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好きだけに囲まれて更けてゆく休日の夜

土曜日は疲れを癒すために費やした。来たる日曜日は、いざ、新規のお店開拓だ。

やってきたのは恵比寿。以前にきた時の私はまだまだ人生経験が少なく、カフェぐらいしか行き先を見つけることができなかった。

しかし、感性が変わった今の自分には、特徴的なお洒落な建物と、段差の多い古びた街並みが入り組んでいるとても魅力的な場所に映った。

ランチでチョイスしたのはこちら。

お弁当もそうだが、高級な料理の多くは少量多品種である。まとまった量をドバッと作るより手間がかかるので、当然といえば当然だ。

コース内で印象に残ったのは3つ。一つ目は肉まんで、あんが最高にいい味を出していて病みつきになる。

二つ目は酢豚。肉の衣がめちゃくちゃジューシーかつカリカリで、食感が素晴らしかった。酢豚の中にはパイナップルも入っていて、ちゃんと味に調和している。そういえば料理研究家のリュウジさんも、衣を一工夫してふわりと仕上げるのを「お店のような本格料理」と紹介していた。

どうやら料理人の中では、「これをやると高級感が演出できる」という方程式が出来上がっているようだ。

デザートのマンゴープリンも大満足のボリューム。当たり前だが、ちゃんとしたコース料理はこういうところも手を抜かない。

お腹を満たしたら次はカフェの開拓だ。評判の良いこちらにお邪魔することに。お店に続く階段を上がると、店員さんが向こうからスマートな所作でドアを開けてくれた。まるでホテルのボーイさんだ。これも一つの高級感の演出である。

店内は全席喫煙可だが、女性客が多い。どこかの論文で女性は男性よりも匂いに敏感な人が多いという実験結果があったはずだが、タバコの匂いを気にせずこれだけのファンが集まるというのは、それだけお店のホスピタリティが高い証拠だろう。

カフェラテを流し込み気分が良くなったところで、久々に前に通っていた将棋カフェに立ち寄る。

なんと超満員で、座る場所を探すのも難儀する状態だった。オープンからしばらく通っていたが、コロナになってからしばらくご無沙汰だったが、来るたびにお客さんの数が増えている感じがする。

店内はちょうど藤井聡太五冠のタイトル戦の模様が中継されていた。

このカフェはテーブルに将棋盤が置いてあって、店長がお客さん同士でマッチングしてくれて、その場で対局ができる。3局指して2勝1敗。

ほどなくしてタイトル戦の決着もついた。歴史的瞬間を目撃し、店内で自然に拍手が巻き起こった。同じものを好きな人同士が集まる、好きだけが詰まった空間。なんて幸せな世界だろうか。

ちなみに、店員さんはお客さんの中で良いなと思った人に店長が声をかけるそうだ。たしかに、通ってる時点でお店に愛着があるということだし、面接と違って自然体にしている時の振る舞いから判断しているのでミスマッチも起こりづらい。

小規模店舗はこういうことができるのがいいところだ。毎年大量の人間を採用する大きな会社では取り得ない方法である。

最後はこちらのお店でブリ定食をいただいて終了。春の陽気と共に過ごした、充実した時間だった。

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