マガジンのカバー画像

【君からの手紙】新マスク文庫|「拝啓」七田苗子

29
新マスク文庫の「拝啓」七田苗子×ジユンペイ こちらの小説へのお返事となる、「君」からの400字のお手紙。 採用作品は「拝啓」の裏に印刷します。
運営しているクリエイター

#企画参加

前略ごめんください

前略ごめんください

(みけにゃんさんありがとう♪こちらの企画に参加させていただきます♪)



ー 私は今、笑顔です。

あなたが木の下に来てくれた時、わたし、隣にちょこんと座っているの。そうして、うたた寝をしたり、あなたの顔を眺めたり。目に見えたり触れたりはできないけれど、一緒に葉っぱの歌声を聴いています。

だから、いつだって笑顔でいられるのよ。

風が半分だけ夏の香りになった日に、あなたの手紙は風が届けてくれ

もっとみる
耳を澄ませて・・・「投稿作品」

耳を澄ませて・・・「投稿作品」

(雲の上のわたしから、木の下のあなたへ)

あら コーヒーの香り・・・

あなたの入れてくれたコーヒー

わたしがカットするとき

あなたの髪に残っていた香・・・

ちょっぴり長めで優しいカール

切りすぎないでね

サラサラと葉の揺れる音・・・

お気に入りの曲も聞こえる

やさしい音・・・

幹のなかを通って来たからかしら

こちらはね

朝日がのぼるとき

夕日がおちるとき

空一面が絵にな

もっとみる
ーあなたへー 【企画参加】

ーあなたへー 【企画参加】

ごめん

ごめんね

こんなふうに、あなたと離れ離れになるなんて

あの頃は想像もしてなかった・・・

海辺の土産店で、ふざけてかぶった帽子が

あまりにも似合い過ぎてて見つめ合った時

一生一緒にいると決めたのに

あの朝あなたが淹れてくれた珈琲は特別に美味しかった

それからは青いラベルが私たちの定番になったっけ

しあわせな時間だったよ

ねぇ 気づいてた?

丘の上の大きな木の下で、お気に

もっとみる
木の下のあなたへ  【企画参加】

木の下のあなたへ 【企画参加】

あなたはまたそこにいるのね

その木の下は優しい風を感じることが出来て好きだったわ

あなたは音楽を聞きながらそこでよく寝ていたよね

そうか、もうすぐ夏なのね

時間が経つのは早いものね

あなたに会えなくなってもうすぐ一年になるね

あなたが淹れてくれた珈琲?

忘れるはず無いでしょ

私にとって幸せの香りだもの

あなたが好きなもの、全部覚えてる

でもね、私はもうその場所には戻れないのよ

もっとみる
拝啓 ~あなたへのお返事~

拝啓 ~あなたへのお返事~

ー 私は今、微笑んでいます。

何故なら、あなたのくれた言葉があまりにもあなたらしいから。

いつも聴こえているよ。

あなたと一緒に聴いていたあの曲。

透き通るような心地よい風に吹かれて踊る、枝や葉の揺れる音。

そして、少し寂しげなあなたの囁き。

あなたの淹れてくれた珈琲。香りだけは毎朝いただいてますよ。あなたが大きなため息を漏らしながら、その珈琲を啜っているのも知ってます。

あなたの前

もっとみる