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保険加入の実況中継

今回は私が保険に加入した時の話をしよう。入社して間もない頃に入った個人年金保険の話だ。

「貯蓄から投資へ」というスローガンが鳴り響く現代においては、個人年金保険のような極めて保守的な商品に目が向く人は少ないかもしれないが、当時は「とりあえず入っておけばいいか」といった大らかさが許される空気だった。

生命保険は30年後、40年後の貰える金額が1円単位で決まるという特殊な性質を持っており、「金額のブレは一切許容しない」という人は良いと思ってもらえるかもしれない。(俗にいう"お宝保険"はこの性質によって生まれる)

とにもかくにも、当時の私は個人年金に入ったが、プランはシンプルそのもので、60歳まで月々1万円をかけて、60歳になったら年金をもらうというものだ。これを今日に至るまでかけ続けている。

しかし、今から思うとまだまだ工夫の余地があった。

個人年金保険は、生命保険会社と個人間のお金のキャッチボールだ。大きな金額をなるべく早めに渡して、好き勝手に運用してもらう期間を長くとるほうが利回りは高くなる。

例えば、私の入ったプラン(60歳まで払って60歳で年金開始)を55歳まで積み立てて、60歳から貰い始めるプランに変更してみる。

掛金を払う期間は5年減ったが、その間は年金の支払いがない。つまり、保険会社は積立金を資産運用に回せる猶予期間を5年得たということだ。

そのため、支払いが終わってすぐ年金を貰い始めるプランよりも利回りは良くなる。(ただし絶対額は減る)

さらに、月々の掛け金を増やした上で55歳まで払い、60歳に年金を受け取るようにしたら、トータルの出費額は同じでも利回りはさらにアップする。

なお、年金が開始された場合、まだ払われていない年金原資は保険会社にプールされて運用に回される。そのため、一括で受け取るよりも年金形式で貰った方が受け取れる年金総額は高くなる。

「時は金なり」とはよく言ったもので、すぐにもらわなくてもいいよと言える人の方が結局は貰える金額が大きくなるのである(余裕のある人のところにお金が集まる)。

また、病気になっても支払に関係ないので事前の審査不要で加入が簡単だ。死亡しても積立金がそのまま払われるだけなので加入条件には特に響かない。

そういう意味で、商品性も手続面も非常に簡単な保険である。一時期はマイナス金利政策など低金利局面が続いたことにより低迷していたが、日銀は最近事実上の利上げに踏み切った。

利回りが上がればこういった貯蓄性商品もまた息を吹き返すかもしれない。商品ラインナップが幅広いと、金利や為替などさまざまな経済動向に対応しやすくなる。

一時的な売上低下で安易に切り捨てるのではなく、コストをかけて維持するのも意味のある選択なのだなと思った。

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