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悲しい買い物の理由

*はじめに*

このnoteは、私の「悲しい買い物」「11月23日を前にした心理的動揺」についての、超・超個人的な記録です。

悲しい買い物

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ネットで即日配達できるものをいくつか手配したけれど、無印良品やニトリの実店舗、100円ショップで探した方が選びやすいと思うものを買い出しに行った日曜の夜。
母の喜びそうな、使いやすそうなものをあれこれ選びながら、気づけば約1時間半も経っていた。
これが、一般的なギフトやクリスマスプレゼントなどであれば、どんなにいいだろう。
でも、現実はまるで違う。母の長期入院を前提とした転院先へ持ち込む、身の回り品のあれこれ。

どこが具合悪くてもつらいものだし、比較してどうこう言うことに意味があるとも思わないけれど。
それでも、体を動かす自由が突然なくなった状態で、コロナ禍での病院ルールによる面会不可の中、母にこれからさらに長い療養生活が続くのは忍びない。

そして、この11月という時期が、この時期の風の香りや木々の色づきとリンクしながら、私にとってこの上なく辛く苦しい記憶を否応なしに甦らせる。

父への最後の料理

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15年前の11月23日、難病の再発で父が入院した。
当時、家族の折り合いが悪く、家庭内別居のような状態で食事も別々にしていた私。
父が入院する日には、ずっと前から企画メンバーとして携わっていた、丸一日がかりのイベント予定があった。ゆっくり食事の支度や会話をする時間が取れないため、夜中に思いたって、里芋の煮物とお味噌汁を作り置きしてからイベントの始まりに顔を出し、中抜けさせてもらってお昼には自宅に戻り、夜に再びイベントに合流するという強行スケジュールをこなした。

結局、たくさんは食べられなかったみたいだけれど、私が用意したその日の食事が、父が自宅で摂った最後の食事となった。
父はそのまま2度と自宅には戻れないまま、年明けの1月3日に帰らぬ人となったからだ。
あの時、一緒には食べていないけれど、食事の用意をしておいて良かった。していなければ、一生後悔が残っただろうと、今でも折に触れあの日のことを思い出す。

母の転院に向けて

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そんな過去があるものだから、1日違いとは言え、今回の母の転院の時期は私にとって都合が悪すぎる。しかし、諸事情にてこちらに日にちの選択肢はなかったのだから、今さらそんなことを言ってもどうしようもない。

憎まれ役を買って出ることが多く、部分的に細かいところがありつつも、全体的には楽観的で大雑把な性格の私も、いくつかの強烈な記憶と結びつく出来事に対しては、平常心を保てなくなる。

スマホを使ったことのない母に、テレビ電話ができるようにタブレットの設定をしてみたものの、転院時のわずかな付き添いだけしか許されていないため、実際に教える時間はあまりないだろう。

少しでも嗅覚からの細胞活性化や精神安定に繋がればと、アロマコーディネーターの端くれとして選んだ精油と、ボトルをそのままセットして水なしで使えるアロマディフューザーを買った。

他にも、カラーペンや色鉛筆、レターセット等々、そんなものがあったところで決して楽しいわけなどないのに、少しでも気がまぎれる助けになればと、あれもこれも買い物カゴに入れてしまう。

ドラッグストアでは、ワゴンセールで目についた1本1000円の贅沢な歯ブラシを思わず手に取って眺めていると、店員さんから在庫処分で半額だから超お買い得だと勧められ、普段こんな高い歯ブラシは買ったことがないけど、むしろだからこそ今回はこれを買う意味があるような気がしてきて、素直にお買い上げ。
磨き心地がどれだけ良くても、それで気分が上がるほどの効果があるわけもないのにと、心の中でひとりツッコミしながら、売り場でも涙が滲んだ。

こうやって少しでも使い心地が良さそうなものをと、プチ贅沢の言い訳をしながら1つ1つ必要なものを買い揃えていると、言葉に言い表せない感情が溢れそうで、本当に胸が痛くてたまらなかった。
こんなにも悲しい買い物がこの世にあるのかと、大袈裟ではなく心底そう思った。

書くことで救われるなら

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諸々の手続きや窓口対応、調べもの、数え切れない程の電話対応に追われる中、受注済みで執筆がいっこうに進んでいない案件がいくつも残っている。
それなのに、こんな私的な書きものをしている場合ではないのだけれど。

今、どうしても書かずにはいられなくて、他に何もできそうにない気がしたので、ただ自分を落ち着かせるためだけに書いてみた。

よくある「シーン別おすすめグッズ●選」みたいなまとめ記事とは、似ても似つかないけれど。
私が今回どんな思いで、どんなアイテムを選んだか。
このnoteが、いま私と同じような境遇にいる人にとって、もしもほんの僅かでも響く部分があったなら、私は少しだけ救われる気がする。

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