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カンケーを楽しむ、カンケーから育つ④

前回までのコラムでは、
良いチーム、成果の上がる集団は
「関係性」の質が良い、
というお話をしました。

「関係性」は人を育てる土のようなもの。
よく肥えた栄養たっぷりの土壌では、
すくすくと健康的な作物が育ちますが、
不毛の土地では、どんな可能性を秘めた種も
枯れておしまいです。

個々の才能や能力を育てるのは、
個々の意志や努力よりも、
むしろ、その個人が置かれている環境、
特に「人間関係」の質が大事。

よい土(環境)にさえなれば、
作物(生徒)は勝手にすくすく育ちますから、
教師は、ときどき様子を見て手入れをする程度で済みます。
教師の働き方改革を進めるうえでも
「関係性」に注目するのは、超おススメです!

そして「関係性」を良好にするためには、
「順番」が大事!!

何よりも取り組むべきは、
まず「約束を交わす」というお話をしました。

そのチームを組む「目的」および「ルール」を
時間と手間をかけて対話の上で作るのです。

というのも、現代は多様性がデフォルトの社会。
多様性というと聞こえはいいけど、
多様性は言い換えるなら、

常識の通用しない世界

みんながバラバラの世界

考え方も価値観も考え方もなんでもあり

の世界です。

心の根っこから共感できるものがないから、
現代っ子の心の底にあるのは
常に「不安」「恐怖」「緊張」なのかもしれません。

だからこそ、まず話し合いをして、
可能な限り本音を吐露して、
そのチームなりの合意形成、
すなわち「わたしたちはどういう目的でつながるのか?」を
確認しておくとよいのです。

たとえば、僕が顧問を務める陸上部の目的は
「楽しく、強くなる」です。

「楽しさ」と「強くなる」の順番は、
生徒たちでも議論がありました。

「楽しさ」と「強さ」は両立できないだろうと
訴える生徒もいましたが、
長い議論の末、
「俺たちの部活の最優先事項は『楽しさ』だ」と
なりました。

部活動のメニューや取り組みは、
「楽しく、強くなる」という理念の具現化の一切です。

ちなみに僕は陸上に関しては全くのド素人です。
技術的な指導は一切できません。
実はもう一つ、競技かるた部の主顧問も
引き受けているのですが、
こちらも自分自身は未経験で、
部員に教えられるようなテクニックはゼロです。

それでも部活動は成り立っています。
関東大会に出場した選手もいました。
(やはり強い選手が生まれる時は、
関係性がよかったです)

秘訣は部活動というチームの
「関係性」にテコ入れをするだけ。
「関係性」さえ整えば、
生徒たちが自ら考え活動するようになるからです。

今はネットを検索すれば、
いくらでも練習メニューが見つかりますからね。
生徒たちに合同練習したい学校やチームを
リクエストしてもらえば、
可能な限り応えるようにしていますので、
技術的指導はそちらにお願いしています。

さて、この「約束事」に関しては、
当然、顧問である僕も部員たちに要求させてもらっています。

それは、顧問のプライベートも十分確保させてほしい、
というお願いです。

僕は3児の父で、妻と共働きであること。
部活動以外にも
学校にはたくさんの仕事(雑務?)があるから、
部活動には頻繁に顔を出せないこと。
技術的指導は一切できないこと。

僕の事情も洗いざらいすべて話したうえで、

部活動は平日3回、土日どちらか1回が限界で、
場合によっては僕の都合でお休みさせてもらうこともある。

という約束を、一番はじめに交わします。

だから、僕は部活動で「無理」をしている感覚が
あまりありません。
本当に好きでやっている。
夏休みは1週間以上の連休をとり、
家族とキャンプ旅もできています。

部活動の顧問を引き受けるのは、
部員が自ら考え活動し、
本気で取り組む姿勢がカッコイイし、
そういう姿に接すると
僕もエネルギーをもらえるから。

でも、部活動をやりすぎると、
自分も家庭も負担が大きすぎるから、
普段の練習も終了時間は
確実に19時までに終わらせてほしい、と。

これだけ話して納得しない部員はいません。

そして、限られた活動日、限られた練習時間を
大切にしようとします。
時間を大切にする考え方は、
今後の社会でも生かされていくマインドセットですので、
それが部活動を通して学べるのなら、
僕としてこの上ない喜びです。

実際、教師として僕は絶対に
時間の切り売り、時間の安売り、時間の無駄遣いは
したくないですから・・。
その点は、部員にも有形無形で伝えているつもりです。

誰にも強要するつもりはありませんが、
僕はひとまず、こういうやり方で
部活動をすすめています、というシェアでした。

なんにせよ、関係性のスタートは「約束を交わす」こと。

お互いの合意がないところでのチームは
持続できません。
どんな正論も、一方通行で語られては
チームはもろく脆弱になります。

「約束」に関しては、
時間をかけて手間ひまを惜しまないでくださいね。

今日は、ここまで。
最後までお読みいただきありがとうございました!

PS
僕は、僕が主催する学校の会議はすべて終了時間を決めています。
終了時間を強く意識すると、終わるものですよ!

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