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「出会い、生まれる、じてんしゃ旅」 世界36カ国90000km を旅してきた自転車冒険家が、今回目指すのは生き 方の冒険。 財布を持たず、見通しを持たず、持つのはコーヒー… もっと読む
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2018年12月の記事一覧

アイヌと家族とコーヒーの物語。

アイヌと家族とコーヒーの物語。

旅というのは不思議なものだ。
そのときどきに見つけた小さなカケラをたどっていくうちに、いつの間にかおおきな一筋の物語が浮かび上がってくるような。

予定をたどること。
空白を埋めていくこと。

それが日常なら、旅はこうかもしれない。

心地よい空白を持ち。そこに入ってくるものを受け入れるもの。
どんな絵になるかは分からない。けどあとから振り返るそこに、自分の人生にとっての必然性のようなものが生まれ

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避難所でのコーヒーが生み出すもの。

避難所でのコーヒーが生み出すもの。

電気が無くなった。
信号はただ交差点に何もあかりを照らさず立つ。

ホームセンターやスーパーの前には行列ができ、ガソリンスタンドの前には車が並び、つなぎを着たスタッフが手押しポンプなのかハンドルのようなものをグルグルと回しながら給油をしていた。

コンビニはどこもドアに大きく「臨時閉店」と張り紙をしていて、セイコマートや少数のコンビニだけがお店を開いて、小さな端末を使ってレジを打ちながら営業してい

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地震が起き、明かりが無くなった。

地震が起き、明かりが無くなった。

僕の頭のなかは「台風」のことでいっぱいだった。
下川町を出たころ、会う人会う人に「台風来てるから気をつけてね」と声をかけていただく。今年の西日本豪雨をはじめとした水害はまだ終わる気配を見せない。本来、梅雨がないと言われている北海道も今年は「蝦夷梅雨」といって雨ばかりの夏だったそうだ。

台風が来るのは今晩。自分のいる場所からオホーツク海にぶつかる興部町の道の駅にも、列車の車両が旅人の宿泊用に開放さ

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行き当たりバッチリでいこう。

行き当たりバッチリでいこう。

親友のリョータ家族の暮らしに、僕も借りぐらし。
そこで垣間見たおおらかさというよりも、どっしりとしていて、その都度起こることをしっかりと受け止められるような安定感。このままいたら、まだまだ彼らから受け取るものがたくさんあるだろうなぁという名残惜しさを残してペダルを踏みはじめた。

さぁどちらに向かおうか。当日の朝まで決めず、ゆきちゃんの「なんとなく東でしょ!」をサッと受け入れ稚内ではなく下川を目指

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僕は君たちに出会って【家族】に憧れた。

僕は君たちに出会って【家族】に憧れた。

一度しか、それもたったの1、2時間しか会っていないのに、心に何か余韻のようなものが残る出会いがときどきある。徳島に家族と里帰りしていたリョータとその家族がそうだった。カラダもおっきいけど、その佇まいから懐の大きさを感じるリョータ、赤ちゃんを抱きながらおっきな口をあけて笑う奥さん、そしてオチンコチーン!と父ちゃんのちんこをたたく娘。

「昭和の時代はこういった家族がどこにでもおりました」とキャプショ

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コーヒー屋の娘と写真

コーヒー屋の娘と写真

茨城の名店SAZA COFFEEの焙煎士・黒澤さんからうかがっていたカフェが旭川のお隣、東川町にある。YOSHINORI COFFEEを目指して自転車を走らせる。

旭川の市街地を抜けると一気に田畑が広がる風景に。目の前にまっすぐ伸びる道路も頼りがいがなく、これから店があらわれるのであろうかと不安になるようなところ。えんえん続く畑の向こうには、いくつか山が連なっていて、ときおり軽トラが景色の向こう

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