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読書記録:男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!) Flag 4. でも、わたしたち親友だよね?〈上〉 (電撃文庫) 著七菜 なな

【汚れのない恋の喜びは、真の友情を試すきっかけとなる】


【あらすじ】

かつて永遠の友情を誓い合った悠宇と日葵は、中学以来の〈運命共同体(しんゆう)〉――だったのだが。高校2年生の夏、ついにその仲を進展させ、二人は新たな関係に……!

夏祭りデートを彩る打ち上げ花火。兄姉総出の海遊び。
ちょっとだけ変わった彼と彼女の日常を、穏やかな時間が流れていく。
こうして激動の夏休みも無事終わるかに思われた、そんなある日のこと。

「この前のお詫びに~、東京のクリエイターに紹介してあげる~♪」

紅葉に連れられ(?)羽田空港へ降り立った悠宇。そこで待っていたのは――。

「えへ。きちゃった♪」

「きちゃったかあ……」

まだまだ夏は終わらない! 初恋のあの子と行く、初めての東京〈親友〉旅行!!!?

あらすじ要約


遂に恋仲となった悠宇と日葵は、夏祭りデートに花火、海水浴と存分に関係を進展させる中、東京で凛音と刺激的な観光を繰り広げる物語。


親友とはあくまで友達であり、その先の恋愛には発展しにくい物。
そんなある種のジレンマを抱えながらも。周囲からのサポートもあり、彼女持ちの悠宇を東京のフラワーアクセの職人に会いに行くという口実の元、誘い出す凛音。
悠宇の将来の夢を知っても尚、諦め切れないこの想い。
どんな形であれ、彼と結ばれたい。

運命共同体と言う名の「共犯者」となったの悠宇とヒロインである日葵。
親友という関係を逸脱して、もはや恋人同士になった二人。
一つの関係の結実を迎えた先に立ち塞がる凛音という存在。
「メンタルお化け」とまで称された凛音がそう簡単に諦める選択肢なんて存在する訳が無い。
まだ諦めきれないという思いのままに。
紅葉のせいで半分以下となってしまった夏休みを取り戻す為の日々の中で。
奇しくも「親友」というカテゴリを、したたかに利用して、悠宇へと迫ってくるのである。

日葵が独占なんて許さない。
日葵が「親友」であったのなら、同じことをしたって問題にはならない筈で。
だって「親友」だから。
そこに恋という想いは無いはずだから。
その独自の論理展開の元に免罪符にして行動を起こす。

関係を揺らしたお詫びと言う事で、日葵と引き離す形で悠宇だけが東京に呼ばれる。
初めての都会に目を輝かせるお上りさんな悠宇の傍ら、やってきた凛音の姿もあって。

憧れの都会を巡るは初恋の女の子と共に。
言った事もない場所、そして二人で泊まった同じホテル。
日葵という心の支えが傍にいない中、更に振り回される悠宇。

そんな彼へと紅葉は、東京のクリエイターに会ってみないかと提案してくる。
だが、それは紅葉の新たなる策略。
絆ではなく「夢」を折ろうとする邪な策略。

姉を脅して、親友の立場を利用して、悠宇を奪うため仕組んだ東京略奪旅行。
付き合っている日葵に内緒で凜音と二人きりの東京旅行が決行する。
彼にしてみれば恋人となった日葵への強烈な裏切り行為であり、罪悪感は計り知れない。
日葵と付き合いだしたのに、途中からずっと凛音のターンが継続する。
最終的には「日葵に認めてもらって悠宇に自分を好きになってもらって恋人になる」事を目標にした恋愛メンタル強者ぶりを存分に発揮していく。

恋と夢と友情が複雑に絡み合い、選択の難しさが如実に現れる。
恋人という関係になった悠宇と日葵が、凛音や真木島、咲良、雲雀、紅葉達と海に行くイベントがあったり、夏祭りでデートしたりする青春ラブコメを繰り広げる中で。
そんな和気藹々さに水を差す、停滞が許されない激動の青春の中で、これからの布石となる選択。

近づけば近づくほど相手の嫌な所や、隠したい部分が見えてしまう。
旅行という特殊な状況で、二人は新たな壁に直面していく。
そして、紅葉の計らいによる悠宇へのクリエイターとしての誘いが、凛音の心に不安の種を植え付ける。
抱く気持ちが「憧れ」「尊敬」の類なのか、それとも本当に「恋」なのか?
凛音との関係、クリエイターとしての矜持、二つを突きつけられた悠宇。

プロの世界が悠宇の夢と恋にどんな変化を齎すのか?
果たして、悠宇がクリエイターとして成長できるのか?
それとも潰されてしまうのかが、これからの選択によって試される。
それは赦しの免罪符、そして心を揺らす嵐。
その策略に、敢えて悠宇は乗って、飛び込んでいく。
しかし、見せつけられるのは、非情な現実である。
そして、彼の目は、今は「未来」しかみていない。
仕掛けられた罠に飛び込む形となった悠宇は、夢を守り通す事は出来るのか?
いずれ訪れる試練の盤面を乗り越える事は叶うのか?

夢と恋、相反する感情に揺れた末に出す悠宇が下す答えとは一体どんな物なのだろうか?








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