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詩2篇|君との出会い|前へ進め

詩1篇目|君との出会い


君と出会ったのは

まだ10代の頃だった

その時の私はひどいうつで

誰も頼れる人がいなかった

わがままで自己中心的な私

歩道を歩いていたら

通りを走る車が

次から次へとやってきて

止まることを知らない濁流のように見えた

車の形々とその排気音が洪水のように感じて

うるさくて うるさくて

耳の裏

頭の内側が

ジンジンして

私は強く目を瞑った

だけど   意味はなくて

遠い彼方から

今見えている景色

それらが全方向からいっせいに

私に迫ってきた

私は……

逃げきれない

避けきれなくて

そのまま

砂利まみれで赤茶色の歩道の″くぼみ″に

陥ってしまう

そのまま地の底

死の世界に陥ってしまいそうな私を

君の腕と手が強く掴んだ

君はその手を

きっと離すこともできたはずなのに

そうしなかった



詩2篇目|前へ進め


前へ進め

いま私は前へ進もうとしている

全身から幸せを感じる

この全身で幸せを感じるのは

あの時に苦しんだ私のおかげ

そして

優しいだけでなく、 強く   寄り添ってくれた

君のおかげ

私はこんなに幸せでいいのだろうか

でもこの幸せ

これこそが本来ある″普通″の形なんだ

今までが″普通″じゃなかっただけ

そうか

幸せというのは″普通″の形をしているから

人はいつも   そばにある幸せに気づけないのだろう

私もそうだった

″普通″を失って初めて   幸せに気づいた

いま私は

何か新しいことを   できそうな気がする

何か大きなことを

やりたいと思う

このまま進みたい


進みたい

進みたいから

進ませて


雨はやんだでしょう

傘をとじましょう

下を向く癖も   もう治ったでしょう

だから上を向きましょう


前へ進め

私は私の背中を押せるようになりました

だから私は私の背中を押す

押して

前へ





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