マルタン・ゲール ー 別の男に家と家族を乗っ取られた身元詐称事件の被害者

今回紹介するのは、マルタン・ゲールです。

マルタンは、16世紀のフランスの農民で、戦争に従軍するために家を出て、10年以上を経て家に戻ると、別の男がマルタンを名乗り、家と家族を乗っ取っていました。この詐欺師アルノー・デュ・ティルは、あまりにも巧妙にマルタンになりすましていたことから、マルタンの妻さえも騙していました。

マルタンは、アルティガという村で妻と結婚し、息子を1人もうけ、その後村を去りました。その後8年間、マルタンの妻は、女手一つで息子を育てていましたが、ある日、デュ・ティルが玄関口に現れました。この男は、見かけも話し方も、行方知らずのマルタンに似ており、マルタンに関する個人的なことも色々と知っていました。デュ・ティルに疑いの目を向ける者もいましたが、最終的には妻も含め、ほとんどの村人がデュ・ティルをマルタンとして受け入れました。

しかしマルタンのおじは、デュ・ティルをマルタンであるとは信じず、デュ・ティルの身元詐称を告発しました。そして、自体は予想外の衝撃的な法廷闘争に発展しました。法廷でデュ・ティルの訴えを審議する中、突然、戦争で片足を失い木製の義足をはめた本物のマルタンが法廷に現れました。マルタンの家族全員が、この義足の元兵士をマルタン本にであると認め、デュ・ティルは斬首刑に処されました。

マルタンは当初は妻に怒りを感じていましたが、やがて妻が完全に騙されていたということを受け入れました。

彼にまつわる話は、これまでに小説や映画、漫画、学術書、さらにはミュージカルまで作品の着想となりました。(ジョジョの奇妙な冒険でも、家族を乗っ取った話がありましたね。マルタンの話から着想したかは、不明ですが。。。)

参考文献
デイヴィッド・S・キダー, ノア・D・オッペンハイム, パリジェン聖絵 訳, 文響社, 1日1ページ読むだけで身につく世界の教養365  人物編, 2019年, 150p

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