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自由は儚い羽にしか宿らないのなら

2023/07/16 16:52

15日は体調不良でずっと寝てた(昼に一度起きてゲームのイベントには出た、馬鹿だ)。

心細くて北に電話をしてもらい、本当は駄目な使い方だけれど、風邪薬と一緒に睡眠薬セットも飲む(なぜか3ヶ月以上は余分がたまっている)。

「食と睡眠は大事だぞ」

と口うるさい北。

食欲は全くなし。

喉が痛くて固形物は食べれそうにない。湯気で激しく咳き込むので冷たい飲み物ばかり飲む。
30分ほどで眠気が来たので電話を切ってそのまま眠る。

数時間おきに目は覚めたが、23時過ぎまで寝て、薬を飲むために起きる。

北にLINEすると、

「なにか食え」

…うるさいなぁ…

どうしてか冷やし中華がとても食べたい。
しかし、わが家にあるもので代用出来そうにないし、とてもふらふらしているので調理は危険そう、買い物に出かけるのはありえない。

ホワイトチョコをひとかけ食べて、食はとったことにして、また睡眠薬と風邪薬を飲んで寝てしまう。

3時にはいつも通り目が覚める。
習慣として歯磨きして血圧、体温計測。熱は下がっていた。

しかし、関節は痛いし、ふらふらするのは治ってないので、その後10時くらいまで寝る。

食欲はなし。
ゼリーかプリンを買いに行った方がいいかな、と思ったのだが、きつい日差しに全く出かける気力をなくして、もらい物のあめ玉を口に放り込んで、一食と数えて風邪薬を飲む。

北に電話してもらい、15時過ぎまで非生産的に過ごす。

こんなに風邪で苦しい思いをするのは久しぶりな気がする。
病気のデパートな所があるので(大変ありがたいことに癌、指定難病、生活習慣病は経験なし)、多少の体調不良は人が心配するほどしんどくはないのだけど、今回は苦しい。

明日はゴミ捨てと思い出し、ゴミを集めていたら、部屋の隅に転がしていたクッションが気になる。
手入れはしていたが、古びて色もあせて、どうもなんか嫌だ。

捨ててしまおうと丸めてゴミ袋に入れた。

汗をかいたのでシーツや枕カバーも交換して、洗濯。
窓を開けて熱気でじりじりする縁側に干していく。好きな香りの柔軟剤を使っているのに、鼻がきかなくてなんの匂いもしない。つまらない。

家事をすませて、Audibleでオススメに上がっていた本を聞く。

出だしから「え?」と思う。

しかし、タイトルと同じように、綺麗な言葉が並んでいて聞き心地がいい。
普通の本なら読まなかったと思う。また、体調がよかったら読まなかった。

表紙が綺麗。

鉱物?オルゴナイト?

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青くきらめく表紙を見ながら、「異質」とは何だろうと思った。

曾祖父の時代から住んでいても常に監視して受け入れず地元の「異物」だった私。

小学校でたった一人の母子家庭で「腫れ物」だった私。

中学生の時、48人のクラスメートの前で、「父親の名前、記入して」と担任に言われて、「父はいません」と答えてなぜか口論になったしまった。1000人規模の学校でも私生児という存在には理解がなかった、「変な人」であった私。

そんなことをくり返していて、17歳の頃にはたいていのことはどうでもよくなったいたはずの私。

体の弱さと、母の奔放さに振り回されて、二十歳になったらこの土地を離れようと思っていた私。

そういえば、あの土地になじまず県外に恋人まで作って、今でも生き辛そうにしている母は、なぜあの土地を離れなかったのだろう。

祖母ですら、この土地から出た方がいい、と母に言っていた。

しかしそれは、「私をこの土地に残す」というのが条件ではあった。

住みづらくとも、どれだけよそ者扱いされても、あの土地から離れられなかった祖母と母。

弟が生まれた時、喜びより強く感じた開放感。

その弟も、「ここは最低だ」と言いつつ、あの土地を離れようしない。

「両親が死んだらここに住み続ける理由がないから」

と言っていたが、この春新しく実家の近所に土地を買った。

山と原野がついてくる、利用できるのは買った土地の1/3くらい。

彼もあの土地に囚われているのか。

長女の私が家を飛び出して鑑みないせいもあるのかもしれない。

息苦しい。

読み進めるだけ、息苦しくなる。

息苦しくなるのは、この話にリアリティがあるからで、そうしてこの閉塞感は慣れ親しんだもの。

そういえば、母も不倫をしていたな。

跡取り息子で、縁戚からもらった嫁の気が強くて、でも娘を3人作って、趣味に逃げていた、育ちのいいおっとりしたひと。

私に綺麗なものばかりくれた。

きらきらした表紙の絵本、ビー玉のセット、フリルのブラウス、ガラスの指輪、萩焼のティーカップ、箱詰めのチョコレート。

私は母の友人と聞いていたし、私が中学のころから家に出入りしなくなったのもとくに気にしてなかったのだけど、弟が生まれる年、私が17歳の時、祖母が言った。

「おまえが中学になったら隠し通せないから別れなさいと言ったのよ」

なるほど。

聞かなきゃ一生気づかなかった。

子供は意外に大人のことを見ているかもしれないが、大人が思うほど、深くものを考えている訳ではない。

経験がないとは、悲しい。

しかし経験が思考を鈍らせて、身動きが出来なくもなる。

自由は儚い羽しか宿らないのだ。

「異物」であった私は、誰にも何にも混ざり合わず、心は蝶のように軽かった。

経験を積み、誰かと歩調を合わすことを覚えた私は、生きやすくなったが心の制約が増えた気がする。

私が私であることをやめる気はないが、「正しい」のかは分からない。

けれど、「正しさ」なんて、自分以外に誰にもジャッジはさせないと、微熱混じりのだるい体でふっと思った。

ああ、体がつらいな。

少しだけ目を閉じて、眠ってしまうならそれもいい。

重い体を脱ぎ捨てて、夢想の世界にいってしまおう。



 2023/7/27追記

みらっちさんの記事を読んでから、ずっと悩んでいた。

私の思考はふわふわして、あっちこっちに興味が転がる。

しかし、今日再びみらっちさんの記事を読んで、選んでみようと思って、自分の記事を読み直してみた。

私はダイエットや音楽や他にも色々書きたいことがあるけれど、結局は「自由な心」に一番重点を置いている。

また、そのように思い始めた幼い頃のきっかけも比較的端的に書いていて、もしも、ひとつしか記事が残せないなら、これを残したいと思った。

このような機会を与えてくださった、山根あきらさんと、みらっちさんに感謝します。


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