世界の教養:社会契約 ー 政治制度の起源と正当性を理解するための政治哲学で用いられる概念

今回紹介するのは、「社会契約」です。

まず前提として、過去に人類には政府も法律もなかったと仮定します。この人々は、自分たちの”安全の確保”と”繁栄の条件”を生み出すため、法による安定・安全を引き換えに、すべての人が自分の持っていた自由の一部を政府に譲渡します。これが社会契約の考え方です。

最初に社会契約説を展開したのは、ホッブズ(1588〜1679、イギリス)で、彼は著書「リヴァイアサン」にて、政府が存在する以前の生活(自然状態)はあまりにもひどく、よって、支配者がどれほど暴君で専制的であろうとも、支配された方が自然状態のままでいるよりは望ましいと述べているそうです。だから、人民が抵抗する権利は認められない、としました。

ジョン・ロック(1632〜1704、イギリス)は、社会契約は、ただ人々の身体の安全を守りさえすればいいのではないと考えました。社会契約は、個人の生命・自由・財産に対する権利も尊重しなくてはならないとし、この権利を政府が侵害した場合、市民は社会契約説を破棄して反乱を起こす権利があると彼は考えていました。

参考文献
デイヴィッド・S・キダー, ノア・D・オッペンハイム, 小林朋則 訳, 文響社, 1日1ページ読むだけで身につく世界の教養365, 2018年, 187p

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?