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書評『もしも徳川家康が総理大臣になったら』/偉人から考え方のヒントを得る

こんにちは。エディマートの織茂です。
『エディマート読書部』のブックレビューは、今回で6回目を迎えます。

カレンダーを見ると日付も、もう6月。あらためて時の流れの速さを実感する今日この頃です。

6月といえば、”梅雨”。今年の梅雨入りは、例年よりも遅めの予想なのだそう。しかし、ジメジメした気候の日々がもうすぐ来る…と思うと何をするにもやる気がでず、気分が落ち込みやすくなりませんか?

今回は、気力が湧かないときに自身を鼓舞してくれる、”歴史上の偉人”たちが主役の本をご紹介します。ぜひ最後までご覧くださいね。


書籍情報

ビジネス小説 もしも徳川家康が総理大臣になったら
著者:眞邊明人
出版社:株式会社サンマーク出版
発行:2021年3月

この本を手に取ったきっかけ

私は映画館で映画を見ることが好きで、本編の前の予告編も結構楽しみにしています。そして、ある映画を見に行ったとき、この作品に出合いました。

「歴史上の偉人たちを復活させ、最強内閣をつくる」

奇想天外なワードが飛び出し、コミカルに描かれる偉人たちが印象的でした。「どんな内容なんだろう?」という好奇心が生まれ、予告にも関わらず食い入るように見ていたのです。

映画鑑賞後、作品について検索。小説が原作だと知ったはものの、「公開されるまで待って、映画で見るか…」という気持ちに。というのも、私は読書部のほかのメンバーと違い、読書が特別得意ではありません。「本を読んだほうがいい」とわかっていながらも、映像作品を選択することがほとんどでした。

そして、4月に『エディマート読書部』が発足し、本格的に本と向き合わねばと決意。せっかくの機会なので、気になっていた『もしも徳川家康が総理大臣になったら』を選ぶことにしました。

どんな本

舞台は、2020年のコロナ禍に見舞われている日本。首相官邸でクラスターが発生し、内閣総理大臣がコロナで亡くなったことから物語は始まります。

コロナ禍での政府のいい加減な対応によって、国民の不安は募るばかりでした。そこで、「国民の信頼を取り戻す」ことを目的に政府は歴史上の偉人たちをAIで復活させることに。総理大臣に任命された徳川家康をはじめ、坂本龍馬織田信長などで構成された”最強内閣”が誕生します。

実際にコロナ禍で課題となった、不要不急の外出を制限する「緊急事態宣言」や1人あたり10万円が受け取れる「特別定額給付金」などの政策が登場。もしも偉人が政を執っていたら、こう対処していたであろうという内容が描かれています。
約4年前に現実で起こったことなので、かなり身近に感じられる作品です。

わたしの感想

この本を選んでおいて、実は歴史が得意ではありません(笑)。学生時代は教科書を読みながら、歴史をただ過去にあった出来事だと感じていたので、現代を生きる自分の身にはそれほど関係ないと思っていました。

しかし、江戸幕府の第5代将軍・徳川綱吉が制定した「生類憐れみの令」についてこう書かれていました。

彼の施策であった「生類憐みの令」は、後世では”犬を大事にする”法令のように言われているが、実際は、それまでの”殺す”ことが正義や正当な施策としてまかり通っていた時代の価値観を大きく変換させるものであった。

本書より

徳川家康が江戸幕府を開く以前は、命をかける”戦”が当たり前のように行われ、人々は常に死と隣り合わせだったことでしょう。
綱吉が「生類憐みの令」を出さなければ、もしかすると現代でも戦は続いていたかもしれないし、故人を弔う行為自体なかったのかもしれません。数百年前の遠い過去と現代のつながりを感じられる一幕でした。

私がこの本は自身を鼓舞してくれると感じたのは、財務大臣となった豊臣秀吉の大胆な考え方です。秀吉が国民への給付金50万円を10日で配ると宣言したときのこと。現実的に考えて無理難題すぎますが、秀吉は官僚たちに以下のように言いました。

役目を思わば、気は重くなる。おみゃーらはどえりゃー祭りを今からやるのじゃ。歌え!舞え!狂え‼

本書より

リーダーからこんな言葉が出たら、もうお祭り気分で成し遂げるしかないですよね(笑)。貧しい境遇から天下人へのし上がった秀吉だからこそ、説得力があります。

歴史を変えてきた偉人たちは、課題解決のための熱量が極めて高く、目的への絶対的自信を持っていたから、どんな苦境でも立ち向かえたのだと感じました。本に描かれている最強内閣の姿勢や言葉が気持ちを高めたり、今抱えている悩みを解決に導いたりするかもしれません

歴史や政治が苦手な方でも解説が付いているので、気軽に読むことができます。映画が7月26日(金)に公開される前に、ぜひ原作を手に取ってみてはいかがでしょうか。


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