お金は「マッチングアプリ」に似ている
「お金とはなにか?」
よくある質問の1ページ目にでてくるような、使い古された言葉。
「ほしいものを買うための道具だ」という人もいれば、「価値を測るための道具だ」という人もいるだろう。どの答えもお金の役割をよくあらわしていて、もちろん正しい。
お金の3つの機能
お金には3つの機能があると言われている。
ひとつめは、交換機能。
お金とほしいモノを交換すれば、ほしいものを自分のものにできる。
ふたつめは、尺度機能。
お金を使ってモノの価値を見える化することができる。
みっつめは、貯蔵機能。
価値を貯めておいて、ほしいものができるまで貯蔵しておける。将来ほしいものができた時に使うことができる。
これは、腐らないお金だからこそできるすばらしい機能で、私たちの人生の時間軸を変えてくれた大発明だといっていい。
でも、本当にそうだろうか?
お金自体はただの金属や紙きれなのに、誰かがかけた魔法か宗教のようなものでコーティングされて、なんとなく価値が生まれているだけなんじゃないか。
納得ではあるけども、本質ではないような。明日、魔法が解けたら、みんな「え?」ってならない?
お金の裏には必ず「人」がいる
そんな疑問への答えとして、するっと言語化してくれる本があらわれた。
田内学さんの小説「きみのお金は誰のため」。
わたしなりに、この本に書かれた方法で「お金とはなにか?」を要約すると、以下のとおり。
お金自体には価値も機能もない
でも、お金の裏には必ず「人」がいる
「人」が自分の代わりに「問題解決」をしてくれる
お金は「みんなで助け合う」仕組みを作る道具である
うーん。腹落ちした。
拡大解釈かもしれなくて、田内さんに「違うよ?笑」って言われてしまう可能性もあるけど。
わたしはこの本を読んで、
「なるほど…!お金って、昔からあるマッチングアプリみたいなもんなのね」と、納得できた。
「偶然」と「信頼」の間にある出会い
人と人との出会いは、「偶然」。
ぼーっとしてるだけだと、自然につながっていってはくれない。
日々新しい人に出会うけど、よっぽどの好意を自分か相手のどっちかが示さなければ、どんどん流れていくだけだし、その流れは止めようもない。
そして、もっと問題なのは、ファーストコンタクトで、相手の足を止めるほどはっきりとした好意(時には悪意)を持つことなんて…ほぼないと思う。(少なくとも、わたしは、ない)
そんな、確固となる自信がない時。
そんな時でも「人」とつながることができる道具が、「お金」だと思う。
それも「愛」とか「情」とか「信頼」とか、そういう説明責任がありそうな、時にややこしくなりそうな、口から出すのに勇気が必要な、そんな難しい感情は、いったん保留にしておいて、
「もう少し、ご一緒してみませんか?」
という、多少無責任な誘いができる。
お金があれば。
偶然の出会いと信頼の間で、いったん人生の時間を共有できる。
実際にわたしは
「とりあえず1回、いっしょに仕事したいです。」
そう言われ、「お金に出会いを作ってもらった経験」があるのだ。
お金がつなげてくれる出会いは心地いい
以前、アナログゲームを作ったことがある。
とはいっても、ただの趣味。
設計もデザインも全部自分でやって、試しにプレイしてくれる人を探すため、イベントを主催していた。
テストプレイを繰り返し、延べ100名ぐらいに遊んでもらった頃には、ゲームとしてかなり完成度が高くなっていた。
そこで、出会った中小企業の社長さん。
「商品化してくれたら、100個買います。お仕事一緒にさせてもらいたいんですが、まずはそこからご一緒できませんか?」
言ってみれば、わたしはただの会社員で、プライベートな中でお金が発生することにとても疎く、正直びっくりした。
「ああ。こういう出会いもあるんだ」
断ったら、それで終わりなんだろう。
わたしはつながってみたくて、「お金をいただく」というありがたい機会に乗っかってみた。
せっかく乗っかるなら、全力で乗っかりたくなり、個人でクラウドファンディングにも挑戦。
その方以外にも、お金をきっかけに、新しいつながりがたくさんできた。
わたしは「愛」とか「情」とか「信頼」とか、そんなすごく高尚な何かがないと、だれかの人生のあゆみを止められない。いや、正確にいうと、止めちゃダメな気がして、出会いを出会いにするのがニガテだ。
そんなもったいないすれ違いを、これまでの人生でいっぱいしてきた気がする。
お金という道具は、「愛」とか「情」とか「信頼」とかがなくても、出会いを出会いにできる力がある、そう思った。
お金は「マッチングアプリ」に似ている
お金は、偶然を出会いにする力がある。
知らない人が知らない人に声をかけるのが難しくなった世の中で。
時には「マッチングアプリ」よりもマッチング機能に優れている。
でも、正直言うと、お金は出会いのきっかけになるだけ。
「愛」とか「情」とか「信頼」とかに、まったくつながらないことももちろんある。
お金をきっかけに人と出会うことができたとしても、そこからどんなつながりにしていくかは自分次第。
そう、その点も含めて、お金はマッチングアプリにとても似ている。
マッチングアプリを上手に使って、一生一緒にいられる親友や結婚相手と出会う人がいるのと同じで、お金も上手に使えば、一生一緒にいられる親友や結婚相手と出会う道具になる可能性がある。
今、マッチングアプリをダウンロードするかどうか迷っている人へ。
まずは今日、手元のお金で、自分が気になるものをひとつ購入してみるといい。
もしかしたらお金は、マッチングアプリ以上に素敵な出会いのきっかけを作ってくれるかもしれない。
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