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世界の辺境と室町時代の共通項とは?

高野秀行さんは好きなラジオ(安住紳一郎の日曜天国)でゲストの際にアジア納豆の話を聞いて以来、興味津々でしたが何故か本を読んだことが無かったです。最近興味の出てきた日本中世史との関係性という事で、歴史家・清水克行さんとの対談本を読みました。とてもとても面白かったので既に文庫本になっていますが書いてみたいと思います。

表紙は山口晃さん 本体840円+税です。

本の題名が私の大好きな村上作品のオマージュなので、そこもくすぐられるところです。高野さんが得意とされる辺境の文化が、日本中世の室町時代における共通性を二人の専門分野の細かいネタを挟みながら披露してくれます。お二人とも知識豊富で、どの章をとってみても”なるほどなぁ”と納得する事ばかりの一冊でした。

本の中で紹介されている網野善彦先生の著作や内田樹さんの「日本辺境論」なども読んでいたので、私自身でより納得した面もありました。貴族社会から武家社会に移るなかで天皇制と幕府権力との権力バランスが崩壊しつつある室町時代。それはまさに戦国時代へ移行する前のハードボイルドな時代でありながらも、社会全体が身分制で固定化される前で経済が発達、資本主義が生まれつつある活気ある社会でした。一方で辺境にある国には近くの大国・先進国を横目に見ながら、美味しいところ(だけを)をつまみ喰いして、新しいシステムを生み出す独自のダイナミズムを感じます。この両者の共通性は本当に興味深いです。

実はさっそく2冊目の『辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦』も読みました。こちらも良かったです。お二人とも研究熱心で、よくあれだけの本を読めるなぁと思います。
そして高野秀行さんに出会ったのだから、「謎の独立国家ソマリランド」の文庫(集英社文庫)を読もうと、今日買いました。
楽しみです。

読んでいただき、ありがとうございました。



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