見出し画像

愛媛の柑橘の魅力を「香り」という新しいジャンルで発信するー媛香蔵(三洋興産株式会社・飯尾健一さん)

2022年5月の「地元を愛す。」プレゼントの賞品にセレクトしのは、媛香蔵の「マスクスプレー&ハンドジェル」。
愛媛の魅力を発信するため、「香り」にフォーカスした商品開発に取り組んでいる三洋興産株式会社(松山市北吉田町)の専務取締役・飯尾健一さんにお話を伺いました。

媛香蔵の一番人気はハンドクリーム。

津々浦々の学校を訪れて感じた過疎化の現実
愛媛の柑橘の魅力を新しいジャンルで発信


―三洋興産株式会社は昭和40年の創業以来、遊泳プール用の塩素販売や、ろ過装置の据付・メンテナンスなどを主軸事業としてきたが、平成23年に、全くジャンルの異なる「芳香事業部」を立ち上げた。そこで展開する愛媛の柑橘を使ったアロマ商品のブランドが「媛香蔵(ひめかぐら)」だ。

(飯尾健一さん)
プールの仕事を通して、毎年、南宇和や土佐清水、三豊、坂出まで様々な学校を回っています。山間部などでは高齢化が進み、子どもの数が5人、10人 という 学校に行くと、とても寂しく感じることがあります。「平成の大合併」では小中学校の統廃合も行われ、過疎地の厳しい現状を目の当たりしました。それと同時に、学校数の減少は、私たちの会社にとっても死活問題で、プール事業に加えて何か新しいことを始めないといけないという思いが芽生えました。その頃、閉校になった南予の学校は、どこもみかん山を背負っているイメージがあったんです。せっかく先人が築き上げてきた「愛媛の柑橘」という産業やそれを支える地域の元気がなくなっていくのはもったい
ない、何か貢献できないかという思いを念頭に、自分たちの新たな事業を考えたとき、ジュースやゼリーなど柑橘を使った加工食品はすでに多くの企業が取り組んでいましたが、まだ柑橘の「香り」にフォーカスを当てて仕事をしているところはあまりなかったんです。そこで、このジャンルで新たな価値づくりに取り組もうと思い、平成23年に「媛香蔵」というブランドを立ち上げました。


―「香り」で愛媛らしさを届けるというわけですね。 商品に使っている柑橘はどういったものですか。

媛香蔵の商品は基本的に愛媛県産の柑橘の精油が入っています。合成香料は使わず、エッセンシャルオイルだけで河内晩柑やレモンなど10種類あります。材料となる柑橘は松山近辺で採れるものを主に使用していて、精油を
作るのに必要なのは果皮だけですから、加工品などに使用された果実の果皮を仕入れています。


―「媛香蔵」を立ち上げてから10年あまりが経ち、ルームコロンや入浴剤など様々な商品がラインナップされていますね。一番人気はどの商品ですか。

一番人気はハンドクリームですね。お土産や歓送迎の時期など、ちょとした贈り物として活用していただいています。この10年を見ると、新型コロナウイルスの流行が始まるまでは、売り上げもコンスタントに伸びていました。ところが、媛香蔵の商品はお土産屋さんでの販売をメインで展開していますので、感染拡大の影響でなかなか愛媛に来てもらえないという状況が続き、売り上げは落ち込みました。新型コロナの収束の見通しが立たないなか、今後どうやって販売を展開していくか頭を悩ませているところです 。 近年、香りの事業に参入する企業も増えてきましたので、今後はスギやヒノキなど、柑橘以外もうまくブレンドしながら商品作りをしていけたらというイメージはあります。


―売上減少という厳しい状況ではありますが、 コロナ禍をきっかけに取り組まれたことはありますか。

今回のプレゼント賞品になっている「マスクスプレー」と「ハンドジェル」は、まさにコロナ前にはなかった商品です。新型コロナが流行り始めた当初、どこもかしこもマスクがない、アルコールがないという状況でした。あの頃は、不織布のマスク でも 繰り返し使うという状況だったので・・・。このマスクスプレーにはアルコールが 60 %程度入っていて消毒効果もある。そこに柑橘の香りをつけて販売したら、皆さんのお役に立てるんじゃないかなということで急きょ作った商品です。当時 は まさか2年経ってもマスクしているとは思わなかったですが。

今やマスクが日常になり、「ウィズコロナ」というライフスタイルが今後どうなっていくのかをしっかり読みながら、今後の商品開発をしていかないといけないなという思いがあります。ハンドジェルにもアルコールが入っていていますが、保湿効果もある商品です。ハンドクリームと同じような使い方で、「すすぎのいらない石鹸」のようなイメーで使っていただけたらと思います。

新型コロナの流行をきっかけに生まれた「マスクスプレー」と「ハンドジェル」。


―昨年、媛香蔵とは別の、新たな香りブランドを立ち上げたそうですね。

「E.E.N.E.(ええね )」という香りブランドで、媛香蔵よりも若い層の女性
をターゲットにしています。コンセプト も 媛香蔵とは異なり、柑橘そのも
のではなく、瀬戸内の魅力ある場所そのものをアピールする商品です。
下灘駅や梅津寺、広島の大久野島など瀬戸内の人気スポットを絵本のような可愛らしいイラストにして商品にデザインしています。愛媛=柑橘おいしいよね、だけでなく、瀬戸内のすてきな場所を知ってもらい、この商品をきっかけに、実際にその場所を訪れて楽しんでもらえたらという願いを込めています。

新ブランド「E.E.N.E.」のディフューザー。写真映えする人気スポット・伊予市双海町の「JR下灘駅」を イメージしたこちらの商品はカシスオレンジの香り。


三洋興産株式会社 専務取締役 飯尾健一さん


媛香蔵公式オンラインストアはこちら