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編集のがっこう<Vol.13>生徒の記事がWWDに掲載されるまでの道のり

ワークショップに移行した編集のがっこう。3ヶ月弱に渡る11講義でインプットした全てを生かしてどれだけアウトプットできるかが、このワークショップで試される。

お題は、LGBTQを支援するために立ち上がったプロジェクトブランド「snails」の記事を、WWD JAPAN.com、note、SNS(instgaramとTwitter)の4メディアで配信すること。

記事を書く前に、企画構成案(コンテ)が必要に。なぜなら、ページにするまでに、どんなタイトルで、どういうコンセプトとストーリー(流れ)で伝えたいか、どんな写真がどこに何枚必要なのか、ページを設計していく指示書だから。土台となる企画案、企画構成案づくり、原稿書き、配信に至るまでの生徒たちの奮闘を、WWD担当チームからお届け。

目次
・渾身の企画案を生徒全員でジャッジし、問題点を見つける
・「WWDらしさ」という視点をどう盛り込むか
・編集長の文字校正に「伝わる日本語」について思い知った生徒たち

・WWD JAPAN.comに掲載された記事全文を公開

前回までの流れはこちらでチェック↓ https://note.mu/editors_school/n/n2d9049a90585

渾身の企画案を生徒全員でジャッジし、問題点を見つける

じゃんけんでWWD掲載を勝ち取った3名。このチームが最初に出した企画案は、A案、B案の2案。
snailsのビジュアル撮影を写真家のレスリー・キー(Leslie Kee)氏が担当したことによる話題性をフックにブランド解説するA案。「snails」のロゴデザインやアイテムに込めた思いを解き明かしつつ、ストレートアライなど理解者を増やすことをメッセージとするB案。↓ 

まずは「この企画が面白いか、読みたいか」を生徒同士で議論してもらった。生徒同士でジャッジさせるのには理由がある。他チームのプレゼンを他人事にしないため。そして、自分ゴト化して考えるクセをつけるため。

ネットのタイムラインで、この記事が流れてきたと仮定し、自分ならクリックするか否か。そこを考えつつ、自分が読み手側としてどういう記事に反応し、どんな読み方をしているのか、適切な文字量なのか…など、自分の行動とセットにして気づく練習。ただし、ルールとして単純なディスりはなし。自分ならクリックするか、しないならなぜしないかという問題点を全員であぶり出していく。

<挙がった意見まとめ>
・言いたいことが多すぎて何を伝えたいかがわかりづらい
・LGBTQを知らない人には届きづらいタイトル
・1記事のボリュームが多すぎるのでは?
・WWDに掲載する意味や「WWDらしさ」を考えないといけない
・B案のほうがタイトルと伝えたいことが一致している(離脱が防げる)
・A案のタイトルは明るい未来思考、B案は重い印象。内容はB案でタイトルを再考すべき
・「グッチがLGBTQ支援」など周知&人気のブランドなら興味を引くが、「snails」の場合、ブランドもLGBTQも知らない人にはクリックしてもらえないのでは?
WWD JAPAN.comにはすでにsnailsについての記事があり、リンクで関連づけられるのでブランド解説はそれほどしなくていい

など、思った以上に問題点が出てくる。そこで、①伝えたいことを絞る ②タイトルを再考(ブランド名を当然わかるものと断定した使い方は避ける) ③WWDらしさを盛り込み、WWDが過去に取り上げていない内容を書く ④2回目は企画と構成をセットにした企画構成案を提出、とした。

「WWDらしさ」という視点をどう盛り込むか

再考した2回目の企画構成案がこちら↓

<前回からの改善ポイント>
・2案を1案に絞った
・キービジュアルやブランドロゴへ込めたデザイナー安達さんの思い、ブランド立ち上げまでの考えや経験談、イベント紹介を全て割愛
・プロジェクト誕生とその背景、コンセプト、アイテム紹介をする
・タイトルは、snailsが投げかけるコンセプトに引っ掛け、LGBTQを知らない人でもタップしてもらえるような意味合いに変更
・「snails」を知らない人にもわかるよう新ブランドと補足したタイトルに
・WWDらしさは、LGBTQとファッションブランドという題材を扱うこと自体がWWDっぽいのでは? と理解した

WWD JAPAN.com編集長の村上 要さんは、「全体を網羅しているがゆえに、snailsの何をフォーカスポイントにしているのかが見えず、未だ散漫」と一刀両断。しかも、WWDらしさがないと指摘。「WWDらしさとは、扱う素材のオリジナリティではなく、切り口や視点のこと。そこを履き違えないようにしないといけない」とも。

