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気候変動アクションのためのデジタルアートコンペティション「DigitalArt4Climate Japan」 始動!COP28にむけて活動開始。

文:浅田真理(アースデイジャパンネットワーク理事 / DigitalArt4Climate Japan ディレクター)

みなさまこんにちは。アースデイジャパンネットワークの理事・共同代表の浅田真理です。今回は、私自身の自己紹介や、アースデイとの関わりなどをお話ししつつ、私が昨年から関わることになったDigitalArt4Climate(デジタルアート・フォー・クライメート)の活動についてご紹介させていただきたいと思います。

私は普段は、marimosphereという名前で、アーティスト、クリエイティブディレクター、映像作家、VJとして活動しています。
さまざまなイベントやフェスティバルなどで音楽と一緒に映像を即興で奏でるVJというスタイルでビジュアルパフォーマンスをしたりしています。またイベントのオーガナイズや、デジタルアートギャラリーのチーフキュレーターやグローバルパートナーシップディレクターなどもしていたりと色々な活動をしています。

J-wave Innovation Festival 2023 石野卓球 & ケンイシイDJ B2Bセッション でのVJ映像

私の父は、PAという音響の専門家で、アースデイ東京やフジロックフェスティバル、レインボー2000などをはじめ野外フェスティバルで太陽光発電を使ってサウンドシステムを動かし、良い音を提供するということを20年以上続けてきた人で、音楽イベントのオーガナイズなどもしています。

また祖父は浅田孝と言う建築家・都市計画家で、日本で初めて「環境」という言葉を、現在の"environment"という英語の持つ意味合いで用いた最初の人物と言われており、環境ということをテーマに建築や都市計画に取り組んだ人物として知られています。(浅田孝 Wiki)

私自身は多摩美術大学を卒業してデザイナーやアーティストとして活動してきていますが、大学生の時に、ジェームス・ラブロック博士の「ガイア理論」に出会い、感銘を受けたことが、環境とアートとの関係を真剣に考えるようになったきっかけかもしれません。ごく自然に環境ということに意識が向き、そういった活動にも関わってきました。

以前アースデイを、神奈川県横浜市の長津田にある「こどもの国」という場所で開催する機会があったのですが、私の祖父が「こどもの国」のマスタープランを作成したというご縁で「こどもの国」の園長さんがぜひにと好意で場所を使用する許可をくださったという背景があります。アースデイ東京に長く関わっている父はそこで太陽光発電での音楽ライブとレコーディングの監修も行い、その音源はのちにCDにもなりました。祖父は既に他界していましたが、アースデイを通して親子3人でコラボレーションできたことはとても嬉しかったです。

実はこの「こどもの国」は、戦時中は陸軍の弾薬庫として使われていた土地で、戦後に皇太子殿下、美智子妃殿下のご成婚を記念して作られた、こどものための施設です。100ヘクタールある広大な土地にはなるべく開発の手を入れずに自然環境を残すという配慮がされており、戦争のための土地から、未来のこどもたちが自然環境のなかで遊べる土地へ、「あそびのなかに、未来がある。」というコンセプトで、アースデイの会場にはぴったりだということで選定されたという経緯がありました。(こどもの国 Wiki)

こどもの国マップ

私がアースデイジャパンネットワークに参加することになった経緯としては、以前からアースデイなどでお世話になっていたりラジオに出演させていただいたりして旧知の仲である谷崎テトラさんからお声掛けいただき、設立時理事として参画させていただくことになりました。

私は環境の専門家というわけではありませんが、私なりの視点からできる取り組みで、クリエイティブで世界を変える、をキーワードに頑張っていきたいと思っています。みなさまどうぞよろしくお願いいたします。

さて、最近よく耳にするようになった言葉なのでみなさまの中にも馴染みのある方もいらっしゃるかもしれませんが、私自身の活動として、web3と呼ばれるブロックチェーン技術を使ったNFT/デジタルアートの普及にもここ2~3年ほど力を注いでおり、またDAOと呼ばれる新しいコミュニティのあり方などにも可能性を感じています。そういった最新の技術をアースデイの活動にも活用していければと考えているところです。

その一つが、今日ご紹介したい「DigitalArt4Climate」(デジタルアート・フォー・クライメート)というプロジェクトです。

昨今、環境問題や気候変動への対応への必然性がますます迫る中で、より多くの人々を引き込み、行動を喚起するためには、革新的なアプローチが不可欠です。その1つが、国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)に発表されることが計画されている「DigitalArt4Climate」の公募です。

