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エッセイ♯7「最終回を観たくない…という気持ち」



とある友達との会話。

友達「好きなアニメの最終回だけ、まだ観れていないの…」

私「なんで?私なら気になりすぎて、すぐ観ちゃうのに…!」

友達「だって大好きな作品だし、最終回を観たら終わっちゃうじゃん!」

私「…??」

この時、私は友達の気持ちがよく分からなかった。

「そりゃ、観たら終わるでしょ…!好きな作品なら、なおさら早く観たくなっちゃうのに…」と思った。

結局、このモヤモヤは何なのか分からず、ずっと胸に残り続けていた。

それから、数年が経ったある日。

待ちに待った映画の配信が開始された。

この映画は、当時仕事が忙しかったこともあり、映画館でみることができず、上映が終了してしまった作品。

ずっと、動画配信サービスで配信されるのを待っていたのだ。

「やった!やっと観れる!」と思ったけど、嬉しさと同時になんだか観たくない気持ちもあった。

「あれ、、、なんでだろう?やっと観れるのに……」

この映画はシリーズ化していて、今回の映画はいわゆる最終章。完結するのだ。

「だって大好きな作品だし、最終回を観たら終わっちゃうじゃん!」ふと、友達の言葉を思い出した。

完結したら続きはもう観れない。

「あ、そうか。私、終わっちゃうのが寂しいんだ…」

好きな作品だからこそ、ファンだからこそ、それが辛い。

大好きな作品だから、もちろん観たいけど、観たら終わっちゃう。それが嫌なんだ。

当時の私は「最終回の内容がすごく気になって、早く知りたい!」という気持ちが強かった。

でも、当時の友達は「観たら終わっちゃう、終わってほしくない…」という何とも言えない気持ちだったのかもしれない。

映画を観ることがこんなに勇気がいるなんて…。

私は、寂しさを噛み締めながら、少し躊躇いながらも、映画の再生ボタンを押した。






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