教員対談シリーズ  「 評価について考える 3 」前編
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教員対談シリーズ  「 評価について考える 3 」前編

株式会社エデュテクノロジー

「 教育について語ろう! 」と題して、メルボルン大学大学院で教育評価について学び、現在オーストラリアで働くアセスメントデザイナーの髙木俊輔氏と現役教員の勝田浩次氏が対談。
今回は、専門家である髙木氏に聞く「 評価について 」全3回のシリーズの第3回目前編を紹介する。

第2回目の対談では、『 学習目標と達成基準 』について逆向きの授業設計などを紹介した。今回は最終回ということで、いよいよ「診断的評価」「形成的評価」「総括的評価」の話に進んでいく。
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「 評価 = 情報収集 」


「 評価と聞いて、何を連想しますか?」

髙木氏の研修に参加した先生方に、この質問をした際のアンケート結果をワードクラウドで可視化したところ、最も頻度が高い言葉として、中央に大きく「成績」と表示された。その周りには「到達」や「フィードバック」などの言葉がある一方、外の方には小さく「めんどくさい」「難しい」「つらい」といったネガティブな言葉も散りばめられている。

ここから、「 評価 = 成績 」と捉える先生方が多く、また、あまりポジティブな意味合いに捉えられていない傾向にあるということがわかる。髙木氏は「これを変えたい」と述べ、自身が同じ質問をされたとしたら「 『 評価 = 情報収集 』と答えます 」と続ける。

髙木俊輔 先生


「 評価 」の種類とその位置


髙木氏はまず評価について次のように解説をする。「評価の種類は大きく分けて『診断的評価』『形成的評価』『総括的評価』の3つで、プラス1つ、別のものとして『 学習としての評価 』があります。学習者の学習の時間軸に対し、それぞれの位置が重要で、『診断的評価』は学習が始まる前、『形成的評価』は学習の途中、『総括的評価』は学習の最後に行われます。

そして『学習としての評価』とは、教育評価の研究者たちの間で今ホットな話題で、学習者自身が『評価』を使って、自分でどんどん学んでいくということを『学習としての評価』といいます 」


総括的評価 :「 学びの評価 」


髙木氏は最初に、期末テストなどで教員にとってなじみ深いと思われる「総括的評価」について、次のように説明する。「 総括的評価とは『学びの評価』、英語で Assessment of learning と言われていて、一定期間の指導の最後に学んだことを総合的に評価する、つまり、一定期間における学びの成果を情報収集するというものです」

続けて、「今、観点別評価が小中学校で導入されていて、今年の春から高校でも本格的に導入されます。これは 『評価を観点に分けてやりましょう』という評価の方法ですが、学校では主に学期や単元の最後にまとめて行われていて、目的としては『総括的評価』として使われていることが多い 」と述べる。


診断的評価 :「 事前の評価 」


次に、「診断的評価」 は英語で PRE - assessment と表され、 PRE とは「前の」という意味で、「事前の評価」と言われている。高木氏の説明によると「 評価を『情報収集』と言い換えたときに、指導の前に学習者の『 レディネス( readiness )』、つまり、学習者が何に対して、どれくらい準備ができているのかということを情報収集するのが『診断的評価』です。この目的は、学習者がどんなところにニーズを抱えているのか、どんなことに関心を持っているのか、どんな予備知識があるのかを情報収集することで、その後の指導の意思決定を行うために使います」とのこと。

「例えば九九が言えるかとか、学年が上がったときに前の学年で学習したことがちゃんとわかっているかどうか、みたいなイメージだったんですけど、さらにニーズや関心というのも情報収集するんですね 」と言う勝田氏に対し、髙木氏は、「予備知識ももちろん大きなパートの一つですが、例えば九九の知識があって、それをここからどんなふうに発展させて教えていこうか、となったときに、ずっと九九を唱えているだけではもったいない。予備知識としてどこまでできているのか、ニーズや関心を含めて把握することによって、次に何を積み上げようかという意志決定を行うための評価が『診断的評価』です」と話す。

勝田氏「先生が、こういう順番で決まっているから、と言って進めるのではなく、みんなが今どんな状態なのかというのを確認してから、次はこれをやろうと決める感じですね」

勝田浩次 先生


髙木氏はまた、この意思決定とは、何の意思決定をするのか、ということが大切だと言う。授業内容であれば、「こんな予備知識があるから、次はこれを教えよう」といった意思決定が挙げられる。あるいは、どれくらいのペースで進めていこうか、といった授業のペースや、習熟度のようなグルーピング、個別学習やグループワークなど学習者たちの学習スタイルや教材選びなども同様だ。「診断的評価」は、授業を組み立てていくための事前の情報収集とも言える。

さらに、その方法は一つである必要はない、と髙木氏は述べる。「 例えば、フォーマル(公式)なものとして、課題を与えてそれを採点するというような方法もあれば、インフォーマル(非公式)なものとして、『これ知っている人? 』と聞いて挙手してもらう、知っていることについて絵を描いてみる、知っていることを話し合う、知っている知識をまとめてみるなどの方法があります 」

大掛かりな授業デザインに絡む「診断的評価」であれば、少し前に取り組んだ方が良いだろうし、学習者のその日の状況を計るのであれば、授業内で挙手してもらい、その数によって内容を決定するという方法でも良いだろう。


「重要なのは、『診断的評価』というのは、その指導上の意思決定を行うという目的で情報収集をすることだ」と髙木氏は強調する。そのため、「診断的評価」は、学習者の学習の時間軸で見たときに、最初のタイミングで行うことになる。髙木氏は、このタイミングがポイントだと繰り返す。「診断的評価」は最初で、「総括的評価」は最後に行われる。そして時間軸で見たときに途中に位置する「形成的評価」については、後編で詳しく解説をする。


教育評価研修のご紹介


教育評価について学ぶことができる「評価を使って学びを支援!ゼロから学ぶ評価理論と実践」は、教育評価についての基本的な考え方と、学習者の学びを評価を使って支援するための方法を、講義とワークショップを通じて学ぶことができる研修です。教育評価の専門家である髙木氏が講師を務め、教育評価の理論を分かりやすく、実際の教室での実践に結びつけやすい形で学ぶことができると、多くの現職教員から好評をいただいています。

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こちらの研修は「ICT × 学びアンケート」とのパッケージ、または研修単体でもお申し込みいただけます。

電話 : 03-5953-7820
メール:contact@edutechnology.co.jp
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