしむ
雪投げ(ゆきなげ)  ゴーグル、ヘルメット雪投げ準備様変わり
雪達磨(ゆきだるま) 小さくも雪達磨作る雪無き地
雪像(せつぞう)   雪像を汗かき作る自衛隊
スキー        天気予報明日はスキーで出勤
スケート       初スケート手摺磨いて一回り
寒稽古(かんげいこ) 湯気上がるはだしの足で寒稽古
寒中水泳(かんちゅうすいえい) 寒中水泳熱き甘酒舌の上
若水(わかみず) 若水や溢さぬ様天秤棒
初詣(はつもうで)  初詣おさる人なく人ながる
恵方詣(えほうもうで) 空見つめ恵方詣へ行くと言ふ
歌会始(うたかいはじめ) テレビ前歌会始身を正し
成人の日(せいじんのひ) 探せどない成人の日の銀狐
七種(ななくさ)   七種や思い出したるぼけた父
若菜摘(わかなつみ) 野はなきて堤の法面若菜摘
なまはげ       なまはげの面のしたから髭男
かまくら       かまくらへ供え物あげ父と母
左義長(さぎちょう) 遠くから左義長けむる丈高し
どんど        どんど焚く火と昇り去るつみけがれ 
鷽替(うそかえ)   鷽替の祢宜の祝詞や長き事
初天神(はつてんじん) 初天神今年こそはと父と行く
初場所(はつばしょ) 初場所や小兵にぎわす大取組
蕪村忌(ぶそんき)  蕪村忌やまだ白梅は芽もあらず
久女忌(くめき)   さかくれを毟りて痛し久女の忌
初雀(はつすずめ)  陽の当たる求めて群れる初雀
初鴉(はつがらす)  川むこう一羽さびしく初鴉
初鶏(はつどり)   初鶏の声整いて鳴きにけり
嫁が君(よめがきみ) 全員が着席したか嫁が君
寒禽(かんきん)   寒禽と会いたく林檎吊るしけり
笹鳴(ささなき)   細葉垣笹鳴の影見え隠れ
寒雀(かんすずめ)  寄り添って風で膨らむ寒雀
寒鴉(かんがらす)  寒鴉急いでわたる縞の道
凍鶴(いてづる)   凍鶴や獲物隠れる細き足
寒鯉(かんごい)   寒鯉や背鰭を立てる浅き川
寒鮒(かんぶな)   寒鯉や寄る絹網夢の中
寒蜆(かんしじみ)  寒蜆波立つ川のむこう行く
歯朶(しだ)     枯原に歯朶の緑が鮮やかに
楪(ゆずりは)    垣根越し色は楪橙ぞ
福寿草(ふくじゅそう) つつまし気福寿草持つ毒見せず
薺(なずな)     花よりもぺんぺんの種薺かな
早梅(そうばい)   早梅を横目でちらり試験前
寒梅(かんばい)   枝を打ち寒梅の紅咲く描く
蠟梅(ろうばい)   惚けし彼蠟梅咲くを感ずるか
冬桜(ふゆざくら)  冬桜花先週も咲くこの堤
冬牡丹(ふゆぼたん) いざ咲けと騙され咲くや冬牡丹
寒椿(かんつばき)  寒椿曲がる生垣灯る家
寒木瓜(かんぼけ)  寒木瓜や通りに面し咲きにけり
水仙(すいせん)   法面を風と登るや水仙花
葉牡丹(はぼたん)  葉牡丹を並べ午前は陽にあたる
冬菜(ふゆな)    柔らかき膝の寒さや冬菜摘む
冬菫(ふゆすみれ)  山路行く風にこまかく冬菫
寒芹(かんぜり)   寒芹や葉茎根っこと鍋の香と
冬萌(ふゆもえ)   杉木立根元に群れて冬萌る
寒海苔(かんのり)  寒海苔や今朝の浜名湖塩しぶき

一日には、鶏(とり)を占っていた、『鶏日(けいじつ)』、その朝を『鶏旦(けいたん)』と呼ぶ。
二日は狗(いぬ)を占うので『狗日(くじつ)』
三日は猪(いのしし)で『猪日(ちょじつ)』
四日は羊(ひつじ)で『羊日(ようじつ)』
五日は牛(うし)で『牛日(ぎゅうじつ)』
六日は馬(うま)で『馬日(ばじつ)』。
七日になり、やっと人を占い『人日(じんじつ)』と言う。

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