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コールリーダー5人はwithコロナ時代の応援をどう考えているのか?「『クラブとサポーターのチーム力』が試される」とは!?

COVIDー19(新型コロナウイルス)により、Jリーグの応援やサポーターのあり方は、どのような影響を受けるのでしょうか。

もしかするとサポーターの中心人物が変わってくるかもしれませんね。今までの、現場で決めて動くやり方のときは声がデカくて現場のリーダーシップがある奴が中心でうまく回っていたのですが、こういう状況ですと、事前に決めて事前に準備をしておく必要が出る。どちらかというと『勢いでやる人』よりも『理論的な人』の方が中心になって動いてもらうこともありそうです。今までは裏方だった人が表舞台に出てくるかもしれません。声が大きいとか毎試合スタジアムにいるといったことで目立つことはできなくなってくるので、周囲からの評価基準が変わってくると思います。

そう話してくれたのは、東京ヴェルディのコールリーダー を務める嘉納伸吾さん(VERDISTA)。様々な規制の中で行われる応援となるため「『クラブとサポーターのチーム力』が試される」という意見をお持ちです。
※インタビューの全文は最後に紹介する電子書籍に掲載しています。Kindle端末をお持ちでなくてもご覧になれます。

Jリーグの再開が決定。サポーターは開幕に向けて動き出した。

2020年5月25日に、日本政府はCOVIDー19(新型コロナウイルス)に関する緊急事態宣言を全面解除すると表明しました。屋外イベントは段階的に制限が解除され2020年7月10日以降は観客5000人を上限としたスポーツイベントを開催できる目安も定められました。2020年2月25日に開催延期が決まったJリーグも、ようやく再開に向けて一歩を踏み出せる見通しとなりました。

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今、コールリーダーは何を考えているか?ZOOM座談会を開催し直接聞いてみることにした。

参加されたコールリーダーはJ2、J3から、地方都市をホームタウンとし、プロサッカークラブとしては、比較的歴史の浅いフレッシュなコールリーダーに参加していただきました。FC今治は今シーズンにJFLからJ3へ昇格したばかりです。参加されたのは、この4名です。

V・ファーレン長崎サポーター
福島美桜さん(ULTRA NAGASAKI WEST END)
19歳 2019年よりコールリーダーになった2000年生まれの新星

愛媛FCサポーター
中村泰輔さん(U.E.C.N.)
31歳 いつかJ1の舞台を経験することを夢見るコールリーダー6年目

AC長野パルセイロサポーター
徳永就大さん(Frente de Nagano)
27歳 クラブがこの地に根付き、何百年と続く為の応援を創る

FC今治サポーター
サエキツヨシさん(7colors)
38歳 岡田オーナーと共に歩みFC今治のクラブW杯優勝を目指す

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再開後のJリーグは7月10日以降も座席の間隔を空けて開催に。場合によっては全席指定かもしれません。自由席でコールリーダーを核に、周囲を固めるサポーター団体が主導していた、これまでの応援スタイルとは全く異なるスタンド風景がJリーグにやってくるかもしれません。

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徳永(長野) やっと開幕が決まったなという気持ちです。まさか、ここまで長引くとは思わなかったです。J3は開幕していないので、ようやく開幕だという気持ちです。その反面、世界がどうなっていくのか、応援をどうやっていくのか不安も一部ではあったりします。

ソーシャルディスタンスを保って応援の一体感は維持できるのだろうか?不安と課題。

徳永(長野) 果たして熱狂がそこに生まれるのかという疑問があります。それがフットボールの文化(に適合している)?という思いはあります。ソーシャルディスタンスや三つの密が人の意識を変えていると思うので、フットボールの文化が衰退していってしまうのではないかという不安があります。

中村(愛媛) 我々(コールリーダー)の立場は存在意義が問われるというか、要らないということになってしまうので・・・。ただ、この件についてクラブに言われたことを言われた通りにやらざるを得ないところはあります。

