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特徴とベネフィット
これはマーケティング理論でもあるし、セールストークでもある。心理学の根幹になるのですが、特徴とベネフィットを混同しているセールストークをよく見掛けるし、逆に一つもセールスに役に立っていない広告も良く見掛けます。また、幹部職や役職者においても、部下に対してそういう指導が行き届いていないように思えます。ひとえに戦略がブレてしまっているので、戦術がままならない状態とも言えるでしょうか。。。

住宅で言えば、もう目の前に迫っていますが、温熱環境にある断熱性能が義務化を迎えます(2025年度)。ここで数値が使われますが、例えばUa値。「外皮平均熱貫流率」と言われるもので、「これは、、、、、」とか、「平成28年基準の、、、、」とか、マウントとって説明されても、お客様からして見れば「」◎△$♪×¥●&%#?!」にしか過ぎないと思います。数値や特徴よりも、このUa値なんたらが、私の家づくりにどう影響するのか?ベネフィットをもたらせてくれるのかに関心があるはずですし、それが価値・価値観となって購買意欲を掻き立ててくれ、信頼を得るのである。

つまり、お客様は特徴で商品を買うのではなく、ベネフィットで商品を買うのです。NLP的に言えば「アウトカム」「メタアウトカム」の設定です。だからこそ、目的がある目標設定を行わないと、意味の無い商談になってしまい、結果的に満足度は得られるかも知れないが、紹介や生涯顧客になり得ない、商品戦略になってしまうのです。商品戦略においても、「集客商品」なのか「利益商品」なのかと戦略がありますが、それはまた違うテキストに書かせてもらいます。

では、このベネフィットの在り方。日本語で要約すると「価値」です。その人の「価値観」への琴線に触れる「セールス」を行っているのかどうか。物価高騰だからと言って、光熱費の高騰だからと言って、電気代のシュミレーションを行って購買心理に働き掛けるかどうか。光熱費のシュミレーションを行って、商品を売ることも可能でしょうが、省エネの結果論よりも、その人の、家族の健康状態。つまりベネフィットの本質は、断熱性能の向上によって風邪を引くことが少なくなったり、家で過ごすことに寒さ暑さのストレスから開放されたり、行動範囲が広くなったり、病院へ行くことが少なくなったり、睡眠状態が良好になったりと、健康状態が良好になることが最大のベネフィット効果であり、家で過ごすことが快適であったり、友達を煩累に家に呼べたり、テレワークの仕事が快適であったりと、そして最終的というか、結果論として省エネに繋がっていることが大切なはずです。

単に光熱費だけのシュミレーションを行った訴求では二流と言わざるを得ない。また、そういうお客様しか呼び込むことは出来ないので、本質的に一流のお客様を逃してしまう結果になるのです。

単に売上だけを上げれば良いのか。会社の目的(目標)に向かって、どういうお客様と、どういう商売を行い、会社や社員を育てて行くのか。そういうブランドに仕立てて行くという経営スタイルに、環境活動など組み合わせて、キャリアパス制度を構築し、社員育成や福利厚生などもしっかり充実させ、、、、そこまでの経営像にお客様の関心を集める(高める)、雇用戦略と合わせ、集客戦略もあるのです。

家電製品の販売手法を見ているとわかりやすい。例えば「冷蔵庫」。Aさんは、「扉は右開きですか?」「左開きですか?」「容量はどれくらいをご希望されますか?」「450リットルあると一般家庭では十分かと」。一方でBさんは、「どのようなお料理がお好みですか?」「好きな食べ物は?」「洋食系とか和食系とか好みはありますか?」。。。結論として「B」さんの方が、よく売れていました。確かに冷蔵庫を購入するという動機があるので、ご要望の特徴や機能を確認する事は大事なことですが、その前に「信頼関係」を構築する必要があります。自分や家族が好みそうな食べ物を保管・保存できる冷蔵庫、子供達のお弁当やご主人のお弁当なども、毎日作っている奥様。奥様やご家族が望んでいる冷蔵庫は、この冷蔵庫(購入する冷蔵庫)が、私や家族にもたらせてくれるベネフィットとは、、、そして、結果的に省エネに繋がっていることがベストですね。

ベネフィット(価値・価値観)を上手く伝えきれるかどうか。

昨年、私は冷蔵庫を買い替えた。20年近く壊れなかった冷蔵庫だったので、買い替えるタイミングを失ってしまっていたのである。10年以上も年数が経っていたら、必ずや電気代などは、かなりの省エネになることはわかっていたのだが、、、昭和の貧乏性なので、壊れるまで使用し続ける習慣が邪魔をしたのでしょう。。。

父子家庭の私が息子に確認できたのは、、、、「押したら開くやつがイイ」「今もそうだから、、」のみだった。。。私も毎日料理を作っていても、容量や機能までは理解できない。下取りをしてインターネットで購入しようかと思いましたが、どのホームページを見ても容量含めた機能や特徴ばかりで、使い勝手の共感を得るベネフィットを得ることができなかった。そして、ふと「〇〇カメラ」さんへ情報収集的な感覚で立ち寄った際に、そのまま、その場で購入したのですが、、、二人の販売員の説明を聞いて結果を書いています。

まずは父子家庭の料理を作る大変さにとても共感してくれました。尊敬さえしてくれました。そして、普段食べている食べ物や、子供の偏食(好き嫌い)含め、買い物事情等などの確認、氷や飲料の使用頻度、野菜はまるごと購入か、調理品か、冷凍食品などへの賛否など、自分の家の家族構成や冷蔵庫事情なども含めて、好感形成、信頼形成等に十分な時間を用いて、ベネフィットを確認したのです。しかも、カラー選定までも提案してくれました。

使い勝手は従来品を長年愛用していたので、十分とは言えませんが、なんと省エネ効果は一年間ベースで4万円以上の節電効果。商談時には、そんな話はしていないのです。

Ua値やC値。Q値の説明、断熱材の種類に応じた特徴や機能などは、社員研修で徹底的に叩きこめば良いことで、お客様には関係無いとは言えないまでも、十分条件ではあるが決して必要条件とは言い難い。寒い時期の暖を得る方法や暮らし方、服装など、暑い時期の涼を得る方法や暮らし方、服装など、共感を得ることや、なぜそうなってしまうのか、当社で家を建てると、どう暮らし方が変わるのか、、、それこそ冬場の靴下が一枚で十分、夏場なら裸足で過ごせるとか、しかも自然素材なら、、、とか。

これは営業販売に限らず、設計・デザインスタッフはもちろん、あらゆる場面で最低限の必要なコミュニケーションセールスであって、確認事項でもあるのです。

住宅産業だけでなく、あらゆる産業や事業にも通じるコミュニケーション能力です。もう一度言います。世の中で一番優れた商品や機能が一番売れているわけではないのです。売り方が一番上手い商品や機能が売れているのです。それは「価値」と「価値観」をしっかり理解している、落とし込めている売り方なのです。

戦略はブレないことです。心にも重心があり、言葉にも重心があります。戦略にも重心があるように、物事には必ず重心が存在します。そのこだわりとなる重心をブラすことなく、しんどくても貫き通すから、社員も踏ん張り、結果的にお客様にも伝わるのです。

社員像は会社像を反映し、繁栄に繋がる「顔」を持っています。顧客接点のあるか無いかに関係無く、全社員が「価値」と「価値観」に共感できるような「顔」を大事にしましょうね。