見出し画像

大切にしていること「説明する」

午前中の電車で出勤すると、車窓から覗く飲食店さん達が軒並み
シャッターや扉を開放して大掃除している様子に、
眠っていた人の活気が戻ってきたことを感じました。

“リベンジ消費”なんて呼ばれたりしますが、
もういくつも寝ていたので、“お年玉”でいいじゃないですか。
そんな表現をしたら、飲食店の大掃除も
年末の大掃除に見えてくるもんです─────


さて、クラフトビールのお店は、
その日にどんなビールを品揃えしているのか、
それが重要視される風潮があります。
●●というビールが品揃えされているからアノ店に行こうとか、
▲▲がなくなりそうだから、待機してる●●が
今日の営業中にラインナップされるんじゃないかとか、
そんな会話は日常茶飯事かもしれません。

しかしながら、それはごくごく一部の“知ってる”人にしか
わからない(理解できない)情報だと思います。


初めてご来店されるお客様や、
このジャンル自体が初めてトライするという方々に
できれば美味しい・楽しいと思っていただきたい。

もともと働いていたのが大阪のローカルタウンだったこともあり、
クラフトビールをご存知の方は皆無でした。
ひとつひとつ魅力を丁寧に…ってわけにはいかず、
忙しい店だったこともあって掻い摘んでビールの解説をするんです。
それでも美味しそうとか楽しそうとか思っていただけるように
ずいぶん奮闘努力してきました。

できるだけ専門用語を使わずに説明し、
想像がしやすい言葉を選ぶというのは、
なかなか難しくも、やりがいのあることでした。

例えば、明日から品揃えする「夢幻」というビール。
名前からでは想像もつかないですし、ジャンルを説明されても
ほとんどの方がわからないと思います。

「ジャーマンスタイル・エール」もしくは
「ジャーマンスタイル・ライ・エール」

バラすと、ドイツ系+ライ麦+エールという感じですが、
たぶんライ麦のビールを飲んだ経験のある方は少ない実感です。

しかしながらこのビール、今年のイギリスの権威ある世界大会にて
大麦や小麦以外を使うジャンルで、世界一に認められたのです。
World Beer Awards2021のWorld's Bestに選出、が正しい表現です。
世界一の称号として盾がいただけます。

でも、初めてのお客様には
“ビールの世界三大大会で今年金メダル”と説明をします。

メニュー表やSNSの投稿では、ビギナーもマニアも
ご覧になるので、以下のような文章にしました。

□. 夢幻〜むげん[初入荷/World Beer Awards2021世界一]
 <<富士桜高原麦酒/山梨県南都留郡
 液種 ジャーマンスタイル・エール
 度数5.0%/苦さ25
…ライ麦のスッとする香りを、麦畑に吹き抜ける一迅の風のようなイメージで表現。味わい深いエールビールをさわやかで軽快に仕立てた。先日の英国世界大会にて見事金賞を受賞。


案外、ライ麦パンに酸っぱさがあるって気づいてる方も少なく、
ライ麦の個性がいまひとつ伝わらないのもあるんです。
それと、さわやかという言葉を使うと炭酸が効いている飲み物
という印象も強まるので、味わい深いを前につけてみます。

決してこれが模範でも合格でもなく、
正直まだまだ難しいなぁという感想です。

クラフトビールという様々な味わいや香りのある嗜好ジャンル。
絶対解説や説明が必要で、それを省くのはプロじゃないと思うのです。

今夜もまたどう伝えたらわかりやすくて、
興味を持っていただけるか、考えるわけです。

明日から樽生のビール、飲めますね。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?