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交渉術の基本 〜間違った「問い」を見極める〜
「正しい問いに間違って答える」よりも「間違った問いに正しく答える」ほうが罪!!
だいたいこのことを話すと「なんのこっちゃ!?」と言われます。
でもこれは、交渉においても大切なスキル(技術)なのです。
質問に対して、間違って答えることはもちろん良くありませんが・・・。
それ以上に「間違った問いに正しく答える」ことが良くないのです。
それでは「間違った問いに正しく答える」ことが、どれほどコミュニケーションを悪化させるかを2年前の事例と共にご紹介します。
ぜひ2年前にコロナウイルスが流行りだした時を思い出しながら、読んでみてください。
仮にあなたが会社の経営者だとします。
そして今回のコロナウイルスのことでとても悩んでいて、知り合いの経営者に相談をしたとします。
その時に、次の2人(A社長とB社長)の対応について考えてみましょう。
A社長の対応
あなた:今回のコロナウイルスは大変だね。
A社長:本当だよね。
あなた:正直困っちゃうよ。このコロナウイルスはいつまで続くのかな?
A社長:1年後という人もいれば、3年くらいの覚悟が必要だという人もいるよね。
あなた:どうしたらいいのかな?
A社長:3年くらいの覚悟をもって頑張るしかないかな。
あなた:そうだよね。やっぱり長期戦だよね。
A社長:そうかもね。まぁお互いに頑張ろう。
B社長の対応
あなた:今回のコロナウイルスは大変だね。
B社長:本当だよね。
あなた:正直困っちゃうよ。このコロナウイルスはいつまで続くのかな?
B社長:どうかね~、正直分からないね~(笑)実際のところ、一番困っていることは何なの?
あなた:そうだなぁ。やっぱり会社の存続はもちろんだけど、どうやって社員の給料を払い続けていくかということかな。
B社長:そうだよね。結局そこが一番だよね。それじゃ、雇用調整助成金は申請した?
あなた:あーなんとなく聞いたことはあるけど・・・。
B社長:申請してないの?
あなた:結局根本的な問題解決にはならないと思って、特に考えてないわ。
B社長:それはもちろん根本的な問題解決にはならないけど、社員の給料を保証した上で、会社の人件費も抑えられるし、困っているなら今すぐ申請したほうがいいよ。うちはもう申請したよ。
あなた:えっそうなの?会社の人件費も抑えられるの?
B社長:そりゃそうだよ~。社員に仕事を休んでもらってその分給料を下げますなんて、なかなかできないでしょ〜。
あなた:そりゃ〜できないよ〜。その時は最終手段だよね。
B社長:でしょ〜。でも雇用調整助成金は、休業の最大9割を助成してくれる制度だから、絶対に活用したほうがいいよ。
あなた:そうなんだ。じゃ〜すぐにやってみるよ。ありがとう。
B社長:こういうことの一つ一つの積み重ねが大切だから、お互いに頑張ろう。また何かあったら気軽に連絡して。
問いは正しいのか?
2人の社長の対応は、いかがだったでしょうか?
それぞれの会話は、どのように終わったのでしょうか?
あなたの悩みは、解決できたでしょうか?
A社長との会話の終わり方:3年くらいの覚悟をもって頑張ろう!
B社長との会話の終わり方:雇用調整助成金を活用してみよう!
結論からいうと「コロナウイルスっていつまで続くのかな?」という問いの捉え方がポイントです。
あなたはコロナ禍を踏まえ会社の経営をどうしたらいいか悩んでいます。だからこのような質問をしたのです。
しかし、いつまで続くかは専門家でも分かりませんし、それについて真剣に考えて答えようとすることは、悩みの解決にはなりません。
つまりA社長は「間違った問いに正しく答える」ことをしてしまったのです。
しかしB社長は「間違った問いに正しく答える」ことはせず、正しい問いに対する答えを提供したのです。
その「正しい問い」とは「コロナウイルスっていつまで続くのか不安だけど、どうしたらいいのかな?」というものです。
このように、打ち合わせをしたり、商談をしている時に「間違った問い」が何度も会話の中に生まれます。
話をそらしたいと思う人は、話題を変えようと「間違った問い」を意図的にする場合もあります。
コミュニケーション能力を高めるには、この「間違った問い」に気づく力が必要であり、それが交渉術の基本なのです。
ちなみにB社長は、途中から「問い」に答えるのではなく、「問う」側に変わっているのですが、気づきましたか?
交渉術の基本でもある「問いには問いで返す」です!!
交渉に関して興味のある方は、こちら「コミュニケーション能力の課題が分かる本3 〜相手に喜ばれる交渉術の5ステップ〜」もぜひご覧ください。
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