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マズローの欲求5段解説を今こそ思い出そう。オンライン授業が必要な理由。

大学の教職課程で「教育心理学」という科目がありました。先生は、すごいおじいちゃんで、何を言っているのかさっぱりわかりませんでした。そのおじいちゃん先生の喋り方が印象的で、とにかく句読点がないんです!90分間の授業で1文しか言わない!超ロングセンテンス!授業の冒頭に主語を言ったあと、授業終了間際にやっと述語が出てくるんです!神業です。

そんなことはおいておいて、教育心理学によく出てくるマズローという人を覚えているでしょうか。「欲求5段階説」でおなじみですよね。この「欲求5段階説」は今こそ思い出すべきじゃないかと思っています。

簡単に「欲求5段階説」を説明すると、まず第1段階に「生理的欲求」があります。食事、睡眠、排泄などの本能的な欲求です。これが満たされると「安全欲求」が出てきます。安全な家、病気にならないような環境を求めます。これが満たされると「社会的欲求」が出てきます。学校に通いたい、会社に勤めたいなどです。これが満たされると「承認欲求」が出てきます。学校で認められたい、いい仕事をして評価されたいなどです。それが満たされて「自己実現欲求」が出てきます。さらに勉強したい、もっと仕事ができるようになりたいなどです。


今、コロナで休校中ですが、子どもたちは主体的な学習を求められています。では、「主体的に学習したい」というのはマズローの欲求5段階で言うとどの段階でしょうか。

判断は少し難しいですが、「自己実現欲求」段階ではないかと思います。

この「自己実現欲求」が生まれるまでに「生理的」「安全」「社会的」「承認」の欲求を満たす必要があるのですが、今の休校中に子どもたちのこれら欲求は満たされているのでしょうか。

「自己実現欲求」に引き上げるために学校ができることを考えてみたいと思います。

「生理的欲求」・・・これは全児童生徒が満たされていると思いたいですが、給食がなくなってしまってこの欲求すら満たせていない児童生徒がいるかもしれません。子ども食堂なども閉鎖してしまっている今、政府からの給付金10万円でなんとかしてもらいたいところですが、各自治体からも支援が必要な場合があると思います。学校では電話連絡等を行なっていると思いますので、関係機関・ケースワーカー等と連携してなんとか命だけは失わないように対応していければと思います。

「安全欲求」・・・食べ物はあるし、寝る場所もあるけれども、家族の生活が一変して家族がギクシャクしている。お腹が痛くも病院には連れて行ってもらえない。親の収入が減って生活できるか分からない。という家庭は多いと思います。学校としてできる事といえば心のケアでしょう。電話で話を聞いてあげる。困っていることを聞いてなんとか対策を一緒に考える。メール、チャット、学級通信などで励ます。保護者にも理解・協力を求める。場合によってはカウンセラー等の専門家にも入ってもらう必要があると思います。

「社会的欲求」・・・子どもたちは今「所属感」が失われているかもしれません。「自分は何年何組なのか、、、」と。学校としてできることは「あなたは◯年◯組の児童生徒だよ。他にも〇〇さんが一緒にいるよ。ほら、見てご覧!」と言ってあげることだと思います。ここでZoom等のオンラインウェブ会議システムが効果を発揮します。同じクラスメイトのみんなの顔を合わせながら「所属感・連帯感」を持たせてあげて欲しいと思います。「あ、私の居場所はここなんだな」と思ってもらえれば次の段階に進める可能性が出てきます。

「承認要求」・・・普段の学校生活であれば先生は意図的に児童生徒を褒めたり、課題に対してフィードバックをしたり評価をしたりします。けれども今、多くの学校では、2週間に1度くらい電話で話すくらいで、与えた「宿題」を評価したりフィードバックしたりすることができません。これでは子どもたちの主体的に学習するという態度が減衰してしまいます。やはりもう少しフィードバックを与える頻度を上げることを考えなければなりません。「宿題」は問題演習プリントを与えるだけではなくて、例えばGoogleクラスルームで課題を提出させる事で、先生はすぐにコメント・フィードバックを返す事ができます。教科書やプリントで学習した内容をGoogle Formsで確認小テストをさせると正解・不正解・結果がすぐに評価されます。不正解だとわかれば「やり直し」をしようという気持ちも生まれます。何度もやり直しをして満点を取れた児童生徒には「よくがんばったね」とコメントを付けるだけでもまた頑張ろうという気持ちが生まれます。

YouTubeなどの授業動画はこの「承認欲求」を満たして「自己実現欲求」が出てきてからであれば大変有効かと思いますが、はじめから一方向の授業動画を見せるだけでは意味がありません。ですので、先生方は授業動画を作るよりもいかに「自己実現欲求」を引き出せるかに時間を使ってもらいたいと思っています。それにすでに優れた授業動画は世の中に山ほどあります。

このように、「自己実現欲求」が芽生えるまでには段階的に児童生徒を導いてあげる必要があります。コロナ休校中は一刻も早くオンラインで「社会的欲求」「承認欲求」を満たす事ができるようICTの活用を検討・実施してもらいたいと思います。コロナ休校の今も、休校解除後もICTを駆使して子どもの自己実現を支援できる教育であって欲しいと願います。


Stay Home.  Inspire Children at Home.



画像引用:ferret-plus.com「マズローの欲求5段階説を図付きで解説!各段階に合わせたサービスも紹介」


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