サエキ(今治) 夢スタ(ありがとうサービス. 夢スタジアム)はソーシャルディスタンを保つと1500人くらいしか収容できないかもしれません。今、J3昇格でモチベーションが上がっていたサポーターの中に(中断期間で)冷めていく感もあるので、下手すると1500という人数すら集まらないのではないかという不安もあったりします。「声を出せないなら行かない」という人もいるだろうから(行くか行かないかは)選んでもらうしかないです。声出しができないなら何ができるだろうか?例えば「歌はないけれど手拍子で何かできないか?」それが上手くいったら「手が痛いでしょ」ってクラブが応援グッズを発売してくれるとかできるんじゃないかなって思っています。

福島(長崎) ゴール裏に来てくれる人の(定着の)きっかけは「楽しい」「また行ってみたい」「一緒に応援して点が入ったらハイタッチしたりハグしたり」とか、これ(らの経験)が積み重なって「また行きたい」になっていくので、もし座席の間を空けるとなったらできなくなるので、ゴール裏にお客さんが増えることは期待できないし、減るかもしれない。ゴール裏は、視覚的には最悪で2Dくらいじゃないですか(笑)。それでも選手を後押ししたい人が来るので、それがなくなると何もなくなってしまうくらい。そういう人たちをどうやって盛り上げて行くのかが私たち(コールリーダー )とサポーター団体のあり方になるんじゃないかと思います。とは言っても声を出せないのは厳しいです。声出しはサポーターの一番の武器なので。バンデーラ(たすき)とコレオボード(コレオグラフィー=人文字を作るボード)を使って何ができるか?というのがありますが・・・。

石井 応援の一体感を味わえないスタジアムには来なくなる人は多そうですか?

徳永(長野) 多いんじゃないですか?ゴール裏の醍醐味は今の状況では味わえないというところはあります。勝利のラインダンスを楽しみにゴール裏に来てくださる方も多いですし「密こそサポーターだろ」みたいなところが損なわれてしまうとどうしようもないみたいなところはありますよね。

サエキ(今治) 今治は声出しの価値が他のクラブのサポーターと比べると高くない(定着してない)ですね。下手したら、クラブは(今後も)声出し応援をナシでも良いという判断をする可能性もゼロではないくらいです。

中村(愛媛) 2年かかっても3年かかっても元の応援方法に戻すことに努力したいです。もしかしたら新しいファンが増えることもゼロではないと思うので、応援だけを引っ張って行くのではなく、プラスアルファで発信できるような存在になっていければと思います。

withコロナCOVIDー19 で生まれる応援の課題を解決するには、5つの視点で応援を見つめ直す必要があります。

1 時間の視点
COVIDー19の特効薬の開発や予防接種ワクチンが世界中に普及するまでに、どのくらいの時間を要するのかの等。
2 距離の視点
「三つの密」やアウェイ遠征の制約等。
3 行動の視点
応援スタイルのリスク評価等。
4 共闘の視点
サポーターの求心力・連携力と選手の想い等。
5 未来への視点
サポーターの熱量をいつ、どこに向けて行くのか等。

5つの視点から見つかる多くの制約と希望から「何で選手にメッセージを伝えられるのか?」「どこまでであれば感染対策を阻害しないのか」を考え、当面は、withコロナCOVIDー19 時代の「New Normal」に対応し、創意工夫に溢れる新しい応援を考える必要が出てくるではないでしょうか。

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社会がサポーターに求めるようになる信頼と安全性。

withコロナCOVIDー19 時代に入り、人は出かける場所を選ぶ際に「信頼できる場所」「安全な場所」を優先するようになります。果たしてJリーグのスタジアムは「信頼できる場所」「安全な場所」として認めてもらうことができるでしょうか。一部に残っていた「ギリギリまで危険を犯してでも勇敢に戦うサポーター」像が美しいという考えは、完全に過去のものになるかもしれません。

レギュレーションに則した、それでいて最大限の応援方法を開発するためにはクラブとの連携が重要。

クラブとサポーター団体の関係は時に一体であり、しかし、時に緊張感ある関係の場合もあります。応援方針等を巡ってサポーター団体とクラブが対立するケースも多々ありました。withコロナCOVIDー19 時代に入り、スタジアム運用の新たなレギュレーションが決まります。スタジアムでコアサポーターは何をできるのか?正確にレギュレーションを理解しているクラブの運営担当者と一体になった応援再生計画が必要なのではないでしょうか。


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