そこで改めて、「WWDはファッションをビジネスにしているプロのユーザーとファッション好きなエンドユーザーに届けるもの」であることを再確認。*WWDのメディアコンセプトについては、別枠で講義済み
この記事がエンドユーザーをターゲットにするものなら、WWDのエンドユーザーはLGBTQのことを知りたくてWWD JAPA.comにアクセスするわけではなく、服や新しいブランドを知りたいからアクセスをしている。ゆえに、記事上では早めに服やブランドについて語らないと、せっかく訪れたユーザーに対してアンフレンドリーであり、スルーされる原因に。 

現状の企画構成案では、内容が散漫ゆえにLGBTQという大きなテーマから入るとユーザーの興味とコネクトしていないので、服の内容にたどり着く前に離脱してしまうリスクがあるのだ。

しかし、「もう販売が終了している服の説明から入るのはアリなんですか?」と生徒も素直に疑問をぶつける。

「例えば、ポップアップストアのオープンを伝える記事ならば、オープンされる日程やその日に買えるものを紹介すべき。けれど、WWDはモノだけを紹介したいサイトではなく、モノの後ろにある意志、意志が芽生えている社会を伝えるメディアサイトでもある。今回のsnailsは、オープンを伝えるのではなく、LBGTQ+ストレートアライに向けた意志のあるブランドだということを紹介するならば大した問題ではない」と村上さん。しかもすでに買えないからこそ、次にどんなプロジェクトが用意されているのか未来への注目を集めることも大事、などさらに議論を深めた。

具体的に何を書きたいのかエモーションを考え、ユーザーにとって興味のある構成の順番を考えて、修正し、やっとOKがでた3度目の企画構成案がこれ↓

ただし、追加修正点&リクエストが3つ。

ひとつめはタイトル。生徒同士の議論では、LGBTQという単語がわかりにくいのでは? という意見もあったが、村上さんはむしろLGBTQは今や社会的関心事なので、「20年めのデザイナー」とするより、「20年めのLGBTQデザイナー」のほうがユーザーを惹きつけられるのでは? と。タイトルの長さも、36文字以内にして無駄を削いでいくよう指示。

ふたつ目は、記事のゴールを「LGBTQやストレートアライについての取り組みを身近に感じてもらう」となっているが、センシティブなLGBTQ問題を身近かに感じてもらうのはハードルが高い。それよりももっと手前の段階ーーLGBTQへの取り組みを応援したいくらいでいい。応援は、何も虹色の旗を振りかざすことではなく、LGBTQを知ってもらう、こういうブランドがあることを知って応援してみて、くらいのゴールこそ、押しつけにならず、理解を得られると。

3つ目は、snailsがデビューというニュースではないから、記事の最後には書き手の伝えたいメッセージ、思い、解釈を入れることでオリジナリティが生まれるのでひと言でも添えるようアドバイスし、原稿書きに移ってよし!となった。

編集長の文字校正に「伝わる日本語」について思い知った生徒たち

生徒たちが構成案に沿って書いた2つの文章と、WWD JAPAN.com村上さんが入れた校正の赤字を公開。

講義内では、生徒全員で赤の入った原稿をシェアしながら、なぜこの日本語の使い方ではよくないのかを村上さんを中心にレクチャー。

<校正1>は、1文が長くなると主語と述語の関係が複雑になり、伝わりづらくなること。無駄にアゲアゲな表現が多いこと。スマホユーザーが多いので回りくどい言い方を回避し短い文章に修正する、ありきたりな文末の締めくくりを指摘された。

<校正2>も<校正1>と同様の修正も多いが、文章が散漫で伝わりづらい構造になっているので整理して書くよう求められた。

WWD担当チームだけでなく他のチームも、修飾語を多用することで生まれる伝わりづらさ、回りくどい表現をしなくても済む言葉選び、枕詞のように使う決まり切った表現の薄ぺっらさ……など、日本語の難しさを改めて実感。自分の言葉をそのままぶつけるブログやtwitterとは比べものにならないことを思い知った。

WWD JAPAN.comに掲載された記事全文を公開

3回のワークショップを終え、二度ほど校正を繰り返した後、とうとう原稿が完成!

その全文をご紹介。

最終的には、WWD JAPAN.com編集長村上さんの<編集のがっこう>への感想も含めて配信された記事となった。

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次回は、SNSチームの配信までの過程をお伝えしていきます。

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「編集のがっこう」校長 兼 Pomalo株式会社コンテンツスペシャリストの澄川恭子のnote。これからのコンテンツ時代に編集力を磨こう!をスローガンに、若い才能を発掘や育成、編集力の生かし方を日々考え続けています。
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