音楽のコモディティ化と承認欲求不満の拡大

DTMやボカロP、「歌ってみた」界隈で、一年前には結構いた「自称天才君」や「自称最強君」を見かけなくなったことに気づきました。
同時にTwitterで、「17歳JKボカロP」というワードが一部で盛り上がりました。プロフィールにそれを入れるとフォロワーが増える、というものです。

DAWというツールが普及して、音楽制作の参入障壁が下がりきった結果、供給過多でコモディティ化が進み承認欲求が満たされない、ということに誰もが気づきはじめています。
自称で天才・最強を語っても実績が伴わない恥ずかしさが目立つし、「17歳JKボカロP」は、新規参入者の「音楽以外のサブブランドがないと、アップするだけじゃ誰も聞いてくれない」という叫びですね。

ニコ動、YouTube共に、新規参入者は、よほどTwitterやTikTokでタレント性を発揮するか、有名人のリコメンドをもらわないとオーガニックでは再生回数が伸びません。きっと半年後には誰もが広告を使うことになるのではないでしょうか
それはニコ動やYouTubeが目指すビジネスモデルでもあります。

以前、「ビートルズの最大の功績について、「僕もポップスターになれるかも」と多くの子どもに思わせたことによってポピュラーミュージックを発展させたことだ、と思っています。」と書きましたが、前日も書いた通り、プロのレベルが音大入学相当になっている現実も踏まえ、「僕もポップスターになれるかも」という1960年代から続いたポピュラーミュージックの潜在的商材が終焉を迎えるのかもしれません。

なんとなく、TwitterのTLを見ていると、ボカロPとDTM界隈は、承認欲求以外の何かに依存しようとする動きか、「小さな身内」を作って内輪で承認欲求を満たそうという動きになっているように見えます。

NHKが「ワンルームミュージック」というDTM番組を昨年と今年でやっているのですが、NHKが手を伸ばしたという時点で、カルチャーとしては成熟期を迎えたのだと感じています。



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