この取り組みは、デジタルアートの力を駆使して、環境や気候変動に関するメッセージを広め、人々の意識を高め、より多くの人々の対話を促し、社会の関心を喚起することを目指しています。

私が「DigitalArt4Climate Japan」(DA4CJ)を推進することになったきっかけは、2022年の3月末にドバイで開催されたMENA Climate Weekに参加し、3つのトークセッションにパネリストとして参加したことでした。MENA Climate Weekは、MENA(中東と北アフリカ)地域の、気候変動に関する重要な議論が交わされる国際的なイベントです。

気候変動に関する様々な専門家やアクティビスト、そしてブロックチェーンやメタバースについての知見をもった人々が集まり、環境への取り組みを共有し、協力する場として大きな注目を集めました。私は3つのトークセッションでパネリストとして登壇させていただき、私たちが最新のテクノロジーを駆使してどのような気候変動アクションができるのかについてのアイデアや意見を、他の専門家と交換し、ディスカッションを行う機会を得ました。

登壇者の皆さんは世界中から集まった各界の有識者で、しかもそのセッションの主催者かつモデレーターのMiroslavさん以外は登壇者5人全員女性というセッションで、国際的な舞台での女性の社会進出も肌で感じることができました。

MINA Climate Week トークセッション登壇の様子

この経験を通じて、気候変動の課題の重要性とその解決策に対する緊急性に対する意識を高め、その解決に向けた取り組みについての洞察を深める機会を得ました。

熱心な議論に触れるうちに、アートが持つ力が環境問題への意識喚起や行動の促進において重要な役割を果たすことを直感し、そのことをアーティストの視点から皆さんにお話ししました。

ここでの交流とディスカッションは、私にとって環境や気候変動のテーマをアートを通じて広める潜在的なアプローチについて考えるいいきっかけになりました。アートは、科学的なデータや情報だけでは伝えきれない感情や洞察を伝える媒体として強力な役割を果たすことができると考えます。

そして先ほどもお話に出しましたが、これらのセッションの主催者であり、グローバルな課題に向けた革新的アプローチの前進のための国際協会(IAAI GLOCHA)という国連認定組織を主宰しているMiroslavさんから、日本でもこの取り組みを広め、たくさんのアーティストに参加してほしいというお話をいただきました。

MENA Climate Weekで得た出会いと洞察、インスピレーションが、新たなアートプロジェクト「DigitalArt4Climate」を日本で取り組むきっかけとなりました。世界中のアーティストのアイデアやクリエイティビティが、未来への希望を形作る力を持っていることを常日頃から感じていた私は、このプロジェクトを進めていくことにある種の使命感を感じました。

日本は環境保護への取り組みが盛んであり、また技術革新と芸術の融合、アートとテクノロジーの融合が進んでいる国でもあります。
「DigitalArt4Climate Japan(DA4CJ)」というプロジェクトを日本から展開し、デジタルアートの力を通じて、気候変動に対する意識を高め、行動を促す活動を進めていくことには大変意義があると思い、こうした背景から、DA4CJプロジェクトを立ち上げることになりました。

そして今年、2023年の4月にアースデイジャパンネットワークが立ち上がって設立時理事に就任したことをきっかけに理事の皆さんに提案したところ、アースデイジャパンネットワークとしてもこの「DigitalArt4Climate Japan」を推進していこうということになりました。

またなんと素晴らしいことに、アースデイジャパンネットワークのアンバサダーにも就任していただいた、LUNA SEA、X JAPANのギタリストとしても有名なミュージシャン、音楽プロデューサーのSUGIZOさんからも楽曲提供をいただけることになりました。EDNJの理事の谷崎テトラさんとのユニット「S.T.K.」で制作する音源に、私が映像をつけて一つのオーディオビジュアル作品になる予定です。
S.T.K.(SUGIZO+TETRA)プロフィール

S.T.K.メンバーの SUGIZOさんとTETRAさん

そしてその作品は今年2023年の12月にCOP28のDA4Cブースにて展示されます。またそれに合わせてオープンコール(公募)のアナウンスも発表される予定となっています。

また今回のコンペティションのアワードの受賞作品は、2024年のNYの国連本部での気候変動会議や、オーストリアのGlocha主催のClimate Conferenceの会場でも展示・発表される予定です。

アースデイジャパンネットワークとしても、DA4CJの活動を通じて、アートとテクノロジーが一体となって新たな可能性を切り開き、デジタルアートが持つ視覚的な魅力とインパクトを通じて、環境や気候変動の問題をよりたくさんの人に知ってもらい身近に感じてもらうことで、環境問題に対する理解と共感を広め、持続可能な未来を実現するための一石を投じることができればと願っています